鈴いくら挑戦しても勝てない。余裕な顔で親友だと言って酒を呑み交わそうと強引に座らされ呑まされた。
悔しがる俺にまた相手してやると鈴をくれた。こんな鈴なくても気配で分かるのに。
それでもどこか嬉しい俺がいてますます不愉快になった。
だが人間に負けて首を取られた。信じられなかった。いなくなったら勝てないじゃないか!取り返して、今度こそ勝つんだ!!
だが取り返すのに腕一本を失った。それでも取り返したのだから軽いものだ。
やっと生き返らせた。
さあ、また戦おうぞ!!いつものように鬼の頂点にかけて滾る戦いを!!!
しかし第一声は冷たく誰だと言われた。これだけで今までにない痛みが走った。この痛みは何だ?傷が無いのに血が出ていないのに、どこかでズタボロされて血を流している。
「・・・・・・友だ」
無意識にいつも言われたのを言った。その瞬間に理解した。
だが気が付くには遅かった。もうあの頃に戻れないのだ。
あの頃と変わってしまった。女に溺れて振られてから酒呑みが酷くなった。
こんなの違う!!いつもは余裕で酒を呑み交わして冗談を言ってくる鬼の頂点たる風格があった。
なんとしても思い出して戻そうと頑張っているが拒否される。そのたびに血を流す。もうこの痛みを味わいたくない。どうしたらいいのだ。
自問自答した結果、全て受け入れる事にした。
この痛みを愛として愛そう。
どんな仕打ちでも愛だと受け止めよう。
どんな姿であろうと愛している。
生きていればそれでいい。
思い出すまで愛してやろう。
思い出さないかもしれないがそれでも愛してやる。
思い出したら、この愛を伝えよう。
どんな返答だろうと居る限り愛し続けるぞ。
──鈴が鳴る・・・。
「鈴の音が聞こえる・・・全て失った・・・」