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    さいさい

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    さいさい

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    Int…完成版からカットされた部分

    二者択一の後悔■Integratorからカットした部分



    「世界全部とたった一人のどちらかしか救えないなら、キミはどっちを選ぶ?」
    「随分また極端な話だね。そうだな……状況次第、かな」
    「それじゃあ、キミには想像しづらいかもしれないけれど。キミの一番の親友から、自分と戦わなければ世界が滅ぶぞ、って武器を突き付けられたとしたら……キミは戦うんだろうなあ」
    「まあ、そうなるだろうね。そして勝つ。ボクが負けるなんて許されない」
    何となく合点が行った。エルフはありえたかもしれない過去の話をしている。
    「世界全部とただ一人のどちらかなら、ボクは後者を選ぶね。と、仮でも言えるボクが羨ましいんだろう?」
    「……ああ、そうかも。多分そうだ。おれはね、……いや、ボクだったら、きっとそう考えることすらできなかった。結果が同じだったとしても、個を選んだことをずっと後悔し続けたと思う。そうならなくてよかった」
    全より個を選ぶなどオリジナルにはできない。できないだけの理由がある。すべての条件を鑑み、最善を考慮し、それでも納得できる答えを出したいがゆえに軽々しく勝手など言えないのだ。自分はそうではない。悩まない。迷わない。押し潰されることもすり減ることもなく、本心に一番近い選択ができる。
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    さいさい

    PAST初出時のものです。https://www.pixiv.net/artworks/33511860(現在非公開)のキャプションとして載せた文章。RZ1前捏造
    Scapegoat(初期版)ユグドラシルへは公務の合間を縫って一度だけ踏み入ったことがある。自分の「オリジナル」がどういうレプリロイドであったのかを確かめるために。ネオ・アルカディアの最深部にあるというそれは巨大な機械仕掛けの大樹だった。驚くほど簡単に目的のレプリロイドは見つかった。大樹の根本に埋められるようにして、そいつはひっそりと目を閉じていた。自分に瓜二つであった。部品も、装甲も、造形も何もかも全てが。なんだ、こんなものか、と思った。同じ言葉を声に出して言った。「なんだ、こんなものか。」「こんなって、それはひどいな。」どこからか声がする。ネオ・アルカディアに属する者でもここはほんの一部の者しか立ち入ることは出来ないはずの場所に、誰かが潜んでいることなど有り得ない。思わず周囲を見回すと、弱々しく今にも消えそうなエルフが一体居た。「返事をしたのはキミかい」まるでそうだ、とでも言いたげにエルフが体を揺らせた。「キミがエックスだね」なんだ、このなれなれしいエルフは。思わず顔をしかめると、エルフは悪びれもなく、まだこの世界に来てから間もなくて右も左も分からないんだと、そう言ってのけた。本当に自分が話している相手がどこの誰かもわからないようだ。仕方なしに名乗りを上げた。「ボクがこのネオ・アルカディアの統治者エックスだ。失礼な言動は謹んでもらおうか。さて、エルフ。キミは何者だい。返答次第ではただでは済まさないぞ」エルフはしばらく考えていたようだったが、やがてこう言った。「ボクに名前なんかないんだ。ずっとここにいたんだもの。エックスさまが来てくれたから、これでやっとボクは外に出られるよ」体を揺らし、あまりにも無邪気にそういうものだから、拍子抜けしてしまった。もしかしたらこのエルフはオリジナル・エックスが封印された時、巻き添えを食ってしまった哀れな者なのかもしれない。それ以上相手にする気は失せてしまい、捕まえて外に出してやることにした。敵対意志を持っていないエルフの一体くらい外に放しても問題はないだろう。「ありがとう、ボクを外に出してくれて。エックスさま、大変だろうけどそんなに気負わないでね。」エルフは言うだけ言ってふっと姿を消した。全く、変なエルフだった。それからずっと後になって気づいたが、あれが本物の「エックス」だったのではないだろうか。もし仮にそうだったとしても、あの言葉は今も理解できずにいる。
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