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    テラ小惑星

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    テラ小惑星

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    11/23 SHOW TIME でしょ!! 12
    東4ホール す55a アス見道
    「ハジマリ ブンブン蜂編」サンプル
    A5(コピー本)小説

    幼い🍱と幼い🐝が某番組を通じて出会う🍱🐝です。
    ⚠️過去捏造あり

    #ヤスハチ
    eighteenArrows

    「ふぁっ………ふぁああああーーー!!!」
    閑散とした金曜日の昼間、素肌がアスファルトを擦る鈍い音の直後に叫ぶ幼い泣き声が辺りに響き渡った。
     母親に頼まれた大きな蜂蜜の瓶が入った重たいリュックを背負い、歩いているうちに疲れきった足をなんとか交互に前に出していた。ただひたすら長い真っ直ぐな道を進んでいるうちに、次曲がるのはどこだったか…間違えて別の道に進んでいないか…と不安に煽られ足を速めたものの、終いには縁石に足を引っかけて足の中央部分から着地してしまう。膝小僧にじわじわ浮かび上がる赤い血液と痛烈な痛みはまだ入園していない子どもにとって耐え難いものだった。
    「ふぁあぁっあぁーー…」
    重たい、疲れた、怖い、痛い、多くの負の感情が空色の涙から熱い雫を溢れさせ限界を訴える。
     しかし住宅が無く平日のこの時間は車もあまり通らないこの辺り一帯では、遠回しなSOSを込めた泣き声は虚しく周りの自然に溶けていった。それを耳にした者は存在しないわけではない。何人もの大人がこの幼児を本人の視界に入らないよう遠目から見届けていた。だがなるべく手を差し伸べず息子の成長を見守ってほしいと母親から頼まれていた彼らは助けに入るべきかどうか躊躇していた。それでも本人だけはなかなか立ち直ることができずどんどん深みに嵌まっていく。
    「おい、だいじょうぶか?」
    「ふぁああぁっあ…ふぁ?」
     一同が困り果てていたその時、目の前に現れた影に声をかけられ顔を上げる。
    泣き声を聞きつけて真っ先に駆け寄ってきたのは同じくらいの大きさのリュックを背負い、上に跳ねた青と黄色の髪をもった小さな男の子だった。その男の子は擦りむいた膝を見て顔を覗き込んだ。
    「…ころんだのか?」
    「ん…ふぁ、ぐ…」
    突然現れた男の子に戸惑いを隠せず嗚咽をこぼしながらも転倒を訊ねられると小さく頷いた。
    「いえ、このへんか?」
    「……んーん」
    男の子の次の質問には首を振る。ここから実家までまだ少し距離がある。男の子は何を言うわけでもなくしゃがみ込むと、リュックからティッシュを取り出して血を拭おうと膝に押し付ける。その指圧で痛みが強くなり涙がじわりと浮かんだ。
    「ふぁっ!ぇ、いてぇよぉ…」
    「っ、ごめん。」
    顔を歪ませたのを見た男の子は即座に手を離した。
    「だいじょうぶか?」
    「う?……ぅん……」
    擦った痛みを再び心配されて頷く。
     正直に言うと怪我をした足はまだ痛い。それでも不安と孤独に襲われていた中で声をかけてもらえたことによって、先程より少しだけ気持ちに余裕ができていた。男の子もその様子に安心したようで、しかしまだ心配そうに様子を窺っていた。
    「おれおつかいしてて…みち、わかんなくなっちゃって…こわくなっちゃって…いそごうとしたら、ころんじゃって…かえれなかったら、どうしようって、なっちゃって…………」
    自分に向けられた親以外からの初めての温かい声に当てられ、自然とたどたどしく現状を説明した。次第に視界が歪み涙が頬を伝いぽろぽろと零れ出した。幼い男の子はまた涙を出させてしまったことに最初は慌てていたが話を一通り聞いた後、意を決して口を開く。
    「じゃあ、おれんちにこい。」
    「ふぁ?」
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    テラ小惑星

    DONE🍱🐝ホワイトデー
    前回のバレンタインの続きです。

    きっと🐝は帰宅後に贈り物の意味を知ってしばらく落ち着かない。
     太陽が頂点に昇る昼さがり、人っ子1人いない屋上、片手に携えた弁当が入っている袋。この3つが揃ってやっとヤスの数少ない平穏な日常が訪れる。
    「…………」
    屋上へ続くドアを開けて、いつも通り定位置である扉すぐ横の落描きまみれな壁の前で腰を下ろす。今日は少しだけ肌寒い風が吹いている。だがそれもまた心地よい。
     普段は定位置に着くとすぐに弁当箱を開けるが、今日はフェンス越しに屋上から見える空を眺めてから弁当を食べ始める。その時の心境も少し違った。
    (あいつ…来ねぇな…)
    普段は弁当をよく味わいながら食べるがこの昼休みの平穏を乱す存在が訪れるかが気になって仕方がない。
     少なくとも学業の最中2日に1回は俺の目の前に現れる奴だ。登校時に学校の正門の前で仁王立ちして待ち伏せした日にはウンザリするし、俺の教室やこの屋上に来て勝手に隣でパンを食べ始めた時は一人で過ごさせてほしいと常々思いながら同じ空間で過ごしている。午前中の休み時間やチャットで『今日はクラスのダチと昼食うから来ねぇ』と言われた日には本当に放課後まで顔を出さないこともあるが、午前中にそのような連絡が無かったからおそらく今日も来るのだろう。こうして無意識に待っている時点であいつがほぼ毎日押しかけることも日常のひとつになりかけている気がする。
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