タイトルなんてないかまど伯爵家で、長男のΩの🎴くん、貴族学校で周りからΩだと馬鹿にされまくるのが嫌すぎて、抑制剤飲みまくりながら並いるαの貴族達をちぎっては投げちぎっては投げして身体を鍛えまくってたら、学園一の強さになっていた。
最近では薬の飲み過ぎで調子も悪くなりがちで(気合いでなんとかしている)、せめて結婚して番を作れば体調が良くなるからと縁談の話も来るのだが、妹の🐭がせめて結婚するまでは自分もしないぜ⭐︎、あとより弱い相手とは結婚しないぜ⭐︎的な感じだった。
あと、🎴は大昔に一度だけ出会った金髪に髪の先が朱色で、金環の瞳を持った、自分よりちょっと年上の男の子が忘れられなかった。Ωの割にやんちゃだった🎴は、自領の山に入って遊んでいた時怪我をして動けなくなってしまった。そんな時に、その金髪の男の子がたまたま🎴を見つけて助けてくれたのだ。🎴はその男の子がαだとわかって、馬鹿にされると思い込み最初は助けを断っていたのだが、なんだかんだでその男の子に背負われてしまった。背負われている間も、その男の子にずいぶんと酷い事を言ってしまった。でもその男の子はそんな事気にしない様子だった。むしろ🎴が強がっている事がわかっていて、怖がらないように励ましてくれて、山の中で休憩中に頭を撫でてくれたりした。かなり遅い時間になったが何とか麓の🎴家まで辿り着き、家族の元に戻れた🎴は、家族に抱きしめられて泣きじゃくってしまった。その間に、男の子はいつの間にやらいなくなっていて、結局、その男の子にお礼を言えないままとなってしまった。結婚するなら彼のような男の人がいいと、常日頃から夢をみていた。結局、あの後から一度も会ってはいないのだが。
妹の🐭は🎴と同級生で伯爵家の⚡️と仲良しだった。🎴から見てもお似合いの二人だし、⚡️は自分より弱いけど芯の強い奴だから妹を任せても安心だ、学校を卒業したら⚡️家に嫁がせよう、なんて思っていた。そんな矢先、🐭に突如縁談が舞い込んだ。断ろうにも相手はどうも自分達より階級が上の侯爵で、🔥という奴らしい。しかも、その🔥とかいう男は騎士団長をして相当なイケメンらしいが、変人で色恋沙汰に全く興味がなく、いよいよ王からもいい加減今回の縁談で結婚するようにと圧力がかかっているそうだ。🐭も家族も泣きそうになりながらも承諾するしかなかった。
🎴は激怒した、そんなやつは碌なもんじゃない、これは縁談の日に文句を言って何なら殴ってやろうと意気込んでいた。
さて、当日になり🎴家に🔥がやってきた。黒髪で青い目の男だった。遠巻きに見た感じだと確かにイケメンだが、どうにも冷たい印象を受けた。🐭と話をしているのをこっそり聞いていたのだが「キミは俺に相応しくないようだ」だの「伯爵家の割にみすぼらしい」だの言って、🐭を蔑んでいるようだった。怒りで我を忘れた🎴は部屋に飛び込んで、🔥の胸ぐらを掴んで頭突きをお見舞いしてしまった。
頭突きされた🔥は、ヨロヨロと後ろに下がってそのまま床に倒れ込んでしまった。やってしまったが仕方ない、こんな変な奴のところに嫁いでもどうせ後が不幸になるのが目に見えている。だったらお咎めを受けた方がマシだ。
倒れ込んだ🔥は頭突きが相当痛かったようで床でゴロゴロとのたうち回っていた。すると、🔥の髪の色が黒から綺麗な金の色へ変わっていく。驚いて🎴がみていると、🔥はゆっくりと起き上がって、目を開いた。瞳は青から金環を持った瞳に変化していた。🎴は昔山の中で助けてくれた人だとこの時ようやく気がついた。驚きで声も出せない。
🔥も🎴を見て、とても驚いた様子だった。
「......、君は......、もしや🎴か?」
