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    お題 愛するもの ラブレター 何度でも 
    L視点現パロです、Aと再会します。この一連の話は3人にひどいことが起きているのではなく、3人それぞれに奇跡を科していてマタイの福音書4章の悪魔の要求をいいだけ皮肉ったものです。たとえばAは石をパンに変えろというのを科してまして、原作軸で土の中でメシになり、現パロで無償で肉まんやら豚汁やらばらまくしチーズケーキ買いかけるし酒を配りました。素直に叶えてます。

    嘘つき 公園に戻るとホームレスたちが手押し車に群がって暴言を浴びせていた。
     手押し車を押してるひとをよく見ると昔エースとボロアパートに住んでた時にチーズケーキ売りにきた男と女だ、宗教の勧誘の。
     そいつらに群がるホームレスたちは、カートに手を突っ込んでチーズケーキの箱を服の下にいれたり、高すぎるって暴言吐いたり、天使と市議会議員が描いてある冊子をやぶいたり踏みつけたり唾はいたり。
     そういや選挙カーの音がうるせえな…おれは選挙ポスターが貼ってある壁際のベンチに座ってその一部始終をぼーっと眺めていた。
     夕方になりカートの中のものを段ボールハウスまで運び終わったホームレスたちは公衆トイレ付近の拠点に戻っていった。
     身も心もけちょんけちょんにされた男と女に近づきこっそり財布をスリとりながら、まるで今気づいたかのように「大丈夫か?警察呼ぶか?」と声をかける。
     男と女は立ち上がり、にっこり笑って手押し車の持ち手を掴み歩き去っていった。

     日が暮れる。
     エースと初めて会った個人経営のコンビニにいき、店員がレジにいない間に肉まんを3つ全部ケースから出し袋に入れ、あったかいお茶を持って出た。
     ぼろぼろで半分つかない電子掲示板がちかちか点滅してる。
     店の裏に行き、ゴミ箱のそばにしゃがんで肉まんを一個たべる。
     スマホを開いて3人のグループにLINEを送る。
     既読はつかない、たくさんスクロールしてもおれの言葉だけがひたすら続く。
    『ロビンに会った 笑ってた』
    『サボの家に行った だれか住んでた』
    『公園に行った 5万とった』
    『コンビニに行った 肉まんとお茶と6万とった』
     ほぼ日記だ。
     エースが半ケツでうつぶせで寝っ転がってるとこにサボが顔突っ込んでる背景、左側がずっとからっぽ。
     送信した言葉のはしっこに時刻が表示されてる、もう18半過ぎか。
     スワイプして画面を閉じようとした瞬間。

     時刻の上に文字が表示された。
     スクロールするとすべてのおれの言葉に、すべての時間に触れたしるしがついていてもう一度いちばん新しく送った言葉の左はじを見る。
     
     既読1
     18:40
     
     おれは画面をじっと見つめた、頭のはじっこがじくじく痛むくらい近くで見た。
     スマホの左上の時刻は18時42分、43分、44分。
     選挙カーの音が聞こえて遠くに通り過ぎる。
     45分、46分。
     あったかいお茶を飲み干して燃えるゴミのゴミ箱に投げ入れた、既読1。
     音声通話をしようと右上の電話マークをタップすると、画面上のおれの言葉が上にがくっと動いた。
     
    『うそかくな』

     すぐに受話器のマークを押して袋を持って走った。
     コール音がずっと響いて途切れる。
     たった5文字なのに相変わらずめんどくせえ、思えばゴム飛び教えたときからずっとめんどくせえやつだ、もう一度受話器のマークを押してコール音を響かせる。
     2回、3回とかけてもつながらなかった、繋がらないうちに前エースと住んでいたアパートについた。
     ちいさくコール音が聞こえて手足が戦慄いた。
     燃え上がった跡が残ったままだ、裏にまわり割れた窓のそばまでいく。
     この窓7年前にサボが割って、5年前におれが火炎瓶投げ入れて。
     ガラスが焼け溶けて固まった窓のサッシに手をつき中をのぞく。

