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    lemon_155c

    @lemon_155c

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    lemon_155c

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    こんなリョ彩が見たい!ということで、書き手4人でシチュエーション交換を行いました。
    私が担当したのは「事故ちゅー」です。
    学校行事とかも考えましたが、部活の方が起きる確率高いかな?と思って、部活にしました。

    ※作中、CPとしての描写はありませんが他キャラクターの彼女の有無や交際歴について触れています。

    夕暮れは赤を隠す それはいつもバスケ部にとっていつも通りの光景のはずだった。木暮の何気ない一言が発せられるまでは。
    「え? 木暮さん、彼女いた事あったんですか?」
    「佐々岡、お前彼女いたのか……」

     バスケ部ではお馴染みとなった、桜木と流川の小競り合いを止めに入った佐々岡が桜木に吹っ飛ばされて木暮と接触した。そこまでは、よくあるバスケ部の出来事だが、今日は少し違った。接触した際、佐々岡の唇が木暮の頬に触れてしまったのだ。泣きながら謝る佐々岡に対して、木暮は気にするな、と苦笑いしたが、土下座のスタイルで謝る佐々岡に宮城と三井は思わず笑ってしまった。加えて、原因を作った桜木も指を差して笑っていた。
     そんな佐々岡に木暮が「そんなに気にするなよ、お互い初めてって訳でも無いし」と言ったことで、それまでお腹を抱えて笑っていた3人は動きが止まったのだった。

    「あ、うん。2年の時に少しだけな。向こうから告白してきたけど、部活ばっかりでつまんないってすぐフラレちゃってな。もう終わったことだよ」
     少し照れながら語る木暮に、これまで浮いた話の無いと思っていた木暮の交際歴に特に驚いたのが三井で、試合終了1分前のような顔色をしていた。そして、もう一人の当事者は真っ赤な顔で俯いていた。その様子に、正気を取り戻した三井が絞り出すように佐々岡に声をかけると、佐々岡が小さく頷いた。
    「悪い! てっきり、みんな知ってるかと……」
     木暮は佐々岡に謝るが、佐々岡は真っ赤な顔を横に振った。
    「いや、宮城さんと三井さんには…… わざわざ言うことじゃ無いかと思って」
     恥ずかしさから、両手で顔を隠す佐々岡は「言ってなかったです」と付け加えた。
     佐々岡は別の高校へ通っている中学の同級生と交際しており、以前、練習を見に来たことがある。その為バスケ部の中では知られた話だったが、遅れて合流した宮城と三井にはその事実を伝えていないのだった。気まずい空気が流れる中、その空気を変えたのは彩子の一言だった。
    「え〜、でもホント、木暮先輩をフるなんて勿体ないですよね〜。 佐々岡も優しいし、モテるのわかるな」
     その言葉に、宮城はぐるりと振り返り瞳に涙を溜めて彩子を見た。
    「何よ?」
     確かに、宮城からみて木暮はいい人でお世話になっている先輩だし、佐々岡も真面目で練習熱心な可愛い後輩だ。二人が褒められるのは納得できる。でも、それでも、好きな子が他の男を褒めるのはなんかヤダ。と奥歯を噛み締めていた。

     次の日、朝練後、教室へやってきた宮城は席に着くとすぐ腕を机に乗せて、その上に頭を乗せた。ハナから授業を聞く気は無いようだ。
    「おーい。 せっかく来たなら授業受けなさいよ」
     彩子が丸めたノートで宮城の頭を軽く叩くと、宮城は眉間に皺を寄せながら顔をチラリと上げた。
    「アヤちゃんが、木暮さんと佐々岡のこと好きなのかと思ったら夜も寝れなかった」
    「は? 面倒くさい男ね〜。 そうね、私はバスケ部のみんなのことは好きよ」
    「俺も?」
    「部活も授業も真面目に取り組むならね」
     彩子の溜息まじりの言葉に宮城は姿勢を正し、机の中から1時間目の教科書を出した。周りのクラスメイト達は「単純」とか「わかりやっす」と笑ったが宮城にとって周りの評価などどうでもいいのだった。少しでも、彼女の自分に対する好きが増えれば誰に笑われたって構わないのだ。しかし、宮城は再び昨日の出来事を思い出す。

     もし、オレとアヤちゃんがぶつかって、万が一、唇が触れたとして、初めてはアウトで、初めてじゃなければセーフってこと? アヤちゃんは、キスしたことあるのかな?

