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    #レオシル
    leosil
    #小説
    novel

    妖精族は鼻が効く。
     鼻が効くといっても獣人のそれとはまた原理が異なる。正しく言えば、違和感へ対する感知度が他の種族に関してひときわ高い。そのことについて研究を重ねる学者もいるが、なにせ被検体がそもそもに少ない。ゆえに何にしても「一説によると」という前置きが不可欠な段階を何百年も、下手をしたらそれ以上の時間続けている。が、特に有力な説としては「閉鎖的空間での生活が主であり、外界からの刺激というのは敵意であることが多いから」というものがある。

     次期王たる男のなんとも険しい顔を横目に、数日前なんとなしに目を通した学術雑誌のそんなコラムをリリアは思い出していた。
    「マレウス」
    「……別に何も言っていない」
     それが既に答えだというツッコミは喉の奥へしまい込む。
    「なにかありましたか」
     そんな二人のやりとりを不思議そうに見る男、シルバー。お前がその原因だぞという言葉もまた、リリアは控える。若者の淡く青い恋路を邪魔することほど、野暮なことはない。
    「なんでもない。どうだシルバー、たまにはわしと手合わせするか」
    「いいのですか」
     するりと話題を変えれば、男はたちまち目を輝かせ背筋を伸ばす。
     昔からやけに単純なところは変わらない。変わらなさすぎて、そろそろ心配になって来る。どこかの悪い獅子に食べられやしないか。
    「……いや、それはもう手遅れか」
    「なにか言いましたか」
    「なんでもない」
    「それでは参りましょう、親父殿の気が変わらないうちに」
    「言いよる」
     いよいよというときになったら、ケーキと一張羅でも用意してやろう。
     そんな親としての決意を、リリアは吐息に乗せて空気に混ぜた。
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    今日、水曜日はドラッグストアの特売日。あたしはチラシの隅々にまで目線を走らせ、買うものをピックアップしていった。消毒薬、ガーゼ、包帯、綿球、絆創膏……。あってもあっても、足りやしない。だから、安いときにまとめて買いだめをしなきゃ。使用期限なんて気にしない。だって、ほとんど使い切っちゃうもの。
     目星をつけたものをメモして、チラシを畳もうとしたら、ある商品にあたしの目が釘付けとなった。
    「ロー、ション……? 潤いを、補う……?」
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     いきなり背後霊のように現れた同居人を、あたしは黙ってハンマーで叩き潰した。結局その後も、ローションの正しい使い方はわからず仕舞いだった。

       了 461

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    背中合わせに座ってる二人を書いてみたくて、書いてみた(*´ω`*)

    話の中で二人は服を着てませんが、ほぼ会話だけなので全年齢とします。
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     獠の背中には、今夜あたしが残した傷以外にも、生々しい打撲の痕が残っていた。それは、あたしを庇ったがために受けた傷だった。獠はいつも、依頼人やあたしが爆発に巻き込まれたとき、必ず庇ってくれる。その大きな身体を盾にして、爆風や瓦礫から守ってくれるの。今日だって、そうやってあたしを守り、獠は負傷した。
     それが、獠の仕事。それが、獠の生業。あたしも、頭ではわかっている。けれど、こうして獠の背中を見ていると、あたしのせいで傷つけてしまった事実を、改めて突きつけられた気がした。あたしは、獠の背中へ手を伸ばした。でも、その肌へ触れる直前で、あたしの手が止まった。――触れたからと言って、何が変わるのだろう。謝ったって、慰めたって、感謝したって、この傷が消えるわけじゃない。そもそも、獠自身はそんなことを望んでいない。それは、誰よりもあたしが一番よくわかっている。だからあたしは、その傷に触れることも、その傷ついた背中を抱きしめることもできなかった。それならば、せめて――。
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