いたずら「最近、レオさんが構ってくれない。」
隣でお菓子を食べているス〜ちゃんの口から、急に脈絡もなく発せられた「構ってくれない。」に、は?と一瞬思考停止した後、なるほどそういうことになってたのか。と、頭をフル回転させて理解する。
「じゃあさ、放っておけないと思わせればいいんじゃない?」
「なるほど…一理ありますね!」
いい考えがあるんだけど。と、ス〜ちゃんを炊きつければ、興味津々に目を輝かせて期待しているのがわかる。面白くなりそう♪
「ス〜ちゃんのスマホ貸してくれる?」
「はい、どうぞ。」
スマホのカメラを起動して、ス〜ちゃんに覆い被さるようにしてシャッターを押す。
「わぁっ!凛月先輩重たいですっ!」
「誰が重たいって〜?」
「わわっ!これは失礼いたしましたっ!」
「ほら、今の写真送っといたから。」
「レオさんにですか?!」
「まあ、あとは待ってるだけだから。なんにもしなくていいよ。」
さぁて、どんな顔して飛んでくるかな〜♪あぁ〜楽しい♪久しぶりのいたずらに心を踊らせていると、バァンと勢いよくドアが開く。その勢いに少しビックリして司は固まってしまった。入って来たのはもちろんレオで、走って来たのかハァハァと息を切らしている。思っていたよりも早い登場に、凛月はソファーの後ろという微妙な位置に隠れてしまった。
「スオ〜!これは、どういうことっ」
「ヒッ…」
レオは凄い形相で司の元へ行くと、後退りしていた司を壁に追い詰める。逃げられないように膝を入れ、ドン!と綺麗な壁ドンをかました。
「ねぇ…聞いてる?」
「ぁっ…」
司は急なレオの進撃に縮こまって目をウルウルさせている。ス〜ちゃん怯えちゃってるじゃん…。まあ、仕掛けたのは俺なんだけど。
「おれ、スオ〜が好きだよ。お願いだからっおれを選んでっ!」
真っ直ぐに司を見つめる視線は本気だ。壁についていた手を司の背中に回して抱きしめる。
「あ、あのっレオさん、私もレオさんがいいです。」
「絶対誰にもやらない!おれのスオ〜だっ!」
レオからの熱い抱擁に司の表情は嬉しそうなものへと変わっている。
「あとっ、その、これは凛月先輩が…」
「あー…もしかして、おれ今すっごく恥ずかしい状況?」
「そうかもしれません…。」
「はぁ〜そういうことか〜!リッツめ…またやられたぁ〜っ!」
いや…俺、さっきから居るんだけど…まあいっか。ス〜ちゃんの悩みも解消されて、俺のいたずらも大成功♪久しぶりに楽しかった〜♪それにしても、月ぴ〜凄い慌てっぷりだったな…ちゃんと構ってあげないと、本当に誰かに取られちゃうんだからね〜?そんなことを考えながら、これから始まるであろうイチャイチャを見越して部屋を出た。