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    Enuuu

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    *京極耀司(スマアゲ)✖️武智エイタ(迷宮学園)

    注意
     ※ 京極耀司は武智エイタの叔父さん。(武智母の弟)
     ※ スマアゲに登場する女主人公がいる。

    ##京武

    納涼 茹だるような暑さのなか扇風機の前から動こうとしない武智を見て、京極は眉間にしわを寄せた。
    「お前さんらしくないな。子供らしく外で遊んできたらどうだ」
    「それこそ、らしくないだろう」
     武智は京極の方へ顔を向け、ひたいを流れる汗を億劫そうに拭う。京極は涼を感じられるもの、倉庫にしまったままにしている風鈴でも出そうかと離れへ向かった。
     ジンジンと蝉の鳴き声が縁側を越えて、家内に響いている。夏はまだまだ盛況な様子だ。
     休学を言い渡された武智が、親戚である京極の家で過ごすようになって1ヵ月が経つ。来たばかりの頃は猫を被り、こう振る舞えば満足するのだろうとしていた武智はいない。その年頃にしては幼なげな意思表示をしては、京極が許すのを待っている。
     親に失望されたことよりも、面倒のかからない出来た子と話のタネにされていたことが彼を傷つけたのだろう。昔から何かと聞き分けが良かった武智を知っている分、京極は遅れてやってきた反抗期だと思っていた。
     そろそろ昼時だと、京極は風鈴が入った小箱を片手に離れから出る。武智が来なければ風鈴など出そうとも思わなかっただろう。
    久しぶりに入った離れの荒れようは凄まじく、近いうちに武智にも手伝ってもらい片付けようと思った。
     暴力的な陽光を腕で遮り、玄関へまわるのも面倒で、縁側から家へ上がった。広間の扇風機の前でへばっているであろう武智へ声をかけようと彼の姿を探していると、いつの間にか2人分のコップに麦茶を注いで持ってきている武智と目があった。
    「お、ありがとうな」
    「なかなか帰ってこないと思って準備しただけだ」
     武智はバツが悪そうな顔をして、京極から視線を逸らす。これが彼なりに照れているのだと、最近知った。
     京極は麦茶を一気に飲み干した。殻になったコップを置いて、武智の手に小箱を乗せる。
    「なんだ、これ」
    「暑い暑いとだれていたからな。鴨居にでもぶら下げれば涼しくなるだろう」
    「子供騙しだ」
     武智は眉間に皺を寄せる。
    「下げてみろ」
     京極が言えば、不機嫌そうな表情のまま風鈴を下げに行くのだから素直だ。
     やすやすと鴨居に手を伸ばし、器用に器具を取り付けて風鈴を下げる。一向に音を鳴らさない様子の風鈴に焦れたのか、武智が陶器の部分を指で弾いた。京極は目蓋を閉じて、深く響く音に耳を澄ませた。
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