     一度気になると他の事は考えられず、授業中も難しい顔をしていた宮城は肝心の授業の中身は全く頭には入っていないが、先生から「今日は真面目に受けているな」と高評価だった。

     それから数日後、練習前の準備時間でまた桜木と流川の小競り合いが始まった。2人を一発で沈められる赤木がまだ不在の為、木暮が一人でオロオロとしていた。
    「あああ! 赤木がまだ居ない時に限って〜 何とか止めろ! 体育館が壊れるぞ!!」
     木暮の指示に控えの1、2年が飛び出すが桜木、流川に敵うわけなく次々と弾き返されていた。
    「おい、2人も止めろよ!」
     笑いながらストレッチをする三井と宮城に木暮が駆け寄った。
    「いや、木暮さん無理っすよ。 俺と三井さんじゃアイツらとウエイトが違うし」
    「なんだよ、オメー、俺が鍛えてないとでも言いてぇのか?」
    「でも、お前達より体重軽い1年だって止めに入ってるのに! まったく〜」
     無関心な三井と宮城に怒る木暮だが、木暮だって2人を止められる自信は無いし、すでに他のメンバーは弾き飛ばされてうずくまっていた。
    「やだ、またケンカ?」
     着替えと準備を終えた彩子が、木暮と三井の後ろに設置されたテーブルにドリンクの入ったウォータージャグを乗せた。その時だったー。
     一斉に2回目の止めにかかった1、2年がまた弾き飛ばされ、そのうちの何人かが4人すぐ近くまで迫っていた。

     もし、アヤちゃんに誰かがぶつかって、抱きつくような形になったら、それ以上に唇が触れるようなことがあったら、いや、そもそもテーブルにぶつかったら怪我するじゃん!

     宮城は日中休ませていた頭をフル回転しながら、彩子と飛ばされた人の間に入り込んだ。なるべく彩子に触れずに守れるよう、片手は彩子がバランスを崩さないよう背中に添えつつ、もう片方は彩子の後ろにあるテーブルに手をつけた。しかし、宮城の読みが足りなかった。止めに入ったメンバーのうち一番大きな体の角田の後ろに隠れて、桑田も飛ばされてきたのだった。

    「アヤちゃん、だいじょ」

     大丈夫? そう聞こうとした宮城はその言葉を最後まで言えなかった。連続で来る衝撃には耐えられず、バランスを崩した宮城は彩子の頬に自分の唇をぶつけてしまったからだ。

    「いってーな! 危ねえだろ!! 怪我したらどうすんだよ!!」
    「三井さん、すみません」
    「石井、メガネ無事か? おい、桜木! 流川! 危ねーだろ!!」
    「だって、ミッチー!! キツネヤローがよ〜」
     同じく飛ばされた石井とぶつかった三井の声に、固まっていた宮城はハッとした。

