未来「グレイ!」
ビリーの声に反応した時には、もう遅かった。
眼前に迫る、武器を振りかぶったイクリプス。目は閉じなかった。間に合わないとわかっていても、反射のようにナイフを構えた両腕が上がる。首と心臓、急所を守るように交差したところで、強い衝撃がグレイの全身を襲った。
「うあっ……!」
「っ、ギーク!」
受け身を取る間もなく吹き飛ばされる。背後には半ば瓦礫と化した壁。
だが、衝撃は思ったよりも軽かった。それでも一瞬息が止まるくらいの痛みがあって、グレイはぎゅっと目をつむって、大きく口を開けて必死に酸素を取り込む。
何かに抱きとめられている、と認識したのは、数秒後だった。
それと同時に、瞼越しにもわかるほどに、強い光が放たれる。
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