「ふぁっ………ふぁああああーーー!!!」
閑散とした金曜日の昼間、素肌がアスファルトを擦る鈍い音の直後に叫ぶ幼い泣き声が辺りに響き渡った。
母親に頼まれた大きな蜂蜜の瓶が入った重たいリュックを背負い、歩いているうちに疲れきった足をなんとか交互に前に出していた。ただひたすら長い真っ直ぐな道を進んでいるうちに、次曲がるのはどこだったか…間違えて別の道に進んでいないか…と不安に煽られ足を速めたものの、終いには縁石に足を引っかけて足の中央部分から着地してしまう。膝小僧にじわじわ浮かび上がる赤い血液と痛烈な痛みはまだ入園していない子どもにとって耐え難いものだった。
「ふぁあぁっあぁーー…」
重たい、疲れた、怖い、痛い、多くの負の感情が空色の涙から熱い雫を溢れさせ限界を訴える。
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