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    ヨコカワ

    @wanwaninushizu

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    ヨコカワ

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    プロ選手rn×メンコン店員isg
    ※なんでもいい人向け

    -
    ★読むと分かりやすいざっくり設定
    ・rn
    プロ 19歳
    pxgではまだ新人であり、期待の新星。シーズン中の1週間の空きに仕事で一時帰国していた。仕事帰り、お偉いさんに新宿の風俗店まで送られ、キレながら帰宅しようとしたところをisgに客引きされる。最近、各所から社会経験を詰んだほうがいいとよく言われるので、ムカついている。

    ・isg
    大学2年、20歳
    私大のサッカー部所属。ヨーロッパにサッカー観戦に行くため、練習の合間に効率よく稼げるメンズコンカフェでバイトを始めた。コンセプトは天使と悪魔で、衣装が2種類ある。(日毎に選べる)
    お店の中では珍しく男性客がついており、繋がり目的が多い。女性客には天使衣装が人気だけど、男性客には悪魔衣装が人気。客引きは苦手。

    ・hor
    isgと同じコンカフェで働く先輩店員。恥のない接客に定評がある。悪魔衣装の方が人気。客引き上手い。

    ・Angel&devil
    あなたに仕える天使と悪魔がコンセプトのメンズコンカフェ。(衣装は例の天使と悪魔コラボのやつで想像して書きました。)お客さんの8.5割は女性客(お嬢様)。新宿繁華街ど真ん中にありながら、ホスト感の薄いキャストが多いところが評判。

