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    hiko_kougyoku

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    hiko_kougyoku

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    「境界」メイキングという名の壮大な妄想語り。
    ※「境界」(https://twitter.com/hiko_kougyoku/status/1621149503515664394?s=46&t=pWtkkhl5-n3x-D12xlyb-g

    「境界」メイキング的な※書いている時にこういうことを考えたよ!これが後付けの部分です!ここが伏線!このキャラはこういう解釈してます!と言った内容を長々と書いてあります。
    ※とっ散らかった文章です。





     2022年12月。年末のクソ忙しい中、一つの疑問が浮かぶ。

     長次郎くんはどういう経緯を辿って千年後の雀部副隊長になったのだろう?

    若い方のイメージ(長次郎くん)
     声が大きい、表情豊か、溌溂、悩み多し、元柳斎大好き!、聡明、優秀、努力家、わんこ系、押しかけ女房。

    老いた方のイメージ(雀部副隊長)
     泰然自若、凛然、忠節、純白、真面目、無口、地味、元柳斎大好き! 聡明、優秀

     雀部副隊長、死神図鑑では恋次に悩みを吐露したり、英国ショップを見てはしゃいだりで意外と表情豊かですよね。でも原作ではそんなに表情を変えないし、それどころか喋らない……。長次郎くんと全く反対の印象のような気がして、千年の間に何かあったの???などと思いました。年を重ねて落ち着いた、と言えばそれまでですが、それ以外にも何か……例えば何か辛いできごとがあったとか、多くの別れを経験し繰り返すことで研ぎ澄まされてきたのではないか……。

    制作監督(脳内私)「はい、では今回はそこにスポットを当てたお話にしましょう。長次郎くんにはちょっと辛い思いをしてもらいましょうか(ゲンドウポーズ)」

    ***

    「長次郎くんがなんか辛い思いをするお話」
    ここからスタートです。

    入れたい要素もピックアップします。
    ・バトルシーン
    ・次から次へと謎や動きがあるお話
    ・長次郎くんの葛藤

     さて、これらを踏まえた辛い思いとは?これはもう最初から「任務」としました。ではどんな任務か?虚を斃すとかだと辛さは感じないと思うので、人間相手かな?そうなると、例えば悪い盗賊団のアジトを攻めて、全員をみなごろしにするとか?そうして世の無常さを嘆くとか?いやいやそれはなんか違うし、それをやると完全に護廷十三隊側が悪者だからボツ。
     敵側については思いつかないのでとりあえず保留。まずは舞台やストーリーを設定し、後で敵役を配置しよう。

     辛い任務……ならば元柳斎とか乃武綱は連れていきたがらないだろうな……なら最初は連れて行かないつもりでいて、長次郎くんが無理矢理ついてゆく→何も知らないまま戦闘に巻き込まれる……という展開にしよう。
     連れていきたがらない、と言えば遊郭みたいなアハ~ンな場所にも連れて行きたがらなそう……子ども扱いとかしてさ。じゃあそこらへんもまとめて「子ども扱いという名目で遊郭への任務に連れて行かない年長者」にしよう。
     長次郎くん側からしたら子ども扱いはむかつくだろうから本気で抵抗するし、ちょっとこじらせて子ども扱い=自分がまだ未熟で認めて貰えていないからみんなこんな風に子ども扱いするんだ!って悩んで欲しい。
     で、長次郎くんは遊郭とか行き慣れてない純粋っ子だから戸惑って欲しいし、なんなら場違い感を感じて借りてきた猫になったり、遊女にどきまぎして欲しい。よしそこらへんも入れよう。ついでに乃武綱はそれをからかって欲しいし、元柳斎は案じてくれ。長次郎くんは遊女といる元柳斎を見てもやもやしてくれ。

     さてここで一度ラストシーンを定めよう。いわゆるお話のゴールです。ここを定めておくとお話に一貫性が出て、書きやすいです。

     辛いことがあって、体ではなく心の弱さを悔やむ長次郎。同時にその未熟さを疎ましく思ってしまう。何も感じない心が欲しいと葛藤。
     「私はまだ未熟です。だからもっと慣れます。修羅になります。感情を押し込め、忘れ、そうして私は元柳斎殿にふさわしい人間になります」と決意する長次郎。しかし元柳斎に「お主はそのままでいろ。忘れる必要のないものまで忘れる必要はない」と諭される……みたいな話にしよう!
    (※のちに変更になりました)

