メルトセンセイション――
自身のこめかみから伝った汗が丸い粒になって、組み敷いた男の頬を弾いた。少し焼けた肌の上を滑って首筋まで落ちたそれは、元々じっとりと浮かんでいた男の汗に溶けていく。
「だめだって」
「何でだよ」
「何でって……」
男は困ったように眉根を寄せて、目を左右に少し動かしながら、まだ早い気がする、とあまりにも説得力の無い言い訳を零した。
「な、この先は大学生になってからにしよう。別に焦ることでもないだろ」
起き上がった潔は、ベッドの上に転がった避妊具の箱とローションを手に取って、困った表情はそのままぬるまったい笑顔を見せた。
「それまでこれは預かっとくな」
ジッ、ジジという耳障りな蝉の羽音が近づいてきたと思えば、窓にぶつかったのか、カツンと音を立てて一瞬だけ影を見せた。
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