     今、俺はいったい、何を? スゲー近い、可愛い。いい匂いだ。

    「リョータ? もうどいてくれる?」
     庇ってくれてありがとう。業務連絡のように淡々と付け加える、彩子の声に我に返った宮城は2、3歩後ろに下がると泣きながら駆け出して体育館から姿を消した。
    「リョータ?」
     飛ばされ、尻もちをついた安田はお尻や腰をさすりながらその様子を不安そうに眺めていた。彩子に「どうしたの?」と尋ねると、「何でもない」と吐き捨てながら、右頬に手を当てた。意味がわからず、確認しようとすると、これぞ電光石火と試合さながらの勢いで泣きながら宮城が戻ってきた。手には白いタオルが一枚握られていた。
    「ごめん!! アヤちゃん!! これ使って!! まだ使ってないタオルだから!!」
     彩子に顔に近づく勢いでタオルを出す宮城に、彩子は上半身を反らして避けた。
    「何に?」
    「拭くでしょ!?」
    「あー、いいわよ別に」
    「え? じゃぁ、顔洗う?」
    「別にそこまでしないし。 顔洗ったとしても、ハンカチあるしいいから」
    「そんなんで拭ききれるの!?」
     高速のキャッチボールに周囲が唖然としていると、何かに気付いた三井がニヤリと笑う。
    「良かったじゃねーかよ、宮城。 彩子とイチャつけて」
     2人がどれほどの距離まで近づいたかは、他の部員にも見られていたのだ。まさか、2人が接触してるとまでは見えていないようだったが。
    「拭くとか言ってるけど、さてはチューでもしたんか?」
     大きな口を開けた三井の笑い声と「おぉ」と他の部員が驚きの声を漏らす中、宮城は三井に飛び掛かった。
    「もう1回、折ってやる!!」
    「なんだよ、冗談だろ!?」
    「ああ! 今度はこっちかよ!!」
     頭を抱える木暮だが、その悩みは一瞬で解決した。
    「おや、ケンカ、ですか?」
     ガラガラと扉が開き、監督である安西が現れたのだ。「ちゅーす」と挨拶をしながら、宮城と三井は肩を組んだ。
    「いやだな、先生、仲良しでお馴染みのバスケ部にケンカなんてありえないですよ」
     2人は肩を組みながらも、お互いの足を踏みあった。宮城と三井、それからその前の桜木と流川のケンカも安西はお見通しのようで、その日の練習で4人はミニゲームに参加させてもらえなかったし、片付けも4人で行うよう言い渡された。

     今日は体育館での自主練も禁止と言われた4人はいつもより早めに部室に戻った。桜木と流川はどっちが早く部室を出るか競うように出ていった。2人は元気が有り余っているようで、どうせ近くのコートで練習するつもりだろうと、宮城は思った。そうして、ロッカーを開けると、1枚の写真が目に入った。それは、いつも見慣れているはずの写真だ。部活の集合写真で隣同士に並んだ自分と彩子を2人の部分だけ切り取ったいびつな形の写真。そうして、彩子といえば部活中は忘れかけていた、彩子の頬に自分の唇をぶつけてしまった事を思い出して固まった。
    「じゃ、お先。 鍵ヨロシク」
    「あ、うす」
     どのくらい固まっていたのか、同じタイミングで部室に入った三井はすっかり着替えを終えて鍵を宮城に託して去って行った。

     また明日、謝ろう。 でも、アヤちゃん、気にしてなかったな。 慣れてるのかな?

     宮城は写真が視界に入らないよう、誰もいない部室でロッカーの扉を開けたり閉めたり繰り返しながらこそこそと着替えた。

     肩を落としながら、鍵を閉め、ペタペタと上履きを鳴らしながら昇降口へ向かうと、そこには見慣れた後ろ姿があった。
    「アヤちゃん」
    「あら、リョータ」
    「遅くない? どうしたの?」
    「友達に教えてほしいところあるって言われて、少し教室に寄ったのよ」
    「ふーん……こんな遅くまで危ないよ?」
    「いつもの方が遅いけど?」
    「あ、そっか。 そうだよね」
     普段であれば、彩子は桜木の基礎練に付き合っているので今日はいつもより少し早いのだった。
     キビキビと美しい姿勢で歩く彩子の後ろをリョータは付いて行く。2人は反対方向へ出る為、一緒に行けるのは正門までだ。リョータはまだ「送る」という言葉が言えないし、まだ他の生徒もいる時間では彩子も断ることがわかっているからだ。
    「あ、あのアヤちゃん」
     彩子は振り返らずに「何?」とだけ返した。
    「今日のことは、その、わざじゃないにしても、なんか、その、ごめんね」
     申し訳なさと、照れから語尾がどんどん小さくなるリョータに彩子は足を止めた。
    「逆にさ、そんな気にされるとこっちが気まずいんだけど? 事故だし、忘れて。 こっちも忘れるし」
     忘れるも何も、宮城は突然のこと過ぎて、ほとんど記憶が無い。いい匂いだったことは覚えているが、それをどんな匂いかは言葉では説明できないし、残念なことに感触については全く記憶が無い。
    「親戚の子供とか、女子同士ならあることだし。 私は気にしないから」
     宮城は必死に頬にキスされた事があるか思い出すが、どうにか絞り出して妹のアンナだ。アンナがまだ幼稚園生くらいの時の事だ。父がアンナにキスしてほしくて、家族全員巻き込まれたのだ。そういえば、兄のソータはノリノリだったし、嬉しそうだった。ぼんやりと、家族のことを思い出していると、彩子がくるっと振り返った。
    「わかった?」
    「あ、はい」
    「よろしい」
     それだけ言うと、彩子はまた歩き出した。反射的に返事をしてしまったリョータは、何の事か思い返す。