     ここまでの構成をまとめると
    ①長次郎くんは元柳斎や乃武綱の制止を聞かず、任務に同行。
    ②遊郭に来るのを後悔したり居辛さを感じる。何も知らされないまま戦闘に参加
    ③敵をみなごろしとか、むごいことをしてなんか辛い思いをする
    ④自分の心の弱さを吐露、元柳斎に諭される

     こんな感じにする。
     でも③!『なんか』ってなんやねん!!!そこ大事やろ早く考えろ!
     というわけで再度敵側について再考します。
     当初考えたのは「とても悪い盗賊団」「敵対貴族」……などです。でもなんかしっくりこなくてうんうん唸っていました。そこではたと立ち止まり考えます。いっそのこと光の帝国との戦争の前哨戦の話にしようか……そうしてユハ様の手下のとドンパチするとか……。いや、でもそれなら遊郭などという小さいところじゃ収まらないなあ……。
     もし……もし逆に、あの戦争で取り逃がした滅却師がいたら? ……滅却師と死神は所謂因縁の相手なので、逆に滅却師を一人でも残すと尸魂界にとって禍根になる。だから死神側は、残党がいたら討伐しないわけにはいかなくなるなあ……ならば、滅却師の残党が遊郭を隠れ蓑に暗躍していることにしたらどうかな?でもここまでやると捏造甚だしいかな……うん、いいか。やってみよう。
     これは私の勝手なイメージですが、光の帝国、見えざる帝国って国って名前が付いているからどうしても大人がいて、子どもがいて、ある程度のコミュニティや文化があって……って感じがするんですよね。実際は集団とかチームって意味合いなんでしょうけど……。
     ……国なら、子どもとか居るよな……子どもの戦士。あの戦争で(育ての)親をころされた子とか。それが残党にいて、泣く泣く討伐しなければいけなくなって……。子どもと言えど恨みは持つ。生かしておくと死神側には都合が悪いはず。日本の三大仇討の一つ、鎌倉時代の曽我兄弟の仇討も子どもが大人になってから仇討をした逸話ですし。
     子どもを手にかける長次郎くんか……辛いな……。
    辛いのは元柳斎も同じだろうな。
     元柳斎のイメージとして、かつては修羅、鬼、血も涙もないなどと言われていたが長次郎くんと出会って丸くなったり、人の心を持つようになった、みたいなものがありました。だから長次郎くんと出会った今の元柳斎は子どもをころすのを躊躇う。その代わりに長次郎くんが遂行して、それで葛藤する話にするのはどうだろう?いや、その「遂行」は元柳斎のためらいを見た長次郎くんが突発的にやるのはどうだろう。理性を越えた、みたいな。

    「元柳斎が理性を保ち人としての道を外れないようにするのは長次郎の存在があるから。しかし逆に長次郎が理性を越えるその境界線は元柳斎」

     互いが互いの境界線。うん。これだ。精神の未熟さ、理性の境界線。この辺をなんかうまくやろう(うまくってなんやねん)

     さて、子どもをころす方法は何にしよう。これは理性を越えた「突発的な攻撃」なので破道でふっとばそうとすんなり決まりました。では斬魄刀は?斬魄刀を使えない何かが欲しい……滅却師の子どもなんだから戦士として訓練されているよね。だからちょっともみ合うシーンとかあってもいいよね。
     実は最初、「子どもが弾児郎の短刀で長次郎の腹を刺す」というシーンは「棒付きの飴の棒で長次郎の首を刺す」というシーンにするつもりでした。しかし子どもの力で、しかも棒では鍛錬を重ねる長次郎に怪我を負わせるなんて無理だろうと思いボツ。代わりに刃物にしました。棒付きの飴は部屋の前に落ちていることで長次郎に子どもの居場所を察してもらうアイテムに変更。
     同時に「短刀を持って任務に同行する隊長は誰か」を考え、遊郭の雰囲気に合いそう&短刀を持ってても違和感なさそうという理由で弾児郎の参戦が決定。弾児郎さん、気になっていたんですよね……立ち絵を見ると彼、斬魄刀を逆手に持ってますよね。短刀型の斬魄刀なのかな……?ならもう一本位持っててもいいよね……?
     飴を渡す役に関してはこの時点では保留でした。
    そして最初のほうに弾児郎が斬魄刀と一緒に護身用の短刀を持っているという描写を加えることにしました。
     それから季節設定は夏の夜にしました。遊郭なので夜っていうのはすんなり決まりました。あとおそろしい描写が多いので夏です。こわい話といったら夏の夜と相場が決まっているんです(笑)
     そしてラストシーンも少し付け加えました。