    -------
    「凛くん、今日はありがとね。有意義な時間だったよ」
     オフシーズンでも何でもない、忙しない数日間の帰国の最中。協会の偉い人だとかいうジジイのところに行けと、色んな連中に圧をかけられてみればこれだ。一刻も早く一人になりたいというのに、無理やりタクシーに乗らせて、横で満足げに笑っているであろうクソジジイの顔に一切目を向けないまま「はあ」と返す。
    「凛くんも、たまには息抜きをした方がいい。私の名前を出せばタダにしてくれるよ」
    「……?」
    男はタクシーを止めるように言うと、紙切れを2枚膝の上に乗せて降りる。
    「凛くんも降りなさい。この近くだから」
    「いや、俺は」
     このままホテルへ帰宅しようと考えていたので、その提案に躊躇うが、運転手にクレジットカードを渡し始めたのを見て渋々降りる。また乗り直せばいい。
    「じゃあ、楽しんで。こんな所にあるけど、ちゃんと匿名の高級店だから安心してね。これからも期待しているよ」
     馴れ馴れしく人の肩を叩いた男は、それだけ言うと騒々しい街並みに消えていった。てかどこだこれ。全然話聞いてなかったから、何のためにどこに連れてこられたのか検討がつかない。
     手元に置かれた紙切れを確認してみる。名刺が2枚。風俗店の案内だった。
    「チッ……カスジジイ! 死ね!」
     下の方に書いてある住所と周囲の雰囲気からして、ここは新宿の繁華街だろう。平日の18時前で、街に人が増えてきていることが分かる。さっさとタクシーを拾って帰ろう。そう決めて、マスクを鼻の上までしっかり上げ、キャップも深く被った。とりあえず、車通りのありそうな大通りに出なければいけない。
    「あの、お兄さん」
     地図アプリが表示する、別にそこを通らなくてもいいだろうというような細い路地を歩いている時、斜め後ろからそんな声がした。
    こんな街のこんな場所で声をかけてくる人間、よく考えなくても変な奴だから無視すれば良かっただろうに、なんというか、悪意のなさそうな人間の声に思わず振り返ってしまった。
    「コンカフェに興味ーー」
     こちらをのぞき込むようにした深い青色と、ばっちり目が合う。すぐにその人物の全体像に視線が向き、自分の目を疑った。背中に羽がついている、男。
     真っ白な軍服のようなものに身を包んだ黒髪の男は、肩にマント、腰にベルト、足元はロングブーツ。背中の白い羽をひっくるめて、端的に言えばコスプレだった。突然現れた頓痴気な男に、僅かばかり固まってしまう。
    「あれ、お兄さん……」
    「あ……?」
    「糸師凛にめっちゃ似てますね!? うわ、本物かと思った!ビビったあ〜〜」
     手元にビラの塊を持ったコスプレ男は、人の顔を凝視するなり、グイグイと距離を詰めてきた。大きな瞳が幼さを感じさせるが、そこまで歳は離れていないだろう。てか、俺の事知ってんのか。確かにこっちのニュースで名前が出ることもあるだろうけど、サッカーに興味のない人間でもないと、パッと顔と名前は出てこないだろう。
    「似てるって言われませんか?」
    「知らねえ」
    「声まで似てる!」
     何で俺の声知ってんだよ。インタビューとか見てんのかよ。少しだけ焦りを覚えたが、まさか俺がこんなところにいるとは思わないのだろう。あくまで”そっくりさん”に話しかけているらしい男を適当にあしらって、立ち去ろうと考えた。
    「あ。俺、そこのコンカフェの”イサギ”って言います。コンカフェって知ってますか?」
    「知らね。興味ねえ」
    「ですよね。店員とお話するバーみたいな感じなんですけど、今初回ワンドリンク無料で。人助けだと思って来てもらえませんか!」
     話しても埒があかないと思い、歩き始める。イサギと名乗った男は、意外に本物みたいな質感の羽を揺らしながら必死に着いてきた。
    「俺、お兄さんとお話したいんだけど」
    「俺は話したくない。営業なら他を当たれ」
    「いや、俺もこんなに着いてまで誘ったりしないんだけど、お兄さんめっちゃ糸師凛に似てるから。1時間だけ来て欲しいなって。俺、マジで凛のプレーのファンで」
    「だからそんな奴知らね……」
     一喝してやろうと振り向けば、男は途端に黙りこくってまじまじとこちらの顔を凝視した。ガキみたいに目を輝かせて、どこか感動したような反応をしている。
    「マジでそっくり。俺、日本でやった興行マッチ観に
    「……本物なわけねーだろ」
    「あれ、凛のこと知ってるの?」
     初めて生身で接する自分の熱心なファンに押され、時分でも驚くようなボロが出てしまった。最近丸くなってきたとチームメイトに言われて、んなわけあるかとバカにしていたが、実は的を得ていたのかもしれない。
    「ってことはサッカー好きですよね!? 俺も大好き! やっぱり話したい。無料の1時間終わっても引き止めないからさ」
     先程よりグッと身体を寄せられ、狼狽える。コンカフェって何だよ。マジでなんなんだこいつ。ただでさえ今日はクソジジイに拘束されて、早く帰りてえし、こんなの時間の無駄だ。
     "凛くんも、たまには息抜きした方がいい"、"この機会に、もう少し社会勉強してこい"。色んな人物の、好き勝手な言葉が浮かんでは消えていく。嗚呼、うるせえ。
    「な、ここで会ったのも絶対何かの縁だって」
