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    真砂長文倉庫

    @masago5050

    Twitterに収まらないものを入れる場所です。
    お手数ですが、Twitterのプロフをご確認いただけると有り難いです。
    ワートリ関係をのんびり詰めていこうと思います。
    まずはシステムに慣れることから…。
    プロフ画像は最高のコラボより。いつ見ても和む……。

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    真砂長文倉庫

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    敬愛する某さんの小話を拝読した瞬間降臨したネタです。天啓ってこういう事を言うんですね。ありがとうございます!
    某さんに喜んでいただけたので満足です。某さんにチョコを渡された方にもお礼申し上げます。貴女に救われた命がここにある…。

    王子が蔵内へのチョコを買いに行く話。ほぼ王子のモノローグです。蔵内すまん。

    ホント「勢いって大事だね!」。もうこれウチのテーマにしよう。
    即ち「鉄は熱いうちに打て」。

    バレンタイン蔵王「language of flowers」自ら確認して、心に響いたものを贈ろう。

    そう思って訪れた催事場は、南半球にベイルアウトしたような熱気に包まれていた。早々にロイヤルブルーのピーコートを脱いで、右の前腕に掛ける。ホワイトのシャツにダークオレンジのニット、ブラックのスリムストレートパンツを纏っている王子は、他のフロアとの温度差に少々驚いた。余裕を持ってすれ違える程度に幅は取られているが各自の戦果がそれを上回る為、通路は狭く感じた。
    ニュースによると平均予算は3万円台と言われ、且つ複数回訪れるのもザラであり売上22億円を叩き出す、一大祭典の会場である。製菓業界の活性化に踊らされているのはやや不服ではあるが、美味しいものを満喫できるのは悪くない。
    王子は会場案内図を手に取ると、脳内で攻略ルートを構築した。


    そこかしこから秋波を送られていることは何となく感じているが、やにわに接触されないので意に介さなかった。ただ、自分のリクエストに応えた蔵内が同様の視線を浴びることは推察できたので、その旨確認してみようと心に書きとめる。
    会場内を歩いていると、フラッシュが視界の端を焼く。ショコラティエのサイン入りチョコを購入したり、本人とのツーショットを嬉しそうに撮る女性たちを冷ややかに一瞥する。

    何が、楽しいんだろう。

    チョコが美味しいのはともかく、彼らそのものに興味が湧かない王子には違和感しかない。プロが矜持を持って仕事を全うしているだけではないか。彼らのチョコに感動するあまり、偶像化してしまうのだろうか。
    それとも、製菓の先達にあやかろうとでも思っているのだろうか。
    弓場隊に入る前ならその優美な唇から零れただろう鋭利な言葉の数々は、何とか堰き止められた。
    王子だってTPOを弁えるようになっているのである。脳内の元隊長に向かって、ふふん、と鼻を鳴らした。即座に「当たり前だコラァ!」と雷が落ちたので、胸中でこっそり舌を出す。
    ふぅ、と一つ呼気を落としてガラスケースの内側を見やった。そこはさしずめ、チョコの百花繚乱展覧会であった。


    酒米使用の和風チョコ。
    クラウチは酒にどれくらい弱いのかな。確かめたい。酔ったクラウチはどんなふうになるのかな。

    様々な動物の顔や全身を模したチョコ。可愛いのもリアルなのもある。
    ふふっ、このハシビロコウ、ちょっとクラウチに似てる。ゾウガメの甲羅、堅そうだなぁ。

    チョコとラングドシャでバラとチューリップを象ったチョコ。
    愛らしいチョコを手にして「可哀想で食べられない…」と涙ぐむのも可愛いな。それとも一口で食べてしまうのかな。

    目にも鮮やかな瑠璃色のチョコ。艶やかな蜂蜜色・若竹色・柘榴色のチョコ。
    小さなアートが詰まっているのを見て、感動しちゃうかな。あぁこれ、クラウチの瞳の色だ。綺麗だなぁ…。

    醤油入り玄米のトリュフに、蒸し羊羹に重ねたガナッシュ。
    予想外のマリアージュを解析したがって、目を輝かせるのも興味深い。


    どれを選んでも喜んでくれるのは解ってる。でもやっぱりサプライズは欲しい。
    ぼくは、きみの吃驚箱でいたいから。

    そしてぼくをずっと見ていて。
    一番、近くで。

    もういっそ、全部買ってカウントダウンしようかな。
    当日は一輪の黄色いガーベラを持ったぼくを、届けよう。
    以前参加した撮影では、ピンクのガーベラだったけど。クラウチに渡したいのは、これだから。

