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    赤ボールペン

    @lamwpam9

    支部の下書きの供養目的ではじめました
    支部↓
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    赤ボールペン

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    供養 五伊地になるはずだったなにか https://t.co/CNlgMEL72f のつづき
    『五伊地になんとか出来た何か』

    #腐術廻戦小説
    fudoJutsuKaisenNovel
    #五伊地
    goiji
    #腐術廻戦
    theArtOfTheRape
    #五条悟
    fiveGnosis

    五伊地に出来た何か親友であったはずの夏油傑が離反した後の五条は荒れに荒れた。そしてとうとう任務で一緒になったどうにも要領の悪い補助監督へ暴力を振るってしまい、今の自分の実力と夏油の二の舞を恐れて空き教室では安心できないと判断されたのか本来呪詛師を一時的に勾留させる牢屋のような所に閉じ込められた。
    しばらくしてようやく出れたが五条の苛立ちも戻れた校舎内も変わらない。

    「僕にはもう無理です」
    戻った直後この業界を抜けると七海に廊下ですれ違いざまにそう告げられた。
    「……あっそ」
    灰原の死か、夏油の件か、それともその他の理由が有るのかと理由を訪ねるのすらもう億劫だった。
    後輩という贔屓目を抜いてでも即戦力になる人材だと評価していたが、本人にもうその気がないのなら駄目だろう。周囲が説得してなんとか踏みとどまっても一度その目をした人間が結局呑まれて潰れていってしまうのを生まれた時からこの業界に居る自分はもう何回も目の当たりにしてきた。
    先輩として引き止める必要はないし、後輩として何か謝罪などの言葉をかける必要もない。向こうもそれを察していたのかこの二言のみで僕たちは見知らぬ他人のようにすれ違って行った。
    そのまま自分は校舎の外へ吹き抜けになっているお気に入りのベンチに腰を掛け深く息を吐く。
    「………誰だっけお前」
    先程から自分を目にしてその前を通り過ぎようか躊躇している人の気配に苛立って声をかけた。
    「あっ…えぇと、今年入ってきた一年です」
    顔を向けると確かにうちの学生服を着ているその一年は今にも折れてしまいそうな細身に青白い顔をしていて、その臆病そうな声や口調にいかにもお似合いなルックスだった。今年の入学生のことなど進級してからのあまりの忙しさから完全に忘れていた。
    少し躊躇う素振りを見せたものの今のやり取りからかオドオドとしながらもこちらに歩み寄って自分の目の前で立ち止まった。すっかり通り過ぎるのだと思いきっていた為、驚いてまたその姿を見つめる。
    「なに?」
    「いえ、五条先輩にだけまだご挨拶出来ていなかったので…」
    苛立ちを越えて殺意すらこもっていたであろう自分の態度にビクつきながらもハッキリと返答された。もう亡くなってしまったとはいえ社交的だった灰原は勿論つい最近まで先輩だった夏油もおそらく含まれての"自分だけ"なのだろう。
    「………あの、よかったらコレ飲まれます?」
    回らぬ頭を下げてボンヤリと考えていると再び頭上で声がする。少し顔を上げると目の前にはスポーツドリンクのペットボトルが差し出されていた。今まで気づかなかったが全く同じスポーツドリンクをもう1本片手に持っていた。
    そういえばこの3日食事どころかろくに水分すらとっていなかった。そのことを思い出すと急激に喉が渇きだしそのまま遠慮なく受け取って飲み干し空になったペットボトルをそのまま差し出された手に押し返した。自身は衛生的な面で綺麗好きというか潔癖な節があった気がするが、まだ回らぬ頭のせいか今は全く見知らぬ初対面の相手に差し出されたものを口にするのも、空になった容器を押し付け受け取られても全く不快でなかった。
    「2本も飲むの?」
    500mlとはいえ2本も収まりそうにない身体を見つめて今度は自分から問い掛けた。寮に冷蔵庫があるが自販機でいつでも買えるものをわざわざ買溜めするとも思えない。
    「あ、間違って2回押しちゃったんです…その考え事してて」
    その答えに思わず吹き出してしまった。
    「なに考えてたらそんなドジ踏むんだよ」
    口調はずっと変わらないが、臆病ながらもなんの媚びもない口調や思わぬ差し入れは悪くなかった。
    「伊地知…って名字だっけ?下は?」
    「キヨタカです、潔いいさぎよに高さの高いで」
    少し嬉しそうに高低差を表すように細い手を上下に動かす様は幼さを通り越して同姓ながら可愛らしくすらあった。
    「ふーん、じゃあ明日から伊地知は僕のパシリね」
    「……あっ、へ?」
    「はいこれ決定事項~」
    もう1本のドリンクを奪い取り、立ち上がって肩を叩いて外へ出た。
    自分の喉からこんなに上機嫌な声はもう二度と出ることはないだろう思っていた。
    それからの五条は伊地知に対して日を跨ぐごとに加速的な頻度で絡むようになるにつれ、以前のような性格に戻っていった。本人達は自覚していないようだったが、おそらく今までで一度も接したことのないタイプの人間だったからであろう、明らかに五条は伊地知を心の支えとして病的に依存していた。端から観ればなんてことない高校生ふたりとして写るがその中身は不健全この上なかった。
    しかし同期の家入や後輩の七海や担任の夜蛾にも手のほどこしようがなかった。これで五条はなんとか均整を保っている。彼にとって伊地知は最後の砦なのだ。
    「本当に申し訳ありません伊地知君…五条さんのことは本当は僕らが何とかすべきだったのに…」
    「……?なんのことですが七海先輩?」
    あどけない顔でそう問い掛け、五条の呼び出す声のする方向に反射的に駆け出す伊地知の後ろ姿を見て、卒業間近だった七海は苦虫を噛み潰したような顔をした。



