言ったもん勝ち?「私とお付き合いしてくれるなら、ランチの練り物全部食べてあげますよ」
「ほんと?じゃあ付き合おうか」
「は?」
この人は何を言っているんだろう。
半助さんに好きだと告げたのは、私がプロの忍者として働く少し前のことだ。結果は玉砕。もちろんいい返事がもらえるなんて思っていなかったし、それでよかったと今も思っている。
時々冗談混じりのような告白を繰り返しては受け流され、今後もこの関係は変わらないと決めつけていた。それなのに、何故貴方が壊すんですか。
「気付いてなかったと思うけど、私も利吉くんが好きだったんだよ。初めて好きって言われた時とても嬉しかったけど、利吉くんは本気で付き合いたいと思って告白してきたわけじゃないだろ。だからずっと待ってたんだけど、いつまで経っても本気で伝えてくれないから、私から言うことにしたんだ。好きだよ、利吉くん。私と付き合ってくれるよね」
「はい……」
私の考えは全てお見通しだったというわけか。嬉しいはずなのに、悔しい。先に伝えたのは私なのに。
「お兄ちゃんはずるいです」
「そうだよ、大人はずるい生き物だから簡単に騙されないでね」
にこりと笑うこの人に勝てる日が来るのだろうか。
後日、こちらから目合いの誘いを仕掛けたところ、普段は見られない恋人のあたふたする姿にほくそ笑むのであった。