     忘れる、ってことか。

     少し残念だが、それが彩子の望みならそうしようと、決意し、リョータも再び歩き出した。でも、いつか、事故じゃない、忘れなくてもいいキスがしたい。そんな妄想で緩む表情を彩子に気付かれないよう俯いて歩いた。
     そうして、俯いて歩くせいでリョータは彩子のちょっとした変化に気付かなかった。
     彩子の耳が少し赤くなっていたということに。不器用な2人を夕日が包み、正門に着くと2人は「また明日」とそれぞれの家路に向かうのだった。
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    lemon_155c

    DONEこんなリョ彩が見たい!ということで、書き手4人でシチュエーション交換を行いました。
    私が担当したのは「事故ちゅー」です。
    学校行事とかも考えましたが、部活の方が起きる確率高いかな?と思って、部活にしました。

    ※作中、CPとしての描写はありませんが他キャラクターの彼女の有無や交際歴について触れています。
    夕暮れは赤を隠す それはいつもバスケ部にとっていつも通りの光景のはずだった。木暮の何気ない一言が発せられるまでは。
    「え? 木暮さん、彼女いた事あったんですか?」
    「佐々岡、お前彼女いたのか……」

     バスケ部ではお馴染みとなった、桜木と流川の小競り合いを止めに入った佐々岡が桜木に吹っ飛ばされて木暮と接触した。そこまでは、よくあるバスケ部の出来事だが、今日は少し違った。接触した際、佐々岡の唇が木暮の頬に触れてしまったのだ。泣きながら謝る佐々岡に対して、木暮は気にするな、と苦笑いしたが、土下座のスタイルで謝る佐々岡に宮城と三井は思わず笑ってしまった。加えて、原因を作った桜木も指を差して笑っていた。
     そんな佐々岡に木暮が「そんなに気にするなよ、お互い初めてって訳でも無いし」と言ったことで、それまでお腹を抱えて笑っていた3人は動きが止まったのだった。
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    lemon_155c

    DONE個人的にこの絡み見てみたいな〜。という組み合わせのショート詰め合わせで書いてみました。男女の片思いはありますが、カプというほどの表現はありませんが、リョ彩とヤスアンを推してる女が書いてます。
    リョータ達が3年の5月ごろのイメージ。アンナちゃんもマネージャーになった湘北を妄想。あと、桜木軍団とバスケ部も仲良しになっているだろうな〜。という妄想も詰めました。
    ふたりずつⅠ 高宮&桑田
     移動教室の途中、パシッと何か叩くような音が廊下に響いた。
    「おぉ! あれはサッカー部のエースと美人マネージャーのカップルじゃん」
     廊下を振り返り、発生元を確かめるとそこにいたのは校内でも有名なカップル。失礼と知りつつ、俺の目が輝いた。これは、凄いニュースだ!
    「訳ありっぽいから嬉しそうにするのやめなよ」
    「桑ちゃんは優しいな〜。だって、校内でも有名なカップルだし、どっちも狙ってるヤツいるぜ?これは荒れる予感だぜ」
     桑ちゃんことバスケ部の桑田くんと俺は2年で同じクラスになった。花道たちとはみんな違うクラスだし、顔見知りは他にいないので俺から話しかけた。可愛い顔のわりに意外と骨のある男で、流石部活で花道と流川に揉まれているだけのことはある。それに、俺としてもラッキーなのは花道たちといると女子が話しかけてこないのに、桑ちゃんといると女子が普通に話してくれる。そんな訳で、すっかり俺はクラスで桑ちゃんといる時間が増えた。
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