ふたりずつⅠ 高宮&桑田
移動教室の途中、パシッと何か叩くような音が廊下に響いた。
「おぉ! あれはサッカー部のエースと美人マネージャーのカップルじゃん」
廊下を振り返り、発生元を確かめるとそこにいたのは校内でも有名なカップル。失礼と知りつつ、俺の目が輝いた。これは、凄いニュースだ!
「訳ありっぽいから嬉しそうにするのやめなよ」
「桑ちゃんは優しいな〜。だって、校内でも有名なカップルだし、どっちも狙ってるヤツいるぜ?これは荒れる予感だぜ」
桑ちゃんことバスケ部の桑田くんと俺は2年で同じクラスになった。花道たちとはみんな違うクラスだし、顔見知りは他にいないので俺から話しかけた。可愛い顔のわりに意外と骨のある男で、流石部活で花道と流川に揉まれているだけのことはある。それに、俺としてもラッキーなのは花道たちといると女子が話しかけてこないのに、桑ちゃんといると女子が普通に話してくれる。そんな訳で、すっかり俺はクラスで桑ちゃんといる時間が増えた。
ただ、こういった恋愛ゴシップの面白さが桑ちゃんにはわからないようだ。俺の予想通り、その後、校内は大荒れになるというのに……
Ⅱ 桑田&流川
「俺にはカンケーねーし」
「だよね、流川くん、彼女作る気も無いし」
サッカー部のエースと美人マネージャーが破局したというニュースは瞬く間に校内に広がった。巻き込まれるような形で他の部活のエースの周りまで騒がしくなったのだ。
こうして俺もクラスの女子や喋ったことの無い女子から「桑田くんって、流川くんと同じバスケ部だよね?」と声をかけられることが増えた。前からあったけど、凄く増えたって話。念の為、本人に「流川と話したいって人が頼んできても今まで通り断っていいんだよね?」と確認を入れたのだった。
「でもさ、流川だったらどうする?例えば、マネージャーと付き合ってたとして、別れたらさ、プレーに影響出たりする?」
実際、サッカー部のエースはあれ以来、プレーも落ちて、先日の練習試合では格下相手に負けたというのも話題になっている。
「考えたこともねぇ」
「そっか。今はバスケが一番だもんな」
こうして、僕と流川は練習へ向かった。
Ⅲ 流川&晴子
正直、少し困っている。
「マネージャー」
「アンタさ〜! 私にも晴子ちゃんにも名前があるんだから、どっちかわかるように呼んでよ!」
「いいですよ、彩子さん。 流川くん、何か用?」
先輩は妙に怒っていた。先輩のことは先輩って呼んでるし、マネージャーって呼ぶのはこっちじゃん。
今まで、女子を名前で呼んだことがないし、こっちのマネージャーは何て呼んでいいか困る。赤木サンは前のキャプテンみたいだし、晴子って下の名前で呼ぶのも変だし。結局、マネージャーで落ち着いた。
「アンタさ、この子の名前、まさか知らない訳じゃないわよね?」
俺は先輩の質問に頷いた。
「アカギハルコサン」
「何でカタコトなのよ?」
先輩は呆れていたが、アカギハルコさんは顔を赤くして「ハイ」と返事していた。
Ⅳ 晴子&花道
「いや、流石にまだ名前も知らないとか言ったら、流石に殴っていいわよ」
彩子さんはそう言ったけど、私は、流川くんが私の名前を知っていたことが嬉しかった。呼んでくれた、というほどでは無いが、それだけで他の流川くんに夢中な女の子の中で少し特別になれた気がした。
こんな些細なことで、私の片思いは報われたような気がした。
「っていうか、聞いてよ〜、また『宮城と付き合ってないの?』って聞かれてさ〜。アレ以来、そればっかり。こっちは必死に練習してるし、部活優先に決まってるじゃない」
