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    半ロナ。ヒヨ視点。

    注意⚠️
    ※男性妊娠系の能力を持った自作吸血鬼
    ※ダンピ情報捏造
    -------------------------------------
    どうでもいいんですけど、書いてる人はその辺(能力)は全然ヘキとかじゃないです。ごめん。

    【半ロナ】何も起こらない とある日のロナルド吸血鬼退治人事務所。そこの応接スペースにヒヨシの姿はあった。テーブル越しに座る、赤い仕事着の我が弟…退治人ロナルドは、ソワソワしっぱなしで、自分が何か言葉を発するたびにまるで憧れのアイドルと対峙したファンのような様子で受け答えをしていた。(どうしてこうなったのか。)
     直属の部下であるヒナイチが吸血鬼ドラルクの監視に、半田がロナルドの監督にと頻繁に出入りしている(出入りしすぎではある)この場にヒヨシが足を運ぶことは滅多にない。通りかかったついでとは言え、今回足が向いたのは、兄として弟の身を案じていたたからに他ならないだろう。


     吸血鬼少子化対策。そう名乗る吸血鬼が現れたのは先週のことだった。自らのことを社会問題を解決に導く存在であると宣うそいつは、触れた男性を妊娠できる体にできる能力を持っており、被害者が急増。
     確保のため拳を叩き込んだロナルドはまんまとその能力の餌食になってしまった。(その後のVRCへの移送などは女性職員の手によって行われたので、シンヨコでそれ以上の被害が広がることはなかった。)
     妊娠できる、とは言っても体の一部が女の子になるわけではなく、パッと見外見のの変化はない。(どんな人体構造変化させとるんじゃ!というのはさて置き。)事件発生当時、被害者が通報に至ったのも「吸血鬼にこれで妊娠できる体になったと言われて怖くなった」というものが大多数。その他「信じていなかったがエッチなことを考えると尻がもぞもぞしたような気がして、本当かもと思った」などと証言する者もおりヒヨシはげんなりしたが、それは置いておいて。
     それから一週間。効果は長くて丸二日程度という極々一過性である能力の影響は解け、ロナルド含め、被害者たちは無事、元の生活に戻っていた。

     今回の事件に於いて留意すべきは「能力の期限は二日程度だが、その影響を受けている時点で"当たって"しまえば、そのまま育って出産まで可能」と件の吸血鬼が自供しているという点だった。曰く、個人情報の観点から誰とは言えないが事例もある、ということで吸対は被害者達に約二日間、細心の注意をするよう呼びかけた。


     そしてロナルドは、その二日間を警察の保養施設で、半田の監視の下、ふたりきりで過ごした。その間、半田からは定期的に電話やビデオ通話で報告がなされていた。
     ロナルド曰く「ロナ戦の原稿も捗ったし、半田はまぁ…うるせぇけど、なんだかんだ付き合い長いやつが監視だったからその点はお互い楽だったと思う」「休みもらっちゃったみたいで少し罪悪感あったけど」ということで、その様子から、ヒヨシの目から見てもどうやら悪くない時間だったようだ。(終わった途端セロリを出されたようだったが。)

     ヒヨシは、自分の事件当時のそれが杞憂に終わったことに安堵した。もちろん、半田のことを信用したからこそ、あの判断を下したわけなのだが。



     犯人確保直後。
     その場で半田はすぐさまヒヨシを呼び止め、ロナルドの隔離とそれに伴う監視業務を自分に就かせるように提案してきた。

     曰く、今やシンヨコの退治人の宿命よろしく街中で裸体を晒すこともしばしばであるアホのロナルドだが、一応人気退治人でありベストセラー作家だ。これを好機と捉えるものがいないとも限らない。普段通りの生活をさせるわけにもいかないので自分に監視の許可をくれ、というものだった。
     現に、現場は人通りも多くギャラリーも寄り集まっており、そんな中犯人は自分の能力を大声で説明。「お前もこれで妊娠できる体になった!少子化に貢献しろ!」と叫んでおり、その発言を聞いていた者も多い。半田の言い分もわかるし、ヒヨシとて我が弟を心配する気持ちがないわけではない。しかし、それは些か私情を挟みすぎている、行き過ぎた提案のように思えた。
     それに何よりヒヨシは直属の部下である半田が、ロナルドに対して反射のようにネジが外れてしまうのを間近で見てきている。
     つまりのところ、半田は「むしろ最も近づけてはならない男」の一面を持っているのだ。

    「あいつは強いじゃろ。他の被害者のようになるべく家から出ず身の安全を確保しろ、では駄目なんか?」
    「奴の家は普段から不特定多数が出入りするので危険です」
    「なるほど?では監視は他の人員では信頼に値せんかの?」
    「仲間のことは信頼しています。しかし現時点で犯人が自供している能力が全てとは限りません。だから俺が適任です」
     ヒヨシは眉を顰めた。
    「何故そう言い切れる?おみゃーのロナルドへの普段の行動を考えると、そうは思えんが?」
     不信感を含ませたヒヨシの質問に、半田は躊躇することなく答えた。
    「はい。ロナルドは何かあれば大抵の者であれば力尽くで抑えることができます。だがお人好しが過ぎる。対して普段から殴り慣れている俺になら躊躇する必要もないでしょう。それに、万が一何かが起きたところで」
     半田はほんの一瞬だけ息を止め、言い切った。
    「隊長もご存知の通り、ダンピールと人間の間に子ができた実例はゼロに等しいかと」
    「…」
    「ダンピールの俺が適任です」
     ヒヨシは「ふむ」とつけ髭を人撫ですると、目の前の、真剣な眼差しで指示を待つ部下から、ガヤガヤと退治人仲間や一般人、それに顔馴染みの吸血鬼達に囲まれている被害者に視線を移した。そして、再び視線を元に戻すと、ため息混じりに答えた。
    「丸二日は長いの。一部有給扱いになっても文句は言うなよ?」
     「ありがとうございます」と敬礼した半田は、すぐにロナルドに向かって駆け出した。



     幸い半田と、そして目の前の弟の様子を見る限り「万が一」も起こらなかったようだ。むしろそれなりに楽しい時間を過ごしたのであろう弟の様子に少しの喜びすら覚えている。それにしても。

    (良い友人を持った、と言うべきか)

     否、まさに半田のあれは「執着」としか言いようがないものだ。半吸血鬼としての血がそうさせるのか、本人の趣味趣向、性質なのかは定かではないが。
     だが同時に、あの覚悟は一種の…。しかし、本人が自覚しているのかは定かではないが。

     目の前の、無邪気な様子のこいつに少なくとも、あの時の半田の発言を告げるべきではないのだろう。

    (俺も大概甘いの)

     ヒヨシは自らを笑うと、ティーカップに残っていた紅茶を飲み干した。


      完
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