    この時点で構成は
    ①元柳斎・乃武綱・弾児郎が任務に行こうとしたら長次郎に見つかる。元柳斎たちはなんとか誤魔化そうとするも、長次郎は「尾花殿は護身用の短刀まで持ってるから絶対任務に行くつもりだ!」と突っ込む。なんだかんだで長次郎がごねて任務に同行することに。
    ②任務の先が遊郭だと知らなかった長次郎くん。来たのを後悔したり居辛さを感じる。
    ③ここで禿として子どもを出し、長次郎くんと交流。
    ④長次郎くんは戦闘に参加。しかし結局子どもを逃がす。
    ⑤子どもを探していた長次郎くんはある部屋の前で飴を見つけ、ここにいると確信。子どもを見つける。ころそうとするが逆に短刀で刺されて怪我。
    ⑥そうこうしているうちに元柳斎登場。元柳斎が躊躇うと長次郎くんは理性が爆発。破道で吹っ飛ばす。呆然とする長次郎くん。
    ⑦ラストシーン。朝、帰り道。四人で帰る。元柳斎におんぶされて思いを吐露する。「自分はもっと凄惨なことにも慣れ、一人前になります」と話す長次郎に「お前はそのままでいろ。忘れなくてよいものまで忘れる必要はない」と諭す元柳斎

     という流れにしました。大分詳しくなってきました。
     この辺りからアドレナリンがどばどば出てきました。このシーンも入れたい!あんな描写も入れたい!とどんどん加えて捏ねて形にしていきました。

     以下は後付けのシーンと設定です。と言ってもほとんどのシーンが後から加えたものです……。取り入れた順番に書いているのでシーンがあっちこっち行ったり来たりしてます。

    ☆長次郎くんは任務のことを何も知らされない
    →遊郭に行く前に乃武綱たちから「今日はこういう任務のために遊郭に行きます。長次郎にはこういうことをしてもらいます」と説明するシーンなどは入れず、長次郎くんは何も知らないまま遊郭へ→この遊郭は怪しい、何があるんだ?と疑問を持ってもらう→バタバタと戦闘へ参加という展開にしました。伏線をいろいろ貼るので、謎解き要素みたいなドキドキ感を入れたくて。
     同時に「任務だと思ってついてきたら遊郭だった。もしかして元柳斎たちは本当に遊びに来たの?」というミスリード(って言っていいのかな?)も誘いました。

    ☆卯ノ花の変装と潜入
    →卯ノ花さんが花魁になって潜入すると言うのは一度書きたかったのでここで採用。卯ノ花さん、絶対綺麗な花魁になるよね……。でも長次郎くんは遊郭にどぎまぎし過ぎて卯ノ花さんだと気付かなそう。っていうか気付かないで欲しい。卯ノ花さんは長次郎くんをからかう&いい加減気付いて欲しくて花魁として誘惑して、長次郎くんはドキドキして欲しい。で、その反応を見て卯ノ花さんは更に面白がって欲しい……。
     というわけで卯ノ花さんの登場は「長次郎くんが自分を誘惑した花魁の正体に気付く」という場面にしました。
     ……で、花魁に変装と言ったらかんざしで戦うシーンも入れたいじゃないですか。閨以外でかんざしで戦うってどうすれば入れられるだろう……。長次郎くんがいるなら長次郎くんが斬魄刀で戦うだろうし……。
     ……何らかの理由で斬魄刀が手元にない、とか?(この辺でいったんストップし、別の要素を考えました。外での嘔吐シーンを入れる時「斬魄刀を広間に忘れたことにしよう!」と考え、あのシーンになりました)
     ちなみに長次郎くんの「女装が上手い」発言。これは長次郎くんが普段から卯ノ花さんのことを女らしくない、男まさりと思っているわけではなく、「女性らしい恰好で綺麗です」という意味で言ってしまったのです。事故です。剣八の名前を持つ女ですから、そりゃあ頬をつねられれば痛い(笑)
     長次郎くんは口下手だといいな。多分「髪を切ったのですか?」を「頭切ったんですか?」って聞きそう。で、切ってねーよ怖いこと言うなって突っ込まれそう。雀部副隊長になるころにはそこんところ克服していそうです。平気で「おや、今日はいつもよりお美しいですね」とか言って欲しい。ひゅ~~~!