    「ふ~ん、伊地知のくせしてね〜」
    結局すべてを聞き出した五条は不機嫌そのものだった。そして話している間から今もなお、スマートフォンは許さんとばかりに鳴っている。
    「あの、五条さん少しよろしいですか?」
    スマホを手にしてジェスチャーで電話に出る許可をするも、いともたやすく取り上げられ電源ボタンを長押しされてしまった。
    「よろしいわけねーだろ」
    「…でしたらせめてお部屋にお戻り下さい。明日の任務は無かったとはいえ、つい先程の件で本日は充分にお疲れでしょうし、入室前に私の方から皆さんに直接説明致しますので」
    「はぁ?あんなことされた部屋で寝ろっての?」
    「こんな時間にもうどこのお部屋もとれませんし…」
    広く作られているのだろうがダブルとまではいかないベッドの上に我が物顔で腰掛ける彼をなんとか説得する。こんなことした自分こそが外のベンチででも一夜を明かすべきなのだろうが、丸々今日一日かいた冷や汗がどうしても気持ち悪い上にワガママになるが今日は自分も疲れた。ベッドの上で寝たい。しかし少なくともそれは無理だろう。
    「……分かりました。こちらの部屋をお空けします。ただせめてシャワーを浴びさせてもらえませんか?」
    「うんいいよシャワーぐらい、よくよく考えるとお前も被害者みたいなもんだし。でもこの部屋をお空けして伊地知はどうすんのさ?」
    「この時間でも受付をしているホテルを探すか…最悪ネットカフェかファミレスででも一夜を過ごします……あの五条さん今回は本当に申し訳ありませんでした。」
    深く頭を下げると伊地知は少し後ろめたそうに奥のシャワー室へと入っていった。

    ーーおかしいぞ
    そう気がついたのは冷や汗がこびりついた服を脱いで半透明のガラスが壁となっているシャワー室に入ってすぐのことだった。流石密会部屋に使われるとだけあって2階の一般向けの部屋も資料で目にしたスイートルーム程ではないがラブホテルのような仕様になっており、シャワー室から外の視界を遮るカーテンは1枚もない。入ってからシャワーを浴びている最中もずっと五条はアイマスクを外しガラス越しに伊地知の一糸纏わぬその姿を凝視していた。からかわれているのだろうか。しかし距離とシャワーが鳴らす水温でこちらからなにか告げたとして声が届くことはないだろう。そのためひたすら視姦されているような気分にさいなまれ、折角の待望だったはずのシャワーは全く気持ち良くなかった。
    「……えっ?」
    なんとか全身を洗い終え逃げるようにガラスの窓から出た瞬間、自身が先程脱いだスーツを手にしている五条と目が合い混乱する。
    「着替えは?スーツケースなんも入ってなかったけど」
    ベッド上に目線を移すと自身の小さな安物のスーツケースの中身が散乱していた。
    ーー本当にチャランポランで勝手な人だ
    流石の自分勝手さに怒りを覚えるも怒る権利も気力も今はない。
    「またそれを着ます。ので…」
    返して下さい、と手を伸ばすと頭上をこえて届かない高さまで長い腕が挙げられた。
    「せっかく身体あらったんだから全裸でいいじゃん」
    「な、なにをおっしゃるんですか…そういうわけには」
    「伊地知、こっちにおいで」
    スーツを投げ捨て広げた両手は自身を抱き抱えるような形をとるが、それは向かえるというよりも捕獲すると表した方が正しいような威圧感があり、恐怖を覚えるが逃げ場など何処にもない。
    「五条さんさっきから一体なにを…」

    「へへへッ、伊地知のハラ薄っぺらッ、ほら陰毛もこんなに薄いの」
    おかしい、やっぱり今の五条さんはおかしい。生娘のように無理矢理ベッドに組み伏せられながら伊地知は確信した。ドリンクが回ってきたのだろうか、それともまだ怒りが鎮まっていないのだろうか。どっちにしろ正気じゃない。
    「ねぇ、普段は誰のネタで抜いてんの?ぼく手伝ってあげる」
    子供のような口調ではあるが、その内容はとんでもない。
    「五条さん、五条さん、分かりますか?とりあえず落ち着いて下さい。」
    「やだよ。落ち着くなんて。ぼくの熱もまだぜんぜん収まってないし、せっかくこうして2人きりなんだもん。」
    「お水、お水を飲みましょうか」
    「ぼくはねぇ、イジチ。あのときすっごく嬉しかったんだよ。」
    「………はい?」
    「あのときだよぅ。ビクビクしてるくせにさぁ…話しかけてきてさぁ…」
    「…………」
    なんとかこの状態の五条を介護しようと焦りながら言葉を紡ぐも全く効果がないうえ、はじめられた昔ばなしは一体何時のことかヒントが少な過ぎてピンとこない。
    「うそぉ?わすれちゃったのっ?」
    頬は少し明らみその上の慧眼が大きく見開かれ思わずその美貌に見惚れてしまう。
    「いえ、その」
    「イジチはぼくのパシリって決めただろっ?だめだろわすれちゃ」
    「は、はい、すいません」
    「だから~ていこうもしちゃだめ」
    スルスルと長く節のある陶器のような白い指が自身の股を走り思わず単純刺激で反応してしまった。
    「ほ、本当に何を」
    「好きだよイジチ、あのときからずっと。ぼくだけのものなんだ」
    およそ十年越しの想いを投げられるも、まだ何も思い出せない彼になす術はなかった。



















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