アレ以来とは、校内でも有名だったサッカー部のカップルが別れたことだ。
「宮城さん、キャプテンになって以来、後輩から『オシャレでカッコいい!』って人気ですよ。桜木くんたちといると、小さく思われがちですけど、女子からすれば背だって低いわけじゃないですし」
「まぁ、ね。結果も出してる訳だし」
私は「お似合いなのに」という言葉を飲み込んだ。一度だけ、合宿の夜、同じ部屋だった彩子さんが「部活引退するまで恋愛はしないって決めてる」と言った。あれは、どういう意味だったのだろうか? 彩子さんは教えてくれないけど、誰か、好きな人がいるのかな?もし、特定の誰かがいるとすれば、きっとそれは。
「あー!晴子さん!!と、彩子さん。いやー、女子がそんな重い荷物持つなんて!!リョーちーん!!!」
そう言って、突然現れた桜木くんは私の抱えていたドリンクを渡すよう腕を広げた。流石に二人分は持てないのか、後ろにいた宮城さんに声をかけると、宮城さんも凄い速さで駆け寄っていた。
「コラ、廊下は走るな」
「あ、ゴメン、俺持つよ」
そうして、宮城さんは彩子さんのもつ荷物を受け取った。
「晴子さん、晴子さん」
桜木くんが体を丸めて、私に小さな声で話しかけた。
「何?」
「あの2人、3年になってイイ感じじゃないですか?」
あの2人とは、彩子さんと宮城さんのことだ。
「うん、私もそう思う」
「同じ、ですね」
桜木くんは嬉しそうに笑った。可愛いな、桜木くんの笑顔って。
「あ!同じといえば、2・3年はクラス替え無いから、2人はまた同じクラスなんですね。羨ましい……」
桜木くんは2人を見ながら拳を強く握っていた。
「桜木くんと私は同じクラスになれなかったね。でも、また洋平くんと同じクラスでしょ? あと藤井ちゃんも同じクラスだよね?」
「ハイ!藤井さんはいい子ですよ!寝てると起こしてくれます。晴子さんはいい友達を持ちましたね。流石、人を見る目がある!!」
Ⅴ 花道&藤井
「3年になって、リョーちんと彩子さんがいい感じなんだよ」
俺は洋平の前の席に座って振り返った。
「いいじゃん。お似合いじゃん。よく噂になってるよな」
洋平は人の恋愛には興味がないらしく、雑誌のバイクコーナーを見ていた。
「でも、俺は2人が付き合わないに賭けてんだよ」
リョーちんも彩子さんも先輩として、好きだしお世話になっているが、それとこれとは話は別だ。うまい飯は沢山食いたい。
「賭け?誰と?」
「ミッチー。俺が勝ったらミッチーが好きなモン奢ってくれるって」
ミッチーは『あの2人は部活引退したら付き合うな』と言っていた。どうせ付き合うなら早い方がいいのに、俺にはわからん。どうせなら、付き合った状態で学園生活を送りたいではないか。
「あんま高いものたかるなよ?あの人、バイトしてんの?」
「さぁ?」
そういえ、大学の部活って忙しいのかな?今度、会ったらミッチーに聞いてみよう。
「おっ、花道どけよ。藤井さんがお戻りだぞ」
「おぉ、スマンね」
洋平の前の席は晴子さんのお友達の藤井さんだ。藤井さんとは2年から同じクラスになった。
「あ、いえ、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんだけど」
俺が立ち上がると、藤井さんは小さな体をさらに小さく丸めて、静かに席に座った。
「桜木くん、多分次の授業で指される番じゃない?この前、桜木くんの前の人まで指されたから」
藤井さんはノートを広げたが、俺はさっぱり見たこと文が並んでいた。前の授業って何やってたっけ?
