リーンカーネーション(再終/砂場)「こんな山の中で土木作業とはな。お砂場遊びには飽きたのか?」
人間は手に持ったシャベルを適当に地面に刺して立ち上がる。土まみれの手を掃ったが、そんなに汚れは落ちなかった。
「これは二度とぼくがここから落ちないようにするための祈りのようなものなんだ。ぼくにかけられた呪いのように、このぼくが忘れないためのマーカーとして。だからぼくのソウルと同じ色、決意じゃなくて、なくしたものの形」
赤いバターカップが風にそよぐ。けれどずっと無風のままだ。
「このぼくが見たぼくをサンドボックスに閉じ込めておくためでもある。家の中から鍵をかけるみたいにね。リセットしたなら何が起きるか、きみにだって解るでしょう? ぼくは始まってしまったからどのおしまいにも辿り着けない。けれどもう一度始まることはできる、今度はこのぼくを誰もいない地下へ突き落とすんだ。手の両方には杭を打って、言葉は使えないように喉を裂いて」
795