    そう、きみにだけ。




    2月14日、任務明けで連れ立った警戒区域内の帰路にて「はい、どうぞ」と差し出された一輪の花。純白のクレープ紙と透明なセロファンを重ねてある。落ち着いたゴールドのリボンで結ばれていた。
    「花…?ありがとう」
    リクエストに応じた自分はチョコを渡したが、王子から渡されたのは前日までのチョコ祭りとは異なり生花だった。二度ほど瞬いたのち、王子の厚意に謝辞を述べる。そんな蔵内の様子を見守る王子は、麗しい目尻を僅かに下げた。
    「いつもありがとう、クラウチ」
    「あぁ、こちらこそ」
    鞄から出されたばかりのその花は、まだ瑞々しさを保っている。レモンイエローの花弁が半年後の陽光を彷彿させた。
    微笑と共に受け取った蔵内は左手に花を携えたまま、右手でスマホを取り出す。検索結果を読み上げた。


    花一輪の花言葉「あなたは私の運命の人」
    黄色のガーベラの花言葉「親しみやすい・優しさ」


    「……ありがとう、王子」
    スマホをポケットにしまった蔵内は、視界をじんわりと滲ませて、王子を抱きしめた。
    優しく、そして、強く。
    この唯一無二の宝物を、守るように。



    とんとん、と背中を叩かれて両腕を解く。柘榴石はまだ、潤んで煌めいていた。鼻の頭も少しだけ、赤い。王子が軽やかに笑った。白い吐息が幾つか咲く。
    「ふふっ。これからも、宜しくね」
    「ああ、宜しく頼む」
    掌中の花を優しく見つめたまま満足気にゆったりと歩を進める蔵内の横顔を、そっと眺めやる。王子の長い睫毛が刹那、震えた。

    ……まだ、花言葉はあるんだよ、クラウチ。

    限りなく細く長い、微かな吐息を落とした唇と土耳古石の翳りに、蔵内が気付くことはなかった。











    黄色のガーベラの花言葉「究極美・究極愛」




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    真砂長文倉庫

    DONE王子ハピバ!今年は当日お祝いできたぞ!やったね!
    去年の蔵王と同様、ワインとケーキで誕生会。王子二十歳の誕生日。別時空です。
    それぞれのお相手への王子の差異を書くのが楽しいです。
    CPじゃなくても仲良しなのが好きなので蔵水がっつり出てきます。

    王子誕は香水をテーマにすることにしました。だから来年までに蔵っちとみんぐの香水プリーズ!
    王子は何回も二十歳になって羨ましいw
    (初出:20240111)
    王子誕2024イコプリ「Everything is OK」 警戒区域からほど近い1LDKの単身者用マンションには、三門市立大学に通う生駒と水上、そして隠岐が隣同士で暮らしている。
     年の瀬が近づいてきた今日、生駒宅の玄関には住人の他に二足分、持ち主の異なる靴が並ぶ。一足は少しだけ踵のすり減った代赭色のスニーカー、もう一足は手入れの行き届いた暗褐色の革靴だった。個室のローテーブルに置かれたノートパソコンの画面を生駒・水上・蔵内が取り巻いている。

    「王子のイメージはやっぱり青や思うんやけど、そんな色のケーキある?」
     生駒はブラインドタッチが不得手というより雨垂れ打ちに近いため、入力担当は副官である水上である。スクエア型ハーフリムタイプのブルーライトカットグラスをかけ、キーワードを入力した。
    6226

    真砂長文倉庫

    DONEブックサンタのpixiv版がある(しかも二次OK)と知り、本命CPにメリクリして貰いました。
    (高1~高2設定)
    定番のクリスマスソングを参考にしたのですが、コレ失恋ソングなんですね。優しい雰囲気だったのでハピエンだとばかり思っていました。
    やっぱり推しには倖せでいて欲しいので、歌詞のイメージをアレンジしました。

    メリークリスマス!