「おぉ!そうですか、ありがたい。洋平、答えろよ」
「ヤダね、寝てるお前が悪いんだから」
「ふぬー!」
「ハハッ!天才なんだから、大丈夫だろ?」
「……ッフ、まぁな」
「ほら、席戻んな」
「先生が驚くくらいな大正解を導いてみせる、天才だからな」
俺は笑いながら席へ戻った。その様子を見て藤井さんは笑っていた。
藤井さんは笑うと晴子さんとちょっと似ている。何なら、兄のゴリより藤井さんの方が似ている。友達同士も似るんだと思う。
Ⅵ 藤井&水戸
2年のクラス替えで、桜木くんと水戸くんと同じクラスになった。とはいえ、普段から一緒に行動するわけでもない。ただ、他のクラスの時から目立っていた2人だ。同じクラスになると、より2人の華やかさはみんなの目を引く。私とは住む世界が違うみたいだ。
「いや、同い年だし。クラスメイトだし」
バスケ部の練習を隣で見ていた水戸くんに、そんな話をしたら、豪快に笑われた。
「いや、でもホントにアンタたちは目立つから」
「たちっていうか花道だろ?俺はフツーさ」
「どうだか?」
松井ちゃんは水戸くんを睨むように眉毛を釣り上げて、言った後にフッと笑った。体育館の中では、ミニゲームが行われ桜木くんと流川くんがぶつかってどっちのファールかで揉めていた。桜木くんは流川くんと競っている時、すごく生き生きしている。
晴子は2人を止められず、結局、マネージャーの先輩がハリセンで2人の喧嘩を止めた。
「あー、あー、晴子ったら、あれくらい止められないで来年どうするのかな?」
「アネゴからハリセン貰ったらいいじゃん」
「貰ったって使えないでしょ、あの子じゃ」
松井ちゃんは口調はクールだが、晴子を見る目が優しい。私も彼女も晴子の優しさが大好きだから。
「つか、2人もよく来るね」
バスケ部は、元々『流川くんを応援したい晴子の付き添い』で見に来ていた。晴子がマネージャーになった今、付き添いの必要はなくなったのだ。
「なんかね〜。習慣?家帰ってさ、好きでもないドラマの再放送眺めるくらいならバスケ部見てた方がおもしろくって」
松井ちゃんが豪快に笑うと、水戸くんや他の子たちも「確かに」と笑った。
「まぁ、この子は他にも目的があるみたいだけど?」
くるりと、私に視線を向ける松井ちゃんの意図がわからない。
「え、まさか自覚無いの?」
「何の話?」
松井ちゃんは「何でもない」と溜息をついた。水戸くんが隣で「そうじゃないかと思ってたけど、やっぱりな!」と笑った。私と、水戸くんの奥にいる高宮くんたちは意味がわからず、首をかしげた。
Ⅶ 水戸&アンナ
「えー、でもやっぱ付き合うなら好きは人じゃない?花道くんもそう思うでしょ?誰でもいいわけじゃないじゃん!」
「そうだな、晴子さんを裏切る訳にはいかん」
「いや、花道くんと晴子さんは付き合ってないけどさ。てか、漫画の話だし」
湘北へ入学した宮城さんの妹のアンナちゃんは、すっかり花道に懐いていた。花道の近くにいると、俺もなんとなく話すことが増えた。
昼休み廊下で会うと、先日アンナちゃんが花道に貸した少女漫画の話で盛り上がり始めた。
「洋平先輩は?この中だとどの子がタイプ?」
漫画の表紙を見せられたが、やたら目の大きな女の子が4人描かれていた。
「読んでないから性格は知らねーけど、見た目ならこれかな」
俺は表紙の端で穏やかに笑う、ショートカットの女の子を指した。真ん中で大きく笑うロングヘアーの子は花道が好きそうだ。
「花道はこの子だろ?」
「凄いな洋平、読んでないのにナゼわかった…」
花道は不思議そうに俺を睨む。
「でも、俺も、洋平はこの子だと思ったぞ。多分、読んでもこの子を選ぶと思う」