     回り込むように俺の前に立ったイサギが、こちらを見上げながら嬉しそうに笑う。俺のファンで、しつこくて、変なやつ。何かの縁。社会勉強。ホテルは新宿からは距離がある。あー、全部めんどくせえ。
     溜まっていた疲れとフラストレーションが気を狂わせたのかもしれない。全部ぶつけるみたいに、その割には我ながら小さい声で、イサギに返事をした。
    「……案内しろ」
    ***
    「ほい、ここがお店」
     とち狂ってもやがかかったような頭のままイサギに連れられて訪れたのは、年季の入った雑居ビルの3階、見渡せるくらいの手狭なフロアだった。
     中にはバーカウンターが5席と、ソファーの前に小さなテーブルが置かれた席が6席。深夜につけっぱなしにしていたドラマで見た、ガールズバーみたいなレイアウトだ。
    「ご主人様のお戻りです!お帰りなさいませ、ご主人様!」
     店に入るなり、ベルを鳴らし、俺以上にとち狂ったことを言い始めたイサギにギョッとする。顔には出ていないだろうけど。
    「誰もいねえじゃねえか」
    「ド平日のこの時間はいつもこんな感じ。ぼったくりとかじゃないから安心してください」
     どこか気まずそうに頬をかいたイサギは、カウンターでいい?  と、バーカウンターの方の一番端の席に俺を案内した。高めの椅子に腰掛ける。
    「こほん。ご主人様、お帰りなさい。ここはご主人様に仕える、天使と悪魔が集う異世界です!」
    「ふざけてんのか?」
    「しょっぱなから心を一刀両断にしないでくれる?」
     カウンターの中に入るなり、Angel&Devilと、まんまの単語が仰々しく書かれた分厚いメニューを広げ、恥ずかしそうに話し始めたイサギにすかさず言えば、ぎゃんと抗議の声が飛んできた。
    「そもそも何なんだ、この店は」
    「あ、そっか。コンカフェってコンセプトカフェの略なんだけど、各お店で独自の設定があって、その世界観でやってるカフェバーっていうのかな。ここは天使と悪魔がコンセプトで、店員が天使か悪魔で、お客さんに仕えてるって設定。だからお兄さんはご主人様ね」
    「イサギくん、ちょっと説明がメタすぎとちゃう?」
     世の中にはこんな奇怪な飲食店が存在しているということを知りそれなりに衝撃を受けていると、入口から水色髪の男が顔を出した。イサギとは違う、黒い服を着ている。背中には形状の異なる小さな羽根。これが悪魔というやつなんだろう。
    「ヒオリ、ごめん。お兄さん、コンカフェ初めてらしくて。ビラで来てくれたんだ」
    「男前なご主人様やね。僕はヒオリ、おおきに。……それにしても、どこかで……」
    「あ! 凛だよ。俺がいつも写真とか見せてる、プロサッカー選手の糸師凛のそっくりさん。めっちゃ似てるよなあ」
    「ああ、その人やね」
     ヒオリと名乗った関西弁の男は、店に入っても依然としてマスクも帽子も取らない俺の事を、じっと見た。勘のいいやつの視線だと、直感で思った。
    「そっくりていうか、まあ。……ご主人様、帽子くらいは取ってもええと思うよ」
     じゃあ僕はお散歩行ってくるな、とビラの塊を片手に、ヒオリは店を出ていった。ビラ配りのことをお散歩というらしい。つくづくイカれた店だ。てかアイツ、本物だって気づいてただろ。
    「そうだ!ご主人様じゃ堅苦しいから、名前を聞くことになってるんだ。呼ばれたい名前とかある? 本名の苗字とか名前を言う人もいれば、全く関係ないハンドルネーム? みたいな人もいるけど」
    「ない」
    「んー、じゃあ凛って呼ぶな」
    「おい」
    「だってマジで似てるんだって」
     伝票の一番下に、丸っこい文字で"リン"と書かれる。意図せず本名を呼ばれることとなってしまった。まあ、ここの客層に顔が割れているとは思えないし、プロのサッカー選手がこんな所にいるとは誰も思わないだろうけど。
    「さっき言った通り、ドリンク1杯とチャージ1時間は無料ね。何飲む? お酒も大丈夫だけど」
    「酒は飲まない」
    「好きじゃない?体鍛えてるとか?」
     てかこいつ、いつの間にかタメ口だし。普通、飲食店の店員は敬語だろ。学生時代に行っていた表参道のお茶漬け屋や、カフェの店員を思い浮かべつつ、未成年。と正直に理由を答えた。
    「未成年!? 絶対年上だと思ってた」
    「19」
    「歳まで糸師凛と一緒!?」
     その言いぶりからして、イサギは19より上なんだろう。ちゃっかり俺の歳まで覚えているようで、大人っぽいなあ、とまた顔をのぞき込まれる。何かと距離感の近いやつだ。
    「ソフドリはこれ」
    「烏龍茶でいい。……この"天使と悪魔へのご褒美"ってのは何だ」
     イサギが示したページの横に書かれていた、普通の飲食店では絶対に見ることの無いメニュー名が目についてそう尋ねる。しかも2つあって、1000円のご褒美、1500円のご褒美。なんだそりゃ。
    「ああ、これはキャストドリンクで、好きな店員にドリンクを1杯飲ませてあげられるメニュー。1杯入れると、15分とか20分とか目の前に着いて話せるんだ。……待って、時間はお客さんに言っちゃダメだったかも。忘れて」
