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    真砂長文倉庫

    @masago5050

    Twitterに収まらないものを入れる場所です。
    お手数ですが、Twitterのプロフをご確認いただけると有り難いです。
    ワートリ関係をのんびり詰めていこうと思います。
    まずはシステムに慣れることから…。
    プロフ画像は最高のコラボより。いつ見ても和む……。

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    真砂長文倉庫

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    前作で心が折れたので自分を癒すために考えました。手癖満載で原点回帰。
    自分で書くなら「ほのぼの」か「らぶらぶ」がええ…。あとえろも。
    花ネタは漢字も学名も花言葉も楽しめるので好きです。
    今回は蔵内らしく、写真メインにしました。

    ぶっつけやっつけ鉄は熱いうちに打て。やらない後悔よりやる後悔。勢いって大事だね!
    弊サイトのモットーです。

    私、ビッテンフェルトが一番自分に近いと思っています。(は?)

    紫陽花蔵王「Hommage」「今月の写真は、紫陽花なんだね」
    作戦室に飾られる蔵内の写真。月替わりのそれらは隊員たちの楽しみであり、癒しであった。
    風景や動物、水族館が主であるが、偶に人物をモチーフにすることもある。今回のメインは紫陽花のようだ。晴天をバックにしたもの、甘露と蝸牛を載せた大ぶりの葉に焦点を当てたもの、寺院の名物となった圧倒的な存在感を示すもの。カラーやモノクロで撮られたそれらは、品種もさまざまであった。

    誰もいない筈の室内で背後から声を掛けられた蔵内が、徐に振り返る。僅かに口元を緩ませる。
    「早咲きのものがメインだが、それでも結構咲いていたぞ。また撮ったら入れ替えてもいいかもな」
    「へぇ、それは楽しみだ」
    穏やかなテノールの中に潜む、弾むトーンを感じ取った王子も喜色を露わにした。キャビネサイズのシンプルなフレームを手にする。


    「若冲の『紫陽花双鶏図』のオマージュかい?」
    超絶技巧からくる綿密さと、色彩豊かながらも幻想世界を両立させる、江戸時代の日本画家の名を挙げる。宮内庁三の丸尚蔵館版と異なり白い紫陽花がないので、プライズ・コレクション版のほうだろう。鶏冠の赤さと首元から続く茶色のグラデーション、そして紫陽花の濃紺が目にも鮮やかだ。
    「正解。流石に二羽揃えるのは難しかったから、雄鶏だけになったがな」
    それでも紫陽花の根元に顔を寄せるアングルはきっちり踏襲できている。


    王子が緩めに握った拳を顎に添える。思考の抽斗を一つ開けた。
    「日本画なら、他にも北斎の『紫陽花に燕』あたりが有名だね」
    今度は若冲より五十年ほど後に生を受けた、浮世絵師としてあまりに著名な人物。蔵内も同じ絵に思い至る。小さな吐息を落とした。
    「あれも季節感あるから良いが、撮影は難しいだろう」
    水色から桜色へと連なる、淡い色彩の紫陽花に向かって右上から飛来する燕をフレームに捉えるのは、難易度が高いと言わざるを得ない。王子の声が軽やかに踊る。
    「ふふっ、確かに」
    楽しげに輝く土耳古石。蔵内がそこに焦点を当てた。


    「俺は広重の『紫陽花に翡翠』の方が好きだな……」
    北斎から更に百年近く後に活躍する、屈指の浮世絵師。『広重花鳥大短冊撰』に収められた、薄紫の紫陽花に半身を埋めたり中天から舞い降りる翡翠たち。「紫陽花や水に咲ねど水くさし」の一句も添えられている。

    「羽の色が、似てるから」
    それを鮮明に脳裏に描きながら、そのまま、強く見つめる。

    「……言うね」
    双眸を射抜かれながらも、逸らさず返す。王子のそんなところも、蔵内は好きだった。負けず嫌いの灯火が柘榴色の虹彩に小さく揺らぐ。

    「言うさ。本当のことだからな」
    二度瞬いた王子が、長い睫毛に縁取られた目尻を僅かに下げた。


    「じゃあ、広重になぞらえてぼくの方から」
    両腕を蔵内の首に絡ませ、唇を寄せる。甘やかな吐息と共に。



    「……紫陽花しようか



    「了解だ。歓迎するよ」
    王子の腰を軽く抱く。
    ふ、と柔らかく綻ばせた後に触れ合わせたそれを、一層、深めた。

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    真砂長文倉庫

    DONE王子ハピバ!今年は当日お祝いできたぞ!やったね!
    去年の蔵王と同様、ワインとケーキで誕生会。王子二十歳の誕生日。別時空です。
    それぞれのお相手への王子の差異を書くのが楽しいです。
    CPじゃなくても仲良しなのが好きなので蔵水がっつり出てきます。

    王子誕は香水をテーマにすることにしました。だから来年までに蔵っちとみんぐの香水プリーズ!
    王子は何回も二十歳になって羨ましいw
    (初出:20240111)
    王子誕2024イコプリ「Everything is OK」 警戒区域からほど近い1LDKの単身者用マンションには、三門市立大学に通う生駒と水上、そして隠岐が隣同士で暮らしている。
     年の瀬が近づいてきた今日、生駒宅の玄関には住人の他に二足分、持ち主の異なる靴が並ぶ。一足は少しだけ踵のすり減った代赭色のスニーカー、もう一足は手入れの行き届いた暗褐色の革靴だった。個室のローテーブルに置かれたノートパソコンの画面を生駒・水上・蔵内が取り巻いている。

