いちか☆quiet followDONEハートの日の話 Age verification Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow いちかDONE健康診断の話 961 いちかDONE浴衣の話 997 いちかDONE嫉妬する猫の話ユリウスの隣では、今猫が鳴いている。というのは物の例えで、実態は完全に酔ったアルベールがその肩に凭れ掛かって管を巻いているに過ぎない。 「今日は随分とペースが早いじゃないか」 「…………誰のせいだと思ってる」 手にしていた葡萄酒のグラスを置き、空いた手で柔らかな金の髪を撫でると、それにじゃれつくように伸びた両の手が掌を掴んだ。 「またつまらない焼き餅を焼くのかい?」 「……なら、団長とあまり懇意にしないでくれ」 掌に彼の唇が触れる。それから吐息がかかった後一際大きく口付ける音が響いた。指の付け根に舌を這わせ、ともすれば口淫を施す様な蕩けた瞳で此方を見上げる。 「お前が、俺の知らない顔ばかり見せるんだ。不安にもなる……」 769 いちかDONEWDログストの話コトン、と搭乗している騎空艇の形を模したトロフィーをサイドテーブルに置く。 「君の言う通り余興に参加してきたよ」 充分な成果は出しただろう?とユリウスが同意を求めれば、アルベールはベッドに腰掛けたまま半ば自棄とも言えそうな色で頷いた。 「それにしても団長も凝り性だねぇ……余興だというのにこんなトロフィーまで用意して」 指先で金属細工で作された帆を撫でる。それを横目に映すアルベールの瞳は紅より色濃く濁っている。「そうだな」と打たれる相槌に普段の快活さは無く、再び口は真一文字に結ばれてしまった。 「……何が不満だと云うんだね」 「何も……」 「それにしては随分と機嫌が悪いじゃないか。最後まで見届けてくれたんだろう?」 614 いちかDONE虫除けの話郷愁と馨香艇着場は変わらず賑やかな様子を見せていた。貿易が盛んに行われているのは、行き交う人々がレヴィオンではまず見ない品々を運んでいることで見て取れる。 そして、その喧騒の中でも不思議と自分を探す相手のことは認識できるものらしい。大きな鞄の肩掛け紐を握り直したアルベールは、市場の方から此方へ歩いてくるユリウスの姿を直ぐに見留めた。 「ユリウス!」 腕を上げて、存在を主張すると彼の足取りが僅かに速まった。会議の合間を縫って出てきたのだろうか、正装は少し崩れている。 「……間に合ったようだね。まだ件の騎空団は到着してないのかい?」 「そうだな。あと少しで到着するとは思うんだが」 少し離れたところにある時計台の示す時刻は約束の時間よりまだ余裕がある。わざわざ見送りなんか来なくてもよかったのに、とアルベールが呟くと彼はそういう訳にも行かないだろうとその手に触れた。 1071 いちかDONE小鳥に懐かれる話雛子のような金の髪の中を何か小さいモノが出たり入ったりしている。それは時々頭を覗かせて、ちるりとその身と同じ位小さく可愛らしい鳴き声をあげた。 鳶色の小鳥は光の当たる角度によっては淡く桃色を返し、巻き毛なのかここそこの羽毛が毛羽立っている。長い尾羽を揺らし跳び回るそれはユリウスが手を伸ばすとぢっと低く不快な音を立てて指先を幾度も啄んだ。 