いっせん、いちや(途中経過・軍会8開催おめでとうございます!)3.片割月
越えてはならない、一線というものがある。
それはいわゆる、生きている者たちの間で暗黙の了解として存在して、善悪の境を定めるものであったり、ひととして生きてゆくための最低限の則(のり)を定めるものであったりする。
また、物理的にも一線はある。
その場所を越えてはならないと、定められた場所は、確かにある。
理由は、さまざまだ。だがつまるところ、「そこを越えてしまえば、二度と戻れなくなる」という一事に尽きるのかもしれない。
山の奥、鳥獣すら道をつくらぬ、昼でも暗い繁みの奥に踏み込んで、もと来た道も、己がいま在る場所も、なにもかもが判らなくなってその場に倒れ、動けなくなり、ついには骨ばかりを残し土に還ってしまうように。
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