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    sobaccoxxxx

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    #レオシル
    leosil
    #小説
    novel

    妖精族は鼻が効く。
     鼻が効くといっても獣人のそれとはまた原理が異なる。正しく言えば、違和感へ対する感知度が他の種族に関してひときわ高い。そのことについて研究を重ねる学者もいるが、なにせ被検体がそもそもに少ない。ゆえに何にしても「一説によると」という前置きが不可欠な段階を何百年も、下手をしたらそれ以上の時間続けている。が、特に有力な説としては「閉鎖的空間での生活が主であり、外界からの刺激というのは敵意であることが多いから」というものがある。

     次期王たる男のなんとも険しい顔を横目に、数日前なんとなしに目を通した学術雑誌のそんなコラムをリリアは思い出していた。
    「マレウス」
    「……別に何も言っていない」
     それが既に答えだというツッコミは喉の奥へしまい込む。
    「なにかありましたか」
     そんな二人のやりとりを不思議そうに見る男、シルバー。お前がその原因だぞという言葉もまた、リリアは控える。若者の淡く青い恋路を邪魔することほど、野暮なことはない。
    「なんでもない。どうだシルバー、たまにはわしと手合わせするか」
    「いいのですか」
     するりと話題を変えれば、男はたちまち目を輝かせ背筋を伸ばす。
     昔からやけに単純なところは変わらない。変わらなさすぎて、そろそろ心配になって来る。どこかの悪い獅子に食べられやしないか。
    「……いや、それはもう手遅れか」
    「なにか言いましたか」
    「なんでもない」
    「それでは参りましょう、親父殿の気が変わらないうちに」
    「言いよる」
     いよいよというときになったら、ケーキと一張羅でも用意してやろう。
     そんな親としての決意を、リリアは吐息に乗せて空気に混ぜた。
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    のうべ

    Happy New Year一次創作「white memories」のお正月。
    世界観の事情から本編ではお正月ネタはできそうにないので、もしも○○があったら……的なやつです。
    本編は支部や個人サイトに公開してます。

    【簡単な人物紹介】
    ティジ:レリアンという国の王子。好奇心旺盛。
    ルイ:ティジの幼なじみ。ティジのことが好き(ティジはそのことを知らない)
    クルベス:ルイの伯父。城住み込みの医者。
    ジャルア:ティジの父。国王。
    【white memories】お正月「その格好、どうしたんだ?」
    「『着物』って言って東の国の伝統装束なんだって。父さんが外交の時にもらったから着てみろって言ってたんだ」

    ルイの問いかけにティジはその場でくるりと回って答える。因みにここは城に住み込みで働いている医者(ルイの伯父でもある)クルベスの私室だ。部屋の主は席を外している。

    「どうかな?」
    「……うん、まぁ良いと思う」
    首を傾げて感想を求めるその姿に顔を背ける。

    ティジが纏うのは黒の着物に灰色の袴。
    白い髪に赤い瞳という人目を引く容姿には少々コントラストがキツく映ってしまうが、ティジに惚れてしまっているルイには些細なことでしかない。

    「やっぱり、俺には似合ってなかった……かな」
    ルイが顔を反らしたのを、見るにたえなかったかと思いシュン……と肩を落とす。
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