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    hiehiereitoko

    @hiehie_hiehie

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    hiehiereitoko

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    兄が吐いている(燐ひめ同棲軸)
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    #燐ひめ
    rinhime
    ##燐ひめ
    #嘔吐
    vomiting
    #体調不良
    poorBodyConditioning
    ##体調不良

    汚れたいだけ「ぐっ……」
    おなかを殴られたような強い痛みが身体中をめぐる。
    じわりと涙が出てきた。泣いて、揺らぐ。
    視界が歪んで頭が痛い。
    俺はふらふらと立ち上がり廊下に出た。
    床はフローリングのせいかひんやりしている。
    「ぇっ…………っ」
    えづいて、ばんとトイレのドアを開ける。物音とか乱暴とかそんなものにはかまってられなかった。
    「っあ、あうう"ッ!……っは、はぁっ」
    便器の蓋を開けてそのまま顔を中に近づける。
    この美しくない行為をぱっととってしまうあたり限界をとっくのとうに越している気がする。
    「っう、っげぇっ……っ!」
    ぽたぽたと胃液らしい透明な糸が口から垂れる。喉奥が咄嗟にしまったように何も出てこない。
    「っ、はぁ、はぁっ、はーっ、っあ…………」
    息がおかしい。何度も何度も荒くなった息遣いを繰り返す。
    胃の中が逆流して喉元まで迫り上がっているのに吐くことすらできない。
    進んで吐きたいわけではないが、吐けないのもストレスだった。
    何を躊躇しているんだ俺は。
    「っえ、えぅっ、ううっ」
    喉奥の不快感とぐちゃぐちゃになった頭の中が焦燥感を焚き付ける。
    今が何時なのか、それはわからないが、いつまでもこうしてるわけにはいかない。
    「っえ、うぇっ、っは、はぁっ、ええっ」
    ぽたぽたとやや白くなった粘液が口の中から便器へと落ちていく。
    俺は便器のふちを握りしめながらみじめに震えている。
    くそッ、くそッ、俺はこんなことをしている場合じゃないのに。
    かと言ってこのままトイレからは出ることはできなかった。
    胃に酷い不快感があり、もう口の中には酸っぱいような気持ちの悪い酸味までも感じる。
    ベッドに戻ってそこで吐いてしまえば大惨事は避けられない。
    「っえ、えっ、うえっ……っえ!」
    必死で吐こうとすればするほど出てくるのは胃液と、そして涙ばかりだ。
    背中に、おなかに、べっとりとした汗が滲む。もはや冷や汗というレベルではなく、綿100%のパジャマを侵食していく。トイレの中は籠るし、吐くことのできない無力さでまた背中がじわりと滲む。
    もう嫌だ。
    俺は便器の蓋を閉めてその上にぐったりともたれかかった。
    「はぁ……はぁ……」
    限界だった。
    何故俺がこんな苦しまなければならないのか。それもわからない。
    便器の上には涼やかな水色のカバーがかけられており、それはHiMERUが選んだものだった。
    カバーを買おうと言ったのはHiMERUで、色を選んだのは天城だった。
    「これ、メルメルっぽくねェ?」
    「安直ですね。でもHiMERUもそれが良いです」
    「きゃははは。メルメル気に入ってんじゃん」
    「そうですよ。何か悪いですか」
    「……そういうとこ!じゃあこれは買うってことで!」
    「ふふ」
    和やかな一幕。幸せの1ページ。
    だけど爽やかなそのデザインは、俺の嘔吐感を持て余すようにただそこにあった。
    穏やかな気持ちなんて今は微塵にも感じない。むかむかとした不快感とぐちゃぐちゃになった身体が疲れ切っている。
    もういいや。ここで寝てしまおう。
    俺は力尽きるように水色のトイレカバーに身を預けた。
    その、ときだった。
    ――そう思ってトイレカバーの上に身体をもたれかからせた瞬間にことが起きた。
    「ごぼっ!?……っう!……っ、〜〜!!」
    急にぐわりとせり上がってきたものが、一気にオレから出てきた。
    あんなに頑なに出なかったのに、突然こぼれ落ち始める。
    喉が酸で焼けていく。重いような不快感と放出する快感が混ざってぐちゃぐちゃになって一気に襲ってくる。
    「やあっ……っああ……〜〜っ!」
    咄嗟に止めようとしてもまったく無意味だと言うようにそのまま決壊して落ちていく。
    ぼたぼたと勢いのわりに重い液体が放出されていく。
    トイレの蓋を開けることもできずに、その真新しい水色のカバーがみるみるうちに汚れていっている。
    茶色く汚い吐瀉物が直にそのうえに落ちてしまっている。
    「っ、あ、〜〜〜っ!!あーっ、」
    もう嫌だ。吐きたくない。
    さっきと矛盾しているかなんて知ったことじゃない。もう吐きたくない。
    そう思って慌てて喉を締めようとしても、締められていないのかごぼごぼと吐き戻してしまう。止めることすらできない。俺は俺の身体をコントロールすることすらできない。
    重くて、据えた、茶色だかなんだかわからない色の液状のものが俺の口から溢れていく。
    その臭いでまた嘔吐が誘発される。
    「あっ、……ああっ、うあああっ」
    悪循環だ。
    止めて、もう嫌だ。吐きたくない。
    俺はもうわけのわからないほど汚れてしまったトイレカバーを見て顔を歪める。
    じわりと涙が浮かんでは、落ちていく。
    「……………………」
    もう十分吐いたのか、出てこなくなっていった。
    代わりに涙は止まることを知らない。
    そうして俺はぽろぽろと涙を流しながら、呆然としていた。
    何が悲しいのかもわからない。
    吐いてしまったから?天城と一緒に買ったカバーをこんなに汚してしまったから?
    トイレにまで来たのにその中に吐くことができなかったから?
    全部、俺が失敗してしまったから?
    「っぐす……ひっぐ…………っ」
    ぽろぽろとこぼれ落ちていた涙から作用された喉の引きつりがある。しゃくりあげて、その声でまた泣きたくなる。泣きたくなって、そのまま泣く。
    これからどうしたらいいかもわからず、俺はトイレの中でただぼろぼろと涙をこぼしていた。
    所々しゃくりあげるような、軽いえづきに酷使されていた喉奥を焼く。
    ああ、もうだめ……。
    そこから俺は何も覚えていない。トイレをかろうじて開けその隙間に倒れ込んだことが最後の記憶だった。
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