博物館のひと【バレンタイン番外編】(1)
義理チョコ。
友チョコ。
本命チョコ。
バレンタインに贈るチョコには、色々な関係性が見えてくる。
「門倉さん…それ…有名な高級チョコですよね…」
俺の手に握られているのは、手触りも良い包装紙に包まれたチョコ。
ソレを見る宇佐美の目が…怖い。
「いや…これは…」
「浮気ですか?」
いやいやいや…そんな度胸無いよ?!
こんな嫉妬深い恋人がいて、そんな自殺行為出来るわけがない!
「貰ったんですか?あげるんですか?」
「…あ…あげるやつ…です」
そんな目が据わった状態で言わないでくれ…
素直に言えないじゃないか!!
「…誰ですか?」
あぁ、宇佐美相手じゃないのはハッキリ分かっているようだ…
これは正直に言うしかない。
「…鶴見」
例によって、何の因果か学生時代からの親友である鶴見の名前を呟く。
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