男はふーっとため息をついて、立ち上がって🎴に近いた。
「ようやく見つけた」
🔥は🎴の頭をそっと撫でた。🎴は助けられた時を思い出して、思わず顔が真っ赤になった。そして、🔥は🎴の頬を撫で、そのまま顎に手を添えた。
「俺は今回の縁談を断れない。だが🎴、君は妹を嫁がせるのが嫌なのだろう?だったら君が俺の妻になればいい」
「えっ?あっ、えっ?」
🎴は頭が真っ白になって、何か喋ろうとパクパクと口を開いたが、単語にならない声をあげてしまった。
「どうする?俺の妻になるか、それとも妹を嫁がせるか?」
ニヤリと笑う🔥に、🎴は首を縦に振る事しか出来なかった。
そのあと放心状態の🎴は、🐭にしっかりして!と怒られつつ、何とか🔥と話し合い、結果、🐭ではなく🎴が🔥家に嫁ぐこととなった。🔥の話をよくよく聞いてみると、当初は王から無理矢理縁談を持ち込まれてしまったが、なんだかんだ理由をつけて断る気だったらしい。しかも、今まで縁談を断り続けていた理由が、🎴を探していたからだったという事がわかった。🔥も幼い時に出会った🎴が忘れられなかったそうだ。お互い両思いだった事が発覚して、🎴は恥ずかしすぎてソファーがら転げ落ちてしまった。お互い好き同士ならさっさと番になった方が色々と安全なのだが、しかし、🎴はまだ学生だし、🐭が⚡️のところに嫁ぐのを見届けるまでは自分は幸せにはなりません!っと言うものだから、🔥は渋々待つことを了解した。
それでも、どうしても🎴と一緒に住みたい🔥は、わざわざ🎴の家の近くに家を借りて、そこで二人で住まないか?と言ってきた。🔥なりに、🎴がいつでも家に帰れる距離を選んだらしい。そこまでされては🎴も断れず、現在、二人で新居で暮らしている。
🎴はどうにも🔥と一緒にいるのが苦手だった。この日も夜に🔥に呼ばれて、浮き足立ながらも寝室に入った。緊張してガチガチの🎴を見て、先にベッドの中に入っていた🔥は、ふふっと笑っている。
「🎴、まだ緊張しているのか?もう暮らし始めて一週間ほど経つのだが、まだなれないか?」
「う、だって、🔥さんの匂いが良すぎて......」
今までαの匂いに慣れていなかった🎴は、この匂いに酩酊してしまう。それが恥ずかしくて仕方ない。
「俺は🎴が気持ちよさそうな顔になっているのを見るのは好きだぞ?恥ずかしがることはない、さぁ、ここへおいで」
呼ばれるままベッドに入った🎴を、🔥は抱きしめて、口づけを落とした。それだけで🎴は骨抜きのくにゃくにゃになってしまう。
「そんな物欲しそうな顔をすると、うなじを噛んでしまうぞ?」
その言葉にハッとして、🎴は思わずうなじを抑えた。まだ噛まれる訳にはいかない、が、この人になら噛まれたいという気持ちもあって、顔がどんどん赤くなっていく。
「......、まだ噛んじゃダメです」
「噛まないさ、君が嫌がる事はしない。でもいずれ、そこを噛ませてほしい」
うなじを抑えている指の上からペロリと舐められて、🎴はひゃっと小さく声を上げた。それをまた可愛く思われたのか、🎴は🔥に追加で口づけされた。
本当は、🔥はもっと先までしたいのかもしれない、でもそれは🎴が望んでいないことがわかっているから、絶対にしてこなかった。なんて良い人なのだろう、いずれは必ずこの人と本当の番になりたい、🎴はそう思った。恥ずかしくても、でもはっきりと🎴は🔥に好きを伝えた。
「俺も未来で、必ず貴方に噛んで欲しいです......、だから、今はこれで我慢してください!」
🎴から突然口づけされて、🔥は驚いたあと、フーッと大きくため息をついた。
「あまり可愛いことをしないでくれ......、我慢できなくなる」
どちらが先に我慢できなくなるか、それはまだわからない先の話だ。