「何で?」
胸を張る花道をアンナちゃんが見上げる。
「洋平、こういう子好きだろ?」
「どうかな?」
俺はぐっと伸びて、窓から流れる雲を眺めた。それから、アンナちゃんの視線が花道から俺に変わったのに気づかないフリをした。
「洋平先輩、ロングよりショート派?」
「どうかな?」
俺は2人に手を振って教室へ戻った。
Ⅷ アンナ&安田
「あー、これから暑くなるし髪切ろっかなー」
「いいんじゃない?アンナちゃん、ショートも似合いそうだね」
彩子ちゃんからの誘いで、湘北バスケ部のマネージャーになった私はヤスと並んでモップ掛けをしていた。ヤスはいつもニコニコしていて、私は怒ったところを見たことが無い。リョーちゃん曰く、ヤスが怒ると怖いというより寒いらしい。なんだそれ。
「今の髪型も似合ってるけどね」
「マジ?ありがと〜」
私が褒められていい気になっていると、後ろからパタパタと足音が聞こえた。
「安田先輩、モップ掛けは1年でやりますから」
「習慣でさ、逆にやらないと変な感じで」
ヤスは笑うが、1年生たちは困った顔をした。
「ヤス〜、1年みんな言ってるよ〜、副主将に片付けやられるの申し訳無いって」
「あ、そっか。ゴメン。じゃ、モップはお願い」
ヤスは照れくさそうにモップを1年に託し、リョーちゃんと彩子ちゃんの方へ走っていった。
「宮城さ〜、いくらお前も副キャプテンと仲良いっていっても3年だろ?」
「見てるこっちがヒヤッとする時あるよ」
「何で?」
1年部員たちはバスケ経験者が多く、運動部特有の上下関係にうるさい人が多くて、私はまだちょっと慣れない。こうなると、余計に馴染みのあるヤスに話しかけてしまう。同級生の男の子って何か、子供って感じ。
Ⅸ 安田&リョータ
昨年の成績、特に流川の活躍もあって今年は入部希望者が多かった。鬼キャプテンのメニューが厳しくて、1ヶ月で半分近くまで減っちゃったけど。いくら減ったとはいえ、3年が片付けを手伝わなくても、すぐ終わるくらいの人数はまだいるので、モップを1年生に譲った俺は、明日の練習メニューを相談する、リョータと彩子の元へ向かった。
「邪魔だった?」
鬼キャプテンの顔をしていたリョータは、俺の冗談にいつものリョータに戻った。
「真面目に話してたし」
「邪魔どころか、大歓迎よ」
彩子曰く、リョータのメニューが厳しすぎる。副主将の意見はどう?との事だ。
「うーん、俺は試合も近いしミニゲームも入れて連携確認したいかな?安西先生はスタメン以外も状況に合わせて出すって言ってたし。あ、でも桜木と流川は別のチームね。喧嘩すると中断するから」
「問題児め」
「お前が言うな」
俺の提案にリョータは腕を組み、悩む様子を見せるが最後には体育館の隅でどっちがモップを早く片付けるかで張り合い始めた桜木を流川を睨みつけた。その様子に彩子のハリセンがリョータへ振り落とされた。バシッと音が響く。ハリセンの音が切れたと同時に、俺の耳に新しい音が響いた。
「洋平先輩、最後まで練習見てくの珍しいね」
「今日は、花道自主練しないっていうから帰りにラーメン食い行くんだ」
体育館の扉に寄りかかって練習を見ていた水戸くんに、アンナちゃんが駆け寄る足音だった。
「えー!私もラーメン行きたい〜」
「ダメダメ、今日は特盛チャレンジデーだから。花道ー!早くしろよー!」
桜木が大きく手を振って応えていた。
「おやおや〜、アンナちゃんああいうのがタイプね〜。お兄ちゃん的にはどうなの?」
彩子がニヤニヤしながら、リョータの顔を覗き込む。リョータは返事に困ったのか、視線を反らした。
