愛される条件「ねえ、門倉部長。愛される条件って何だと思います?」
いつの間にか人の家に居着いて我が物顔でソファに寝転がる宇佐美は、携帯を弄りながらそんなことを宣った。
「いや……知らないけど。どうしたの急に」
「なんかRTで回ってきたんで。ほら」
そう言って携帯の画面を見せて来る。そこには、可愛い動物のアイコンがあしらわれたブログ記事のようなものが添付してあった。ピンク系で統一されたデザインから、これが女子向けのものであるとひとめで分かる。
「……そんなもの、おじさんに聞いてどうするのよ」
「いいじゃないですか。早く答えてくださいよ。僕暇じゃないんで」
思いっきり横になって携帯弄っているのの何処が暇じゃないと言うんだと、喉まで出かかった言葉をすんでの所で飲み込み、俺は自前の髭をゾリ、と、手でなぞった。
2003