    ☆雨緒紀が長次郎の〝理解者〟として、元柳斎たちを説得し、任務の同行できるようにする。
    →長次郎くんだけだと元柳斎・乃武綱・弾児郎の三人を説得するなんてできない……ならば隊長の誰かが颯爽と現れて長次郎くんを助けてもらおう。「颯爽」という言葉が似合うのは誰か……王途川雨緒紀以外いないようなあ……。雨緒紀さん、イケメンというよりも端正、とか整っているという表現のほうが合いそう……あと元柳斎たちとは違うタイプな感じがする。頭が切れると言うか、痛いところを突いてくるというか。金勒さんとも違う頭のよさがありそう……。よし雨緒紀さんも登場してもらおう。あと飴を渡すのも雨緒紀さんの役目にしよう。なんでウサギの形だって?今年がウサギ年だからです。
    (最初は雨緒紀さんの登場シーンはここのみの予定でした)

    ☆乃武綱と弾児郎が長次郎くんをやたら子ども扱いする
    →子ども扱いされてぷりぷりする長次郎くんが見たかったからですごめんなさい。でも乃武綱たちの子ども扱いはからかう以外にも長次郎くんを危険な目に合わせたくないから、危ない場所から遠ざけるために、みたいな思いがあるからわざとあんな態度を取っているんだ……みたいなものを醸し出したかったのです……。

    ☆長次郎くんが酒を飲んで具合が悪くなる~嘔吐
    →滅却師、本気で死神を残滅させるつもりなら真っ向勝負せず酒や食事に毒くらい盛るよね? 年長者三人はそういうのに慣れてたり、効きにくくなっていたりしそうだけど長次郎くんは耐性なさそう。あと、乃武綱と弾児郎の隊の死神がやられたのもこの毒物だといいな。長次郎くんが盛られたのは痺れ薬とかそういうのを考えました。痺れ薬なので吐いたらスッキリ楽になります。良かったね!
     ちなみに嘔吐シーン、最初は厠にするつもりでした。……が、厠の構造が分からないため書いている途中で変更しました。
     で、ここで毒が回るので長次郎くんは廊下で動けなくなるんじゃないか。じゃあ誰が助けるか……これはもう乃武綱さんしか適役はいない。ヒーローは遅れて登場するではないですが、本当にピンチの時に仲間が現れると言う展開は燃えますよね!
    「俺の隊の連中もこれにやられたか」という台詞は卯ノ花の「執行殿と尾花殿の隊士が数人消息を断ちました」という台詞を作った時に同時に差し込みました。謎要素が増えるかな、と思いまして。あと卯ノ花の台詞は、死神側も被害が出ているから攻め込む口実になるかな、とも思いました。
     乃武綱の「お前が戻ってくる頃には終わらせてやるから」の台詞は割とすんなり入りました。乃武綱さんなら言うかなあ、なんて思いながら……。

    ☆子供を長次郎に近付けようとしない年長者
    →乃武綱と弾児郎は、後で始末する子どもに情を持たないように、長次郎くんに近付けさせないようにしていました。このシーン、実は最初は全く逆の展開でした。
    弾児郎「あのお兄ちゃん、こういうところに慣れていないからちょっとお話してあげて?」
     このセリフを入れて、緊張する長次郎くんを気遣ってむしろ子どもを近付ける、という展開にしようとしましたが、後で読み直したらいやこれは違うなと思い変更しました。

    ☆花魁(卯ノ花)が元柳斎をからかう
    →卯ノ花さんなら花魁姿でなくても普段から「ずいぶんとまああの子のことを大事にしてるのね」とからかいそう。ってかからかって欲しい。元柳斎殿はそれを聞いてからかうなって返すけど、耳まで真っ赤になって欲しいなぐへへ。

    ☆広間で弾児郎とともに戦う
    →弾児郎の戦闘シーンを書きたくて、弾児郎と組ませました。なお、
    弾児郎「覚悟決めろ!」
    長次郎「覚悟ならとうにできてます!」
    弾児郎「上等!」
    このやりとりはわりと早い段階で決定していました。弾児郎に上等って言わせてみたかったんだよう……!