     墨になって今にも倒壊しそうなちいさな部屋の真ん中に、じじいがいた。
     髪が灰色で、近くにコンビニの袋があった。
     じじいは折れ曲がった指を震わせ、床に置いた呼び出し音を鳴らし続けるスマホを何度もゆっくりタップしていた。
     おれがスマホを閉じるとじじいのスマホの音も止んだ、それでもじじいはゆっくりゆっくりタップしてる。
     文字を打っては消して打っては消してを繰り返す姿は昔よりずっと小さく見えた。
     
    「エース?」

     じじいは反応しない。
     土足で家の中に入り近づくと、手が、足先が、頭をもたげてよく見えるうなじが全部かたくがさがさと粉をふいているのが見えた。

    「エースだろ?なんでここにいるんだ?仮釈放か?エース、なあ、おれ、おれ…」

     汗ばんだ手で肩を叩くと息を飲みおれに振り返った。
     サボよりも広範囲に焼け爛れた痕が残る顔で、おれを見上げたエースはなにも言わず、目を見開いて、目を泳がせて、顔をジャージで隠した。
     喉からヒューヒュー音を鳴らしながら少しずつ後ずさってるけど左足が全く動いてない。
     床でひかるスマホの画面を見ると『こえでねえみみもきこ』と打たれた文字が見えて、おれは手と膝とおしりをついて床に突っ伏した。
     エースとはじめて一緒に風呂入った日のことを思い出す、ルフィはしねえ、そんなこともうしねえ、しねえったらしねえ、もししたら。

     自分のスマホを出し、トーク履歴をさかのぼってエースに見せる。
     コルボ島を散歩していたとき、エースの記事を読んだ直後のLINEだ。

    『不在着信』
    『不在着信』
     
    『エース燃えたってほんとか』 
    『ムショ入ってんのか?あんな適当なかくしかたと殺し方だぞ誰もおれがやったって気づいてねえのか?』
    『なあサボ、エースは?』

    『不在着信』 
      
     3/27(月)  

    『不在着信』 
    『エースおれエースに言わなきゃなんねえ』
    『エースが焼けたの不審火じゃねえんだ』
    『不在着信』

    『不在着信』

    『おれが家燃やしたんだ』

    『ほんとに刑務所入ってんのか』

     3/28(火)

    『不在着信』
     
    『サボ、エースすまねえおれがエー


     ぱっと画面を伏せられた。
     エースは目を閉じて首を振って、自分のスマホをひらき、何度も誤タップしながらLINEのトーク画面を開き、曲がった指をさす。

    『うそかくな』
     
     エースの手を払ってまたおれのスマホの画面を下にスクロールした。
     何をとった何を奪ったあれを壊した誰を脅した、そんな罪かさねた出来事の羅列をまたエースは隠す、隠して嘘だと指をさす。
     おれはまた土下座みたいにうずくまる。
     おでこを床に何度もこすりつけ、そのまましばらく動けないでいた。
     
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    L視点現パロです、Aと再会します。この一連の話は3人にひどいことが起きているのではなく、3人それぞれに奇跡を科していてマタイの福音書4章の悪魔の要求をいいだけ皮肉ったものです。たとえばAは石をパンに変えろというのを科してまして、原作軸で土の中でメシになり、現パロで無償で肉まんやら豚汁やらばらまくしチーズケーキ買いかけるし酒を配りました。素直に叶えてます。
    嘘つき 公園に戻るとホームレスたちが手押し車に群がって暴言を浴びせていた。
     手押し車を押してるひとをよく見ると昔エースとボロアパートに住んでた時にチーズケーキ売りにきた男と女だ、宗教の勧誘の。
     そいつらに群がるホームレスたちは、カートに手を突っ込んでチーズケーキの箱を服の下にいれたり、高すぎるって暴言吐いたり、天使と市議会議員が描いてある冊子をやぶいたり踏みつけたり唾はいたり。
     そういや選挙カーの音がうるせえな…おれは選挙ポスターが貼ってある壁際のベンチに座ってその一部始終をぼーっと眺めていた。
     夕方になりカートの中のものを段ボールハウスまで運び終わったホームレスたちは公衆トイレ付近の拠点に戻っていった。
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