    年末を機にこちらに移動。

    (初出:20231223)
    クリスマス2023蔵王「Last Christmas and... 」 防衛任務後、ボーダー本部を後にした蔵内と王子は蓮乃辺駅前に赴いていた。隣接する三門市における三年半前の大規模侵攻で一時期規模を縮小していたクリスマスイルミネーションが、漸く以前と同レベルに戻ったからである。駅前のロータリーには五メートルに及ぶ現代アーティストによるクリスマスツリーが据えられ、上品且つ華やかに彩られていた。そこから放射線状に広がる幾つかの大通りにはテイストの異なる電飾が施されていて、訪れた人々の目と心を楽しませている。更に、クリスマスソングがオルゴール版にアレンジされ、心地良い調べが街灯に設置されたスピーカーから控え目に降り注ぐ。
     ある柔和なメロディーがオルゴールで奏でられると、オブジェを撮影していた蔵内の脳内に伸びやかな歌声が想起された。そして、その歌詞も。
    3723

    真砂長文倉庫

    DONE今年もボージョレ解禁でゲットした「オレンジワイン」の色がみんぐ色(はい?)だったので、連想してみました。蔵水とも迷ったのですが、ワインは王子のイメージだったので久しぶりの王水で。

    当日書くつもりでしたが、一瓶飲んで寝てました。出産後の断酒を経験すると加齢もあってめっきり弱くなったなぁ。
    酒は飲んでも飲まれるな。(ブーメラン)
    オレンジワイン王水「nouveau dessert」「やぁ、お邪魔するよ」
    「…………入れや」
     ここ数日でめっきり冷え込んだ玄関での問答は無意味だ。
     招かれざる客ではあったがその両手に抱えられた物を視界に捉えると、琥珀色の双眸が酷薄に輝いた。その光を凌駕する土耳古石の所有者は悠然と微笑む。勝手知ったる恋人の家のリビングに入り、ローテーブルに荷物を置いた。ふわりとスパイシーな香りが舞う。そのまま瑠璃色の上着と濃紺のスヌードを壁際のハンガーにかけ、手洗いと嗽を済ませてテーブル前に座した。ちゃっかり引っ張り出した座布団を敷いている。

    「時間ぴったり、かな?」
    「約束も連絡もせんで、『ぴったり』もあらへんやろ」
     そうは言いつつも、水上の空腹具合をぴたりと見計らって来るのが王子であることを知っている。そう水上が思っていることを王子も知っている。それは、六年前の春、高校入学時に出逢った頃から肌で感じていたことだ。知人・友人・恋人とクラスチェンジした今でもそれは変わらない。嫌悪・共感・親愛の比率が多少変わったくらいだ。変動制であるそれの現在の比率は7:2:1である。
    1973

    真砂長文倉庫

    DONE2024カレンダーに脳を焼かれて書きました。
    高3夏休み設定他色々捏造していますので、ご注意ください。
    弓場隊・王子隊全員の動向を追ってみました。

    そしたらどんどんキャラ増えた……www最早CP詐欺だろコレ。済みません。

    皆、倖せであれ。

    蔵っち、も一度誕生日おめでとう!
    蔵誕2023蔵王&ワンドロワンライ「夏祭り」(15.5時間) 『Holiday Snapshots』「ほら、できたぞ」
     ぽんぽん、と角帯を叩いて終了を知らせる。
    「どう?似合うかい?」
     くるりと身体を翻す。藍鼠の小千谷縮に銀鼠の帯を合わせた王子が、まだ唐茶色のシャツと亜麻色のアンクルパンツを纏う蔵内に問う。立てていた右膝を伸ばしていつもの視点に回帰すると、蔵内は数歩下がった。
    「ああ、似合うぞ」
     腕を組み目を細め、軽く首肯した。柘榴石が柔らかく輝く。八畳間の片隅にある、衣文掛けに掛けられた鉄紺の小千谷縮を携えようとする蔵内を、軽く制する。
    「ぼくもやってみたい。いいかい?」
     きらきらと輝く土耳古石。厚めの唇が綻んだ。
    「勿論、どうぞ。しかし、それなら俺が先に着付けて貰ったほうが良かったかな」
     無論、一般家庭で育った王子に着付けの経験はない。それでも、黙々と自分を着付ける蔵内の手際の良さに魅了され、やってみたくなってしまったのだった。だから、その提案には意味が無かった。配慮に感謝しつつ、憂慮を打ち消す。
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