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    azurem00n

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    フォル学でブラネロ未満。
    ゲストはミスラ。

    #ブラネロ
    branello
    ##ブラネロ

    「ネロ、ブラッドリーはどこですか」
    「えぇ……知らねえよ…来てねえんならサボりじゃねぇの」
    幼い頃やまだチームにいて連んでいた頃ならまだしも、今はもう、ネロはチームを抜けて、だからこそブラッドリーからも離れようとしている。
    真っ当になりたい。
    日々ケンカばかりしてそれが何になるというのだ。
    怪我ばかりこさえて、それでも楽しそうに笑って、悔しそうに顔を歪めて。あんなにも騒々しくて目まぐるしい日々をネロには生きていくことがもうできない。
    ふぅん、と聞いてきたわりに興味のない返事を返したミスラはネロの腕を引っ張り上げた。
    「じゃあ、あなたでいいです」
    「はっ!?」
    がたん、と衝撃で倒れた椅子はそのままに、というかこちらの声も無視してズカズカと進んでいくものだから並んだ机のあちらこちらに体をぶつけた。その端正な容姿からモデルもやっているというミスラの歩幅に当然ネロが追いつけるはずもなく、若干足をもつれさせながら腕を引かれるままに着いていく。
    「俺じゃあんたの相手つとまんねぇだろ。……それに、俺はもうそういうのは、」
    「知ってますよ」
    というか、あなた別に今までだってそんなに参加してなかったでしょう。
    けろりとそう言われて、ネロがミスラの視界に入っていたことに驚く。ストリートチームのNo.2と呼ばれてはいたものの、それは別にネロが好んでその立ち位置にいたわけではない。ブラッドリーの傍にいられるのがその方法だっただけで、傍にいれば当然のように絡まれるわ、巻き込まれるわでそこそこ腕っぷしは鍛えられざるをえなかった。
    けれどそれだけだ。
    だから、ストリートファイトのときは周りの熱狂にどこかついていけないでいた。
    ……あぁ、でもそういえばミスラも似たような顔をしていたかもしれない。
    「とりあえずあなたを餌にしたらブラッドリーが釣れないかな、って」
    「人質的なやつか?はは、無理無理」
    いくらブラッドリーが苦戦するミスラだからといって、ネロだってそこそこガタイのある男だ。そこそこなら自分でだってどうにかできる。
    確かにブラッドリーは情に厚い。チームメイトからも慕われているし、それこそ懐に入れた奴のためであれば無茶をするような男でもある。……けれど、ネロはその腕の中から逃げたのだ。もうそうしてもらえる権利はネロにはない。
    自分でそれを選んだくせに、それを改めて自覚すると胸に穴が空いた心地になる。
    足を止めたネロに引っ張られるように止まったミスラが振り返る。……めったに動かない表情筋に、少しばかりの呆れを乗せて。
    「……あなた、バカなんですね」
    「え?」
    「まぁいいです。ブラッドリーが来るまで何か作ってください。腹が減ったんで」
    「は?」
    いやだから来ねぇって、と言葉を重ねたネロの声はふわぁ、とのんびりとしたミスラのあくびにかき消されたのだった。




    「おい、ネロ!!」
    購買のパンを作るために借りている調理室の扉が乱暴に開けられる。腹が減ったとねだるミスラに余っていた材料で軽いものを作ってやって、けれど一応ブラッドリーを釣る餌として連れてこられたネロは、今日の晩メシなんにしようとかぼんやり考えるしかすることがなかったからそれはもう驚いた。
    そこには肩で息をして、必死な顔をしたブラッドリーがいた。
    「ほらね」
    頬をぱんぱんにしたミスラが当たり前のように笑った。
    「てめえ、ミスラ、ひとのモンに手ぇ出すとはいい度胸じゃねぇか」
    「出してませんけど」
    「出されてねぇけど」
    というか俺はおまえのものでもなんでもねぇんだけど。
    それを口にする前に怒気を撒き散らしながらブラッドリーが近づいてくる。
    「ケンカの相手探してたんだって?相手になってやらぁ」
    「あ、もういいです。なんか今いい感じに眠いんで」
    「はぁ!?」
    ネロが今にも掴みかかりそうなブラッドリーをどうどう、と宥めているかたわらでミスラは言葉どおりにふわぁ、とあくびをして目をとろんとさせている。
    「じゃあ、俺は寝にいくんで」
    ネロ、ごちそうさまでした、とのんびりとした声が降ってきて、そのままミスラは調理室から出ていった。
    あまりのマイペースさにあっけに取られていると、隣のおとこから収まりきれてない怒気を感じる。
    「ネロ」
    「お、おう」
    「サボるぞ」
    「へっ」
    今日はよく手を引かれる日である。
    同じようにずんずんと手を引かれた先はスーパーで、なぜかネロはブラッドリーの家でしこたまフライドチキンを作ることになったのだった。
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    related works

    44_mhyk

    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523

    recommended works

    cross_bluesky

    DONEエアスケブひとつめ。
    いただいたお題は「買い出しデートする二人」です。
    リクエストありがとうございました!
    中央の市場は常に活気に満ちている。東西南北様々な国から商人たちが集まるのもあって、普段ならばあまり見かけることのないような食材も多いらしい。だからこそ、地元の人々から宮廷料理人まで多種多様な人々が集うという。
     ちなみにこれらは完全に受け売りだ。ブラッドリーはずっしりと重い袋を抱えたまま、急に駆け出した同行者のあとを小走りで追った。
     今日のブラッドリーに課された使命は荷物持ちだ。刑期を縮めるための奉仕活動でもなんでもない。人混みの間を縫いながら、目を離せば何処かに行ってしまう同行者を魔法も使わずに追いかけるのは正直一苦労だ。
    「色艶も重さも良い……! これ、本当にこの値段でいいのか?」
    「構わねえよ。それに目ぇつけるとは、兄ちゃんなかなかの目利きだな。なかなか入ってこねえモンだから上手く調理してやってくれよ?」
     ようやく見つけた同行者は、からからと明朗に笑う店主から何か、恐らく食材を受け取っている。ブラッドリーがため息をつきながら近づくと、青灰色の髪がなびいてこちらを振り返った。
    「ちょうどよかった、ブラッド。これまだそっちに入るか?」
    「おまえなあ……まあ入らなくはねえけどよ。せ 1769

    plenluno

    DONE泣けないアシストロイドは誕生日の夢を見るか。

    ネロさん誕生日おめでとうございます!!!
    色々あって大遅刻ですが、パラロイのブラネロでお祝いさせていただきます!
    ブラッドリーがネロと出会った日をお祝いしようとしてジタバタする話。
    視点の切り替わりごとに章区切りをしていて、全8章になります。
    誕生日要素ふんわりな感じで、温めてたネタをちょこちょこ昇華した仕様になりましたが楽しく書けました😊
    アシストロイドの落涙

    ザザ…とノイズが走り、ざらついた視界でアシストロイドとしての「死」を認識する。
    自分が何のために生きて、この死に何の意味があるのか。
    そもそもアシストロイドにとっての「生」「死」とは何なのか。
    たとえ自分が「心」など、「感情」など持たない身の上でも、今際の際にそれらについて思考するくらいは許されたいものだ。
    そうだな、自分は元はといえば調理や給仕を行うために設計されたのだから、調理や給仕が自分にとっての「生きる目的」、ということになるだろうか。
    だとしたら。
    ――最後にもう一度、俺の作った飯を誰かに食べてもらいたかったな。
    ぽつりと呟いた言葉はもはや意味をなさない雑音に等しかったが、決して無意味ではなかった。
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