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    ヨコカワ

    @wanwaninushizu

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    ヨコカワ

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    rnis︎︎ ♀
    幼なじみ同学校パロ isg先天性にょた
    今のところお兄しか出てこない

    そのうちどこかであげます

    これの続き
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20658998



    「手も繋いでないってどういうことだ」

    ある平日の夕方、期末テストの部活動停止期間を"自由に遊ぶ時間"として楽しむ潔の元に、日本の至宝、糸師冴が肉じゃがを片手に訪れた。

    耳にイヤホンをして動画サイトを垂れ流しながらベッドに寝転んでいた潔は、凛がやって来たのかと思い身体を強ばらせたが(なぜなら人の怠惰の時間を見ると、時間の無駄してるなって顔をしてくるので)、部屋の扉の前に立っていたのは同じ顔をした兄の方だった。

    「突っ込み所が多すぎる……」

    その一言につきる。そもそも冴が日本に帰国していたことも知らなかったし、ノックと言わないような、コン!という一音と共にドアを開けてくる癖が今でも直らないのはどうかと思うし、なぜ自分の部屋まで糸師家のおすそ分けと思しき肉じゃがを持ってきているのかも謎だし、開口一番に手を繋いでいないことを詰められている意味もわからない。

    「え、まずその肉じゃがは冷蔵庫に入れたいんだけど良い?なんで母さんに渡してないの?ちゃんと玄関通ってきた?」
    「お前と愚弟の絶望的な話を聞いたら、正気か疑いすぎて渡し忘れた」
    「そ、そんなに!?ちょっとそれ置いてくるから、そこに座ってて」
    「潔」
    「なに?」
    「彼氏以外の男を自室に入れてベッドに座らせるのは、自己防衛意識がカスだ」
    「うるさいな、小姑下まつげ!」

    人の部屋を訪ねてきたのはそっちの癖に!と、入るなり1分近く横暴な言動を続ける冴を部屋に押し込めて、肉じゃがを置きに忙しなく1階に向かった。

    「で、急に何だよ。てか帰って来たなら教えてくれればいいのに」
    「ヤボ用で何日か戻った。それより潔、凛と手も繋いでないっていうのは本当か?」
    「本当だけど」

    潔が母親の入れてくれたこんぶ茶をお盆に載せて戻れば、さっきは自己防衛意識が〜という話をしていた男は、堂々とベッドに腰掛けてスラッとした脚を見せつけるように組んでいた。

    「前提確認だが、付き合ってるんだよな」
    「うん、一応。今年の夏から」
    「今何月だ?」
    「12月」

    平気な顔で受け答えする潔を見て、表情にこそ出ないものの、冴は内心頭を抱えた。今年の夏、付き合うようにハッパをかけた自覚はあった。それは長年焦れったい片思いをしている弟の尻を叩いてやろうと、腰を上げたものだった。そのアシストから比較的すぐ、恋人の振りから本当に付き合うことになったと連絡が来た時は、弟の成長に涙が出そうになった。やれば出来る、さすが俺の弟と、スペインで1人真顔で拳を握ったものだが、蓋を開けてみればこれだ。

    オフの日に、そういえば2人はどうだろうかと潔に「凛とはうまくやってるか」とメッセージを送った冴は、テンポよく返ってきた返信の内容に驚愕した。

    『変わらず!』
    『凛はあんなだけど、恋人として大丈夫か』
    『うーん、よく分かんないけど、付き合う前と何も変わらないから大丈夫だと思う!』
    『は?』
    『え?』
    『キスはしたか?』
    『付き合う前に1回』
    『は?それからは?』
    『してない』
    『手は繋いだか?』
    『繋いでない』

    力を込めて握りしめすぎたスマホがミシ……と悲鳴をあげる。なんという事だ。弟は、先に進めているようで全然そんなことがなかった。付き合う前になぜキスをしているのかも気になるが、交際期間がもうすぐ半年になろうともいう思春期の恋人たちが、手の一つも繋いでいないという衝撃が全てを上回った。

    『でも仲良いよ』

    ぽこん、と曇りのない笑顔の犬がグッドポーズをしているスタンプが送られてくる。何がGoodだ。いや、潔を責めることは間違いかもしれない。どちらかと言えば、すごく愚弟に非があるのは間違いない。冴は、兄として、またアシストをしなければならないという使命感に駆られていた。
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