    ☆弾児郎「できるできないじゃなくて、長次郎は……やっちまうんだよな」
    →これは能力的にできるかできないかではなく、長次郎は元柳斎のために理性を越えちゃうことを弾児郎は見抜いており、それを乃武綱に伝えるというシーンのつもりです。弾児郎さんに限ったことではなく、乃武綱が気付かない点は他の隊長がさらっと補ってくれていたらいいなあ……!

    ☆憑依合体! ユハ様!
    →憑依とか体の乗っ取りとか魂を移すとかそういう展開好きなんだよなあ……誰か仲間いませんかね(笑)
     子どもが長次郎くんを刺したり斬魄刀を奪ったりするのですが、いくら兵として訓練されていてもやっぱり体格差で不可能。ならば子どもの中身が長次郎くんより強い存在だったら……ということでユハ様に登場してもらいました。正直ここが一番の捏造要素だと思います。そしてユハ様に不穏なことを言ってもらいました。千年後現実になってしまうわけですが……ううっ……なんでやまささ死んでしまうん???

    ☆帰り道のシーン
    →ここは書きはじめてからも悩み、最終的には直前のシーンまで書いてから練り直したシーンです。最初は元柳斎、長次郎、乃武綱、弾児郎で歩いて帰る、元柳斎がおんぶする、元柳斎に思いを吐露するという内容でしたが、最終的には乃武綱にしました。何故かというと一番は書きやすいから。乃武綱さんが出てくるとまあ台詞が進む進む。乃武綱さん凄い。
     後は、長次郎くんがぽろりと弱音を吐くのは乃武綱さんが一番吐きやすいような気がして。元柳斎相手でもいいんですが、元柳斎は口下手なので気の利いたことを言ってくれなさそう……乃武綱さんのほうがお話してくれそうだな……と思い大きく変更。乃武綱さんなら長次郎くんにズバズバ言ってくれそうですし。
     「長次郎が変わらないことが元柳斎にとっても救いになる」と乃武綱に語ってもらうことによりやまささの関係性を深めようと思いました。心の在り方については「長次郎くんにはこうなって欲しくない」の逆のことを語ってもらいました。こうなって欲しくないというのは感情もない、悩まないし周りのことを考えないし、なんにも感じない機械のような人間。乃武綱さんたちは長次郎くんにそうなって欲しくないと願っているんじゃないかな……?例え多くの死神の上に立つ存在になっても、いくら年を重ねても、今の長次郎くんがもっているいい部分を忘れないで欲しい、なくさないで欲しい、そうして成長して欲しい、なんて思いました。

    ☆長次郎くんが雨緒紀に「あの飴役に立ちました!」とお礼を言うシーン
    →最初は入れないつもりでした。長くなるので。でも「小説の中で出た疑問は同じ小説の中で解決する」としたいので挿入。
     実は、最初はこういう展開でした。

    長次郎「王途川殿、あの飴役に立ちました」
    雨緒紀「ん?」
    長次郎「子どもにあげたら喜びました。もしかしたら、最後に良い思い出を作れたのかな、などと思い……王途川殿はそこまで見越してあの飴をくださったのですね?」
    雨緒紀「待て、あの遊郭子どもがいたのか?」
    長次郎「え? ええ、いましたが……違ったのですか?」
    雨緒紀「お前、遊郭などはじめてだろう。子どもには刺激が強い場所だからな。飴で慰めになればと思って……」
    長次郎「やっぱり子ども扱いしてたんですか!」
    ぷんすこ長次郎

     最初は、今回の任務は元柳斎・乃武綱・弾児郎の担当なのでその三人しか詳細は知らない。だから「雨緒紀が飴をあげたのも役に立ったのもたまたま」という展開にしようとしました。ですがその直後のシーンに繋げるために変更しました。