     ポンコツ店員は、全部しっかり吐き出してから、オドオドと辺りを見渡した。完全になり切れていないその感じから、まだこの店に入ったばかりというのがバレバレだ。ガールズバーなんて行ったことないけれど、大体こんなシステムなんだろうということが想像できた。
    「でも凛は初回だし、今他にお嬢様もご主人様もいないから俺が勝手に着くよ」
    「じゃあこれも入れろ」
    「ええ、いいって」
    「そういう店なんだろ」
     別に、タダだからこんなくだらない店に来た訳では無い。金は同世代のヤツらに比べたらかなり潤沢な自覚はある。……まさかこんな店に一銭でも払うことになるとは思わなかったが。
    「ありがと。じゃあ1000円の方もらうな」
    「何が違う」
    「1500円の方はアルコール」
    「酒は飲まねえのか」
    「飲めるけど、まだ成人したばっかりだから……あ、これもダメだ。ごめん、凛、忘れて」
     普通こういう店の店員は酒を飲むんじゃないかと思っての発言だったが、イサギはまた一人相撲で大焦りしている。やはり歳は近かったようだ。ひとつ上。なんなら見た目は年下に見える。
    「本当はね、キャスト……店員が、自分の個人情報をべらべら喋るのってマジのご法度なんだよ。凛は大丈夫だと思って、つい。忘れて」
    「何でダメなんだよ」
    「俺、このフロアでは天使だからさ」
     また恥ずかしそうに、イサギは笑った。なるほど、世界観を守りましょう、みたいなことなのだろう。
    「じゃあドリンク準備するな。誰も来ないと思うし、のんびりしてて」
     そう言うと、白い羽根を揺らしながらイサギが立ち去った。とはいえ、カウンターの中にいるので一挙一動は見える。グラスにいくつかの氷と、ペットボトルのお茶を注いでいた。こんなことを言ったら元も子もないが、いい商売だ。
    「凛は大学生?社会人?」
     カウンターにコースターが置かれ、その上に細長いグラス並々注がれた烏龍茶が置かれる。もう1つ、同じく烏龍茶が注がれたシャンパングラスが持たれていた。
    「社会人」
    「もう働いてるんだ、偉いな」
     いただきます、と言って、下から控えめにグラスをぶつけられる。伸ばす部分をぐにゃぐにゃとひねられた赤いストローで、飲みなれたその味を流し込んだ。普通の烏龍茶。
    「お前は」
    「……凛だから言うけど、俺は大学2年。一応サッカー部入ってて、練習の負担にならないように効率いいこのバイト始めたんだ」
     ここ、結構稼げるんだ。と1番言ってはいけない感じの情報までついてきた。海外選手の体格に見なれてしまった今では、イサギの身体は細身にしか見えなかったが、そこまでモヤシっぽくないのはそういうことらしい。
    「学費か」
    「ううん。スポーツ推薦だから学費は免除されてるんだけど、学生のうちにヨーロッパの試合を現地で見たくてさ。お金貯めてる」
    「どこの試合に行くんだ」
     大学でスポーツ推薦をもらえるということは、そこそこのレベルなのかもしれない。国内プロチームの指定選手ならまだしも、大学選手はチェックしないから、記憶にはない。
    「うーん、5大リーグ全部生で見るのが夢だけど、一番はドイツのバスタード・ミュンヘンかな」
    「あ?」
    「俺、小さい頃からノエル・ノアが憧れなんだ。ノア様みたいになりたい! って言いながら育った」
     てっきり、自分の所属するチームの名前が出てくるものだと思っていた。全く別の国のチーム、そしてド王道の選手の名前に思わず顔をしかめる。まだ日本人選手じゃなかっただけマシとはいえ、じゃあさっきの熱意はなんだったんだ。
    「……糸師凛が好きなんじゃねえのか」
     シャンパングラスをちびちび傾けるイサギの方を睨むように見ると、なんで怒ってんの、とゲラゲラ笑われる。怒ってねえし。
    「日本人選手だと、今一番好きなのが糸師凛なのは本当。先々週のリーグ戦もゴール決めたんだけど、超かっこよくてさあ。あんなに綺麗なキック、ほかに見た事ない。凛も見る?」
     慣れたように私物らしきスマホを取りだしたイサギは、スポーツ配信のサブスクから、その試合のアーカイブ映像をぽんぽん選んだ。再生バーが迷いなく後半20分辺りまで引っ張られた。よく覚えてんな、コイツ。
    「見て見て、ほら。えっぐ! このカーブ」
     スマホを律儀にこちらに向けた俺の前には、自分のシュートの映像が流れる。確かに、これは思い描いたそのまんまの軌道だった。
    「凛もサッカー好きなんだよな?リスペクトしてる選手いる?」
    「デビッド・ベッカム」
    「好きな選手まで凛と同じじゃん。マジで意識してないんだよな? マスクとったら糸師冴にも似てるし、すごいって」
    「あ!? 似てねえよ、あんなやつ」
    「嫌いなの?今、日本の若手MFなら間違いなくナンバーワンじゃねえ?」
     ひた、と冷たい感触が額に触れる。水の冷たさの後に、じんわりと滲むような体温。イサギの手だった。「ほら、前髪上げたらそっくり。」と最悪の言葉を放った男は、それから本日3度目の顔面蒼白を見せた。
    「勝手に触ってごめん! これこそご法度だわ。ダメだ、なんかテンション上がっちゃって。マジで凛なんだもん」
    「顔だけだろ」
    「でもさあ、糸師凛の顔って、男の俺から見ても綺麗なんだよ」
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