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    尻叩き

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    まだこれから色々と変更点はあるけど一旦これで
    パンちゃんお誕生日おめでとう!

    フレオル ピアスの話行為の後は疲れて眠ってしまう。
    単純に自分の体力の無さもあるが、気づけばフレデリックが部屋からいなくなっていて、起きていても仕方ないと感じるからだ。
    なのに、今日は珍しく同じベッドにいて、ちょうどコンドームを結んだところだった。
    「今日は居るんですね」
    「邪魔って言いたいんですか?」
    棘のある言葉に辟易しながらも、そうではない事を告げて誤解を解く。
    「珍しくなと思って。いつも一人でどこかに行くじゃないですか」
    彼は耳たぶに付いたピアスを触りながら、歯切れの悪い返事をした。
    「まあ、その……一人の時間が欲しい、それだけです」
    気がかりな事があるのか、それとも単純にそばに居たくないだけなのかは分からない。
    けれど、単純にいつもと違うルーティンが発生したので驚いてしまった。
    私に何か言いたげに開いた唇は、何でもないと言わんばかりに固く閉じられる。
    そして、何も言わず部屋から出ていこうとした。
    「待って」
    何故行為中に気づかなかったのだろう。
    私は畳んでおいたシャツを羽織り、彼に詰め寄る。
    その時、彼の喉に光る何かが見えてギョッとした。
    「喉、知らないピアスが開いてるんですけど」
    「何妬いてるんですか、たかがピアスくらいで」
    たかがピアス、その言葉が妙に引っかかる。
    「なんで、私の知らないところで」
    自分でも不意に出た言葉に驚く。
    彼とはそういう仲だが、色恋に発展しているわけではない。
    ただ、性欲を満たすためだけの関係なのに。
    「私の事、オルフェウスさんはそんな風に見ていたんですね。たかが身体の関係だけで好きになるなんて、貴方も初心な方だ」
    否定するのも違う気がするが、この場合何と答えれば良いのか分からない。
    「それに、今更貴方に『ピアスを開けるな』と言われたとてやめませんけどね……癖、みたいなもんなんです」
    「それって自傷行為じゃないんですか」
    彼は深いため息をつき、これだから素人は、と言った目付きで私を見る。
    「理解出来ないのなら、私をモノにするのは不可能だと思います」
    突き放すような口ぶりに、思わずたじろぐ。
    彼に拒絶されたような気分でその日は一日眠る事ができなかった。

    翌日の夜。
    散々な試合結果の中、勇気を振り絞ってフレデリックを部屋に呼び出す。
    「また性行為ですか?官能小説でも書くおつもりで?」
    棘のある言葉が私の精神を抉る。
    「そうではないんです、私も貴方のことを知りたく思い……っ」
    矢張り、初めてを人に頼むのは緊張する。
    「へえ、珍しい。私に開いたピアスを全部見つけるまでイけませんでもやりますか?」
    わざと煽るような口調のフレデリックに、私は奥歯をかみしめた。
    飲まれてはいけない。思えば思うほど空回りするのは目に見えているはずなのに、気がつけば煽り返していた。
    「そんなことをして何が楽しいんですかね。お貴族様の考えることは庶民には分かりかねる」
    その言葉が、彼の琴線に触れたようだった。
    長い睫毛の下に潜む、獲物を見つけた時の獣の目は私をはっきりと捉える。
    「教えてあげますよ、私たちの愉しみを」
    彼は私を引き寄せてキスをする。
    舌を捩じ込むフレンチキスに思わず目を見開いた。
    しかも、絡まった舌の間に金属を感じる。気付かれないようにそれを舌先で追いかけると、勝手に深いキスになってしまい、これが策略なのかと腰を仰け反らせた。
    唇を離す頃には、砂糖のような甘い吐息が口から溢れる。
    「これがそんなに良かったんですね。貴方が自傷行為だと揶揄したそれで興奮しているなんて、私の方こそ理解に苦しみますよ」
    次は私の両手を掴み、自らの耳に誘導する。
    「これらは私の家族を表しています。上から父、母。私が成人した日、二人を護る存在になりたいと思い開けました。貴方には分からないでしょうが」
    「そんなわけ……っ!」
    今度は手を首の後ろに回させる。
    「ふうん、貴方はそこが定位置なんですね」
    何のことやら、と思っていたら彼はもっと下を触れと言った。
    襟の隙間から手を入れると、程なくして硬い何かがぶつかる。
    「……それは、初めての恋人が付けた物です。そんなに私を抱きしめたときの定位置にピアスを開けさせているんです。まあ、貴方には関係ないですけど」
    いちいち癪に障るような言葉で私を刺激する。
    「私の思い人になりたいなら、その減らず口を直してください。そうでなければ貴方とは一生……身体だけの関係です」
    捨て台詞のような言葉を残し、彼は部屋を後にする。
    残された私は、胸に穿刺が刺さったような気持ちに苛まれた。

    そして、彼はゲームに行ったきり二度と戻ってくることは無かった。

    終わり。
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    DOODLE
    🧲フールズゴールド食卓には、色とりどりの食事ではなく、宝石が積み重なっている。それらを一つずつ手に取って、これらの俺のものだと笑った。こんな簡単に手に入ってしまうなら、今までの人生がバカバカしく思うがそれでも良い。
    なぜかって?
    これだけの財があれば、今までの人生がどれだけクソだったとしても、それを取り返せるだけの金があるからだ。
    これはルビー、サファイア、そしてかつて採掘していた金塊に金貨まである。
    「これで俺も勝ちまくり、モテまくりってか」
    同僚と雑誌の回し読みをした時、裏表紙の広告にあった文句を呟いてみる。女の肩を抱いて札束風呂に入っている男の姿を思い出し、俺もようやくこちら側に来たのだなと実感した。
    荘園に来た時は周りの人間たちと自分の境遇があまりにも違いすぎて、一周回って自分より位が上の人間の事が嫌いになりかけた。けれど、俺もいずれ彼らと同じ地点に到達するのだと思ったらむしろ彼らから学ぶべきだと思ってからは、一つひとつの行動を観察するようになった。技術は見て盗めと教わってきたので、テーブルマナーも立ち振る舞いも全て周りの人間を見て勉強した。今までの行動は全てこのためだったのだろう。
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