    ☆乃武綱VS雨緒紀
    →雨緒紀さんについて考えると「ミステリアスなヒール役」みたいになっていきました。乃武綱さんの愛は「見守る、あたたかい、親戚のおじさんのような立ち位置」のつもりです。一方で雨緒紀さんは「長次郎くんにとっての最適解を選ぶ、磨き上げる、研ぎ澄ます教育方針」みたいな感じです。乃武綱とはまた別の愛なんです。
    (最初、雨緒紀は「感情なんて人の上に立つ人間に必要ない。長次郎が備え持つ感情は今後邪魔になる」みたいな話をする役にしましたが、それじゃ悲しいやん……と私が耐えられなくなったためマイルドにしました)
     乃武綱から見ればちょっと冷たい考え方にも見えるんですよね、雨緒紀さん。でも雨緒紀さんは譲るつもりはない。彼も世の清濁を見て来たから。彼なりに長次郎くんを考えているから。これがいいと信じているから。今後乃武綱さんとぶつかったり、時に協力したりする話を書きたい。ってか構想はあるのでいつか書く。

    ☆乃武綱が階段で滅却師を斃すシーン
    →このシーンを書く寸前に思い浮かびました。当初は卯ノ花に真相を聞いて別れる→そのまま二階広間へ行くと、襖が破られ男が吹っ飛んでくるという展開の予定でした。でもその間に……もう一個アクション入れたいよねえ……階段でかっこよく敵を倒したいよね……例えば、投げた斬魄刀が長次郎くんの横をすり抜けてブスリ!とか……乃武綱さんあたりがやったらカッコイイだろうな……なんて思い、急遽挿入しました。乃武綱さんがかっこよくなりすぎて反省しています。

    ☆「お前が執行乃武綱か?」
    →このギャグシーン、書きはじめて嘔吐シーン辺りを書いている時に思いつきました。今回乃武綱不憫要素が少なすぎるなと。昔って写真とかないので、会ったことない人のことを知る手段って伝聞とか文章とか、似顔絵しかない。つまりは名乗らない限り相手のことが分からないことって多かったんじゃないか。なら滅却師側も、誰と戦っているのか分からないかもしれない、だからお前は誰だと尋ねるシーンがあってもいいんじゃないかなと思いました。長次郎くんと弾児郎には乃武綱がその場にいないことをいいことにボロクソに言ってもらいました。特に長次郎くん。長次郎くんは乃武綱のことを年長者として尊敬しているし、本音や弱音をポロっと溢せる身近な存在みたいに思っていますが、乃武綱と間違えられるのは心外だし絶対に許せないというスタンスです。なんじゃそりゃ(笑)
     ですがこのシーンは入れようか迷いました。テンポが悪くなるような気がして。最初は弾児郎の「上等!」でシーンを切るつもりでした。でも無理矢理ねじ込んだ感じです。楽しんでいただけたようで入れてよかったとほっとしています!



     最初のプロットから追加した部分は大体こんな感じです。いくつかは同時進行で考えて組み上げました。正直脳味噌がパンパンになりました。


     あとは伏線をしっかり描写することを意識しました。今回組み込んだ伏線は以下です。

    ☆冒頭、弾児郎が短刀を持っていると長次郎に喋らせる→戦闘後、短刀がなくなっていると乃武綱が指摘する→短刀の鞘を見つけるが中身がなくなっている(=誰かが持って行ってしまった)→子どもが持っており長次郎に襲いかかる

    ☆雨緒紀が飴をあげる→子どもにあげる→部屋の前に落ちていて、それが居場所を伝えるアイテムになる

    ☆雨緒紀の存在

    ☆いかにも「遊郭に遊びに来ました!」という雰囲気→任務だと思ったら遊郭で遊んでいたけど実は任務でした!という展開。

    ☆要所要所で長次郎を子ども扱いする乃武綱・弾児郎

    ☆斬魄刀を脇に置く→置き忘れる

    ☆四葉の存在

    ☆いかにも怪しい花魁→実は卯ノ花でした!

    ☆酒を飲んだら体が痺れ、いかにもおかしい描写

    ☆乃武綱の意味深な台詞「俺の隊の連中もこれにやられたか」「お前が戻って来る頃には全て終わらせてやる」

    ☆卯ノ花「斬魄刀がなかったら鬼道を使うと言う手があったでしょう?無詠唱で使えるでしょ?」→四葉を斃すシーンがまさにこれと同じ状況で。卯ノ花の言った通り無詠唱の鬼道で斃すこととなった。

