バレンタインなリオ蛍ちゃん 何だか外が賑やかだ。こういう日は大抵、水の上から愉快な二人組が来ていることを示す場合が多い。徐々に執務室に近付いてくる喧騒に耳をそばだてていると、遠慮なく重々しい入口が開かれ一人分の足音が軽やかに階段を登る。
「おーい公爵! オイラたちが来たぞ~!」
「いらっしゃい、お二人さん。わざわざこんな日にここまで来るなんて、物好きにも程がありすぎやしないかい?」
今日は所謂バレンタインデー。数年前までは想い人へ愛を届ける日だったが、最近ではもっぱら女性が友や自分のためにチョコレートを用意するイベントになっている。ただそれも愛を抱えた者たちには都合がいいだろう。秘めたものを友情に隠して伝えるという「満足感」を得ることが出来るのだから。
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