    「王子のイメージはやっぱり青や思うんやけど、そんな色のケーキある?」
     生駒はブラインドタッチが不得手というより雨垂れ打ちに近いため、入力担当は副官である水上である。スクエア型ハーフリムタイプのブルーライトカットグラスをかけ、キーワードを入力した。
    6226

    真砂長文倉庫

    DONEブックサンタのpixiv版がある(しかも二次OK)と知り、本命CPにメリクリして貰いました。
    (高1~高2設定)
    定番のクリスマスソングを参考にしたのですが、コレ失恋ソングなんですね。優しい雰囲気だったのでハピエンだとばかり思っていました。
    やっぱり推しには倖せでいて欲しいので、歌詞のイメージをアレンジしました。

    メリークリスマス!


    年末を機にこちらに移動。

    (初出:20231223)
    クリスマス2023蔵王「Last Christmas and... 」 防衛任務後、ボーダー本部を後にした蔵内と王子は蓮乃辺駅前に赴いていた。隣接する三門市における三年半前の大規模侵攻で一時期規模を縮小していたクリスマスイルミネーションが、漸く以前と同レベルに戻ったからである。駅前のロータリーには五メートルに及ぶ現代アーティストによるクリスマスツリーが据えられ、上品且つ華やかに彩られていた。そこから放射線状に広がる幾つかの大通りにはテイストの異なる電飾が施されていて、訪れた人々の目と心を楽しませている。更に、クリスマスソングがオルゴール版にアレンジされ、心地良い調べが街灯に設置されたスピーカーから控え目に降り注ぐ。
     ある柔和なメロディーがオルゴールで奏でられると、オブジェを撮影していた蔵内の脳内に伸びやかな歌声が想起された。そして、その歌詞も。
    3723

    真砂長文倉庫

    DONE今年もボージョレ解禁でゲットした「オレンジワイン」の色がみんぐ色(はい?)だったので、連想してみました。蔵水とも迷ったのですが、ワインは王子のイメージだったので久しぶりの王水で。

    当日書くつもりでしたが、一瓶飲んで寝てました。出産後の断酒を経験すると加齢もあってめっきり弱くなったなぁ。
    酒は飲んでも飲まれるな。(ブーメラン)
    オレンジワイン王水「nouveau dessert」「やぁ、お邪魔するよ」
    「…………入れや」
     ここ数日でめっきり冷え込んだ玄関での問答は無意味だ。
     招かれざる客ではあったがその両手に抱えられた物を視界に捉えると、琥珀色の双眸が酷薄に輝いた。その光を凌駕する土耳古石の所有者は悠然と微笑む。勝手知ったる恋人の家のリビングに入り、ローテーブルに荷物を置いた。ふわりとスパイシーな香りが舞う。そのまま瑠璃色の上着と濃紺のスヌードを壁際のハンガーにかけ、手洗いと嗽を済ませてテーブル前に座した。ちゃっかり引っ張り出した座布団を敷いている。

    「時間ぴったり、かな?」
    「約束も連絡もせんで、『ぴったり』もあらへんやろ」
     そうは言いつつも、水上の空腹具合をぴたりと見計らって来るのが王子であることを知っている。そう水上が思っていることを王子も知っている。それは、六年前の春、高校入学時に出逢った頃から肌で感じていたことだ。知人・友人・恋人とクラスチェンジした今でもそれは変わらない。嫌悪・共感・親愛の比率が多少変わったくらいだ。変動制であるそれの現在の比率は7:2:1である。
    1973

    真砂長文倉庫

    DONE2024カレンダーに脳を焼かれて書きました。
    高3夏休み設定他色々捏造していますので、ご注意ください。
    弓場隊・王子隊全員の動向を追ってみました。

    そしたらどんどんキャラ増えた……www最早CP詐欺だろコレ。済みません。

    皆、倖せであれ。

    蔵っち、も一度誕生日おめでとう!
    蔵誕2023蔵王&ワンドロワンライ「夏祭り」(15.5時間) 『Holiday Snapshots』「ほら、できたぞ」
     ぽんぽん、と角帯を叩いて終了を知らせる。
    「どう?似合うかい?」
     くるりと身体を翻す。藍鼠の小千谷縮に銀鼠の帯を合わせた王子が、まだ唐茶色のシャツと亜麻色のアンクルパンツを纏う蔵内に問う。立てていた右膝を伸ばしていつもの視点に回帰すると、蔵内は数歩下がった。
    「ああ、似合うぞ」
     腕を組み目を細め、軽く首肯した。柘榴石が柔らかく輝く。八畳間の片隅にある、衣文掛けに掛けられた鉄紺の小千谷縮を携えようとする蔵内を、軽く制する。
    「ぼくもやってみたい。いいかい?」
     きらきらと輝く土耳古石。厚めの唇が綻んだ。
    「勿論、どうぞ。しかし、それなら俺が先に着付けて貰ったほうが良かったかな」
     無論、一般家庭で育った王子に着付けの経験はない。それでも、黙々と自分を着付ける蔵内の手際の良さに魅了され、やってみたくなってしまったのだった。だから、その提案には意味が無かった。配慮に感謝しつつ、憂慮を打ち消す。
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