     伏線はこの辺です。


    【小説を書くときに気を付けたこと】
     今回は長次郎くんが主人公なので『長次郎が主軸の三人称小説』にしました。あとは描写をとにかく臨場感を出すと言うか、その場にいて見て来たかのように書くことを意識しました。私は小説を書く時はシーンが映像だったり、漫画調だったり、あるいは一枚絵で浮かんだりと様々なのですが、やまささを書いていると思うのが浮かんでいるシーンを突き詰めて綿密にすればするほど丁寧に書きやすい、ということです。当たり前やろと言われてしまいそうですが、私は結構大雑把に想像していて、文章も素っ気なく淡々に書く、もっと掘り下げて表現しなければならないところもさらっと書いてしまうことがあって……そこを注意しています。
     ちなみにこのお話。原稿用紙換算枚数が大体97~98枚です。文字数にして31000字ちょっと。執筆期間は一カ月程度です。ただし一月に上げたお話たちと同時進行で書いていたため、この話だけに専念して書いたらもう少し短い期間で書けるかも……私にしては早いペースだぞこれどういうことだ!?


    【キャラのイメージ】
    ☆長次郎くん
     まさに悩める若者。所作美しいし年上・目上にはきちんと敬語を使う子。だけど乃武綱の扱いは雑だし言いたいことははっきりと口にする。感情豊かで元気いっぱいだが、雨緒紀はもうちょっと右腕らしく落ち着いて欲しいと思っている。乃武綱はそのままでいいんじゃね?と思っている。

    ☆元柳斎殿
     長次郎くんを連れて行きたくなかった理由は任務の内容だけではなく、遊郭で花魁と楽しむ自分を見られたくなかったからという理由もあるんじゃないかなあ……。実は初代隊長がいるとすっごく書きにくくなる……やまささなのに……ふええ……。

    ☆乃武綱
     今回のMVPであり長次郎の保護者。私の中の乃武綱さんはやまささ被害者一号であり、やまささ主従からの扱いが雑だったり、拳骨食らったり、団子強制奢りイベントがあったりと不憫な立ち位置。だけど長次郎くんが元柳斎に言えない本音や弱音をぽろっと吐くのもこの人だと勝手に思ってる。長次郎くんは乃武綱さんに甘えている部分があるし、乃武綱さんは長次郎くんの甘えを受け入れている部分もある……そんな関係なんじゃないかと。今回はヒーロー色強めな描写が多かったです。
     シリアスからギャグまでこなせる最強おじさん。ほんとこの人書きやすいんだけどなんで???

     ここからは完全に妄想なんですが、この乃武綱さんは雀部副隊長が見えざる帝国との戦闘で命を落として地獄に行った時、すっごく悲しみそうだな。傷だらけで、左手も千切れてボロボロになった副隊長を見て目を丸くして、顔をくしゃりと歪めて副隊長を抱きしめるんだ。副隊長はそんな乃武綱を見て戸惑ったように「執行殿……?」と昔の呼び方を口にするから乃武綱は何も言えなくなって、やがておいおいと泣き出す。痛かったなあ、辛かったなあ、頑張ったんだなあ……とぎゅうぎゅ抱きしめられるし他の初代隊長たちも集まって来るから恥ずかしくなった副隊長は「大袈裟ですよ」なんて気楽を装って言うんです。でも乃武綱は副隊長を離さないし、ずうっと泣き続けている。
     ひとしきり副隊長をねぎらった後、ぽつりと「お前は立派な右腕になって、山本を守りきったんだなあ」なんて言われて、副隊長の心がぐらりと揺らぐわけですよ。自分を導いてくれた大人に、認めてもらえたような褒めてもらえたような、そして自分の頑張りを喜んでくれたような言葉を言ってもらえて、副隊長の目に熱いものがこみ上げてきて……やがてぽろ、と涙がこぼれたのを皮切りに泣き出すんです。いつの間にか凛としていた副隊長の顔はかつての長次郎くんの顔に戻って、乃武綱と一緒に声を上げて泣くっていう……そういうエピソードがあったんじゃないですかね?
     こんなお話が見たいです。自分で書きたいけど悲しすぎて無理……だめ涙が出る……(自分の妄想で泣く人)
     なんで死んじゃったんだよ副隊長……!