「アンナが知らない3年に因縁付けられたとき、アイツに助けてもらったんだってよ」
「やるじゃん、水戸洋平!」
彩子がキラキラ目を輝かせると、リョータはすっかり鬼キャプテンの顔も
兄の顔も忘れて「アヤちゃんは、タイプじゃないよね!?」と瞳に涙を溜めていた。アンナちゃんと水戸くんはその後も何か話しているが、何を話しているかまでは聞こえなかった。途中で、水戸くんがリョータの方を指差すので、アンナちゃんが振り返り、少し怒ったような表情をしていた。
「気付かれた。まぁ、相手は本人に任せるよ。アイツが幸せならね」
「ふーん」
あ、また兄の顔だ。
Ⅹ リョータ&彩子
部活が終わると、珍しくアンナが他の1年生たちとご飯に行くと言った。アイツの代わりかよ。
1年のマネージャーはもう1人いるけど、そいつも男だし。ただ、アンナからみた他のメンバーも、他のメンバーからみたアンナも何でもなさそうだから心配はしてないけど。それに、アイツ、部活の1年の中でちょっと浮いてるからな。チームメイトとの交流は大事だ。
「あんま遅くなんなよ。かーちゃん、心配するから」
「はーい!」
そういって、アンナは走って行った。こいつ、運動神経だって悪くないのに。何でわざわざウチのマネ選んだんだろ。
「心配?」
「べつに」
1年の集団を眺める俺に声をかけてきたのはアヤちゃんだった。正直、最初はアヤちゃんに妹とのやりとり見られんのは恥ずかしいし、アンナがルールもわかってないバスケ部のマネをやるのは反対だった。
「まぁ、アンナちゃんは同級生には興味ないみたいだしね〜」
俺は部活中のアンナの様子を思い出し、咳払いで誤魔化した。俺だって好きな子いる訳だし。アンナに好きなヤツができても別にいいけど。
「送るよ」
「そう?お願いしようかな」
アヤちゃんとは方向は別だけど、久しぶりにアンナのいない帰り道。俺だって寄り道したって問題は無い。
「アンナちゃん、誰かさんと違って頭いいから。もうルールはだいたい覚えたみたい」
「誰かさんって?」
アヤちゃんは静かに俺を指差す。
「俺かよ」
「冗談よ。アンタ、また授業中寝てたから」
「スミマセン」
今や強豪校と言われるようになった湘北バスケ部のマネージャーのリーダーはアヤちゃんで、アンナの指導係の晴子ちゃんだってアヤちゃんの指示で指導してくれている。
最初は反対だったけど好きな子が妹を可愛がってくれるのは、悪くないと思う。いや、悪くないどころじゃない。いい。
「何?考え事?」
「いや、何でもない」
「あっそう」
風が吹くと、部活後の熱が冷めてちょうど良かった。ただ、何もない左側より、アヤちゃんのいる右側が少しだけ熱い。
今日はテレビ、何か見たいのある?
何時ごろ寝るの?
今日の練習メニューは良かったか?
喋りたいことが沢山あったはずなのに、言葉がでなくて静かに夜道を歩いた。
「ありがとう。ここまででいいわ」
気が付くとアヤちゃんが使うバス停の前まで来ていた。
「あぁ。うん。気を付けて」
「宿題、ちゃんとやんなさいよ〜」
「うっ、うん」
間もなく、バスがやってきたアヤちゃんが長い髪とスカートを揺らしてバスへ乗った。ドアが閉まると、窓から手を振ってくれたので俺も振り返した。
「アヤちゃんに言われちゃ、宿題やるか」
周りから「彩子と付き合わないの?」という声は多いし、周りにお似合いと言われると、嬉しい。でも、こっちにはこっちの作戦があるし。まずは、去年以上の成績を残すこと。それで、部活引退したら告白しよう。
「長期戦、上等だ」
動き出したバスを見送り、また学校側へと走り出した。