    ☆弾児郎
     『にへら』とか『へらっ』と笑うイメージ。機嫌が悪くても笑っていそうというか、笑いながら怒りそうとかそんな感じがする。闊達、豪快、おおらか。声を上げる時はあっはっは!と笑いそう。一人称はひらがなで「おれ」だし「ありゃ?」とか「なくしちまったのかねえ?」とかちょっと間延びした話し方だといいなと思いながら書きました。長次郎くんのことは大きなわんこみたいに思っている。わしゃわしゃと頭を撫でそう。
     手が大きく手のひらが厚いイメージ。戦う時は斬魄刀以外だと敵をぶん殴ってそう。なので殴って鼻の骨を折ってもらいました。刀を逆手で持ってるので殴りやすそうですし。

    ☆卯ノ花
     かんざしで戦うなんてありえんとお叱りを受けるかと思っていましたがそうでもなくひとまず安心しました。ここからは勝手な妄想ですが、卯ノ花さんは戦いこそすべての人で、剣を極めた人。ですが鬼道なども使えるし、剣以外の戦い方も知っているんじゃないかと思いました。今回も「斬魄刀がなければ鬼道を使うと言う手もあるはず」と長次郎に助言をしていたように、こういう時はこう戦えばいい、こんな時はこの武器が適しているなど実践では使わないだけで最低限の知識は持っているのではないかと勝手に思っています。
     あと、普段は死覇装なので洒落っ気がありませんが興味がないわけではなく、今回のように機会があれば案外ノリノリで化粧とかしてくれたら可愛いなと思います。

    ☆雨緒紀
     この人ね~~~~~!ちょっと難しかった……冷徹なヒール役になりそうだった……。乃武綱と教育方針は違っても長次郎を一人前の右腕にしたいという気持ちは同じ。乃武綱ととことんぶつかって欲しい。雨緒紀に関しては今後もっと出していく予定です。
     感想で雨緒紀さんのことを「長次郎には目が届いて守れる間に経験させておきたい」と書いてくれた方がいたのですがそう!!!それを書きたかったの!!!直接的には書かなかったから伝わるか不安だったけど伝わってた!!!ありがとうございます!


    【反省点】
    ・乃武綱さんがかっこよすぎた。次はもっと不憫パートを入れる予定
    ・元柳斎殿の出番が少ない!これでやまささ名乗っていいのかよ!!!


    【今回の自画自賛ポイント】
    『建物全体が興奮に震え、希釈される淫靡さの上に死の匂いがたちこめるのを感じながら……』
    『厳格さの中にある、人として最後まで残っている部分。元柳斎の顔は保っていた精神に蓋をし、修羅へと足を踏み入れる寸前の顔だった』
     ここの文章は気に入っています。やっぱり仕事中に考える文章は違うね!(真面目に仕事しろ)


    【今後書きたいもの】
    若やまささと初代で現時点で薄く構想があるもの
    ・長次郎くんがいろんな隊長といろんな任務に出る話
    ・乃武綱と雨緒紀の話
    ・雨緒紀さんが活躍する話
    ・金勒さんと乃武綱さんの話
    ・長次郎くん女装任務の話
    など。可能なら沖牙さんも出したい。とにかく書きたいもの全部書いてやる!!!例えどんなに長編になっても!!!

     今後も捏造たっぷり、ギャグあり、乃武綱さんの不憫パートありのお話を書いていきたいと思います!
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    hiko_kougyoku

    DONE若やまささ+千日、逆骨
    「世のため人のため飯のため」④
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブあり。
    世のため人のため飯のため④  4

     逆骨の霊圧を辿ろうと意識を集中させるも、それらしき気配を捕まえることは叶わなかった。そういう時に考えられるのは、何らかの理由で相手が戦闘不能になった場合――そこには死亡も含まれる――だが、老齢とはいえ、隊長格である逆骨が一般人相手に敗北するなどまずあり得ない。となると、残るは本人が意識的に霊圧を抑えている可能性か……。何故わざわざ自分を見つけにくくするようなことを、と懐疑半分、不満半分のぼやきを内心で吐きながら、長次郎は屋敷をあてもなく進む。
     なるべく使用人の目に触れないよう、人が少なそうな箇所を選んで探索するも、いかんせん数が多いのか、何度か使用人たちと鉢合わせるはめになってしまった。そのたびに長次郎は心臓を縮ませながらも人の良い笑みを浮かべ、「清顕殿を探しております」とその場しのぎの口上でやり過ごしているうちに元いた部屋から離れてゆき、広大な庭が目の前に現れた。どうやら表である門の方ではなく、敷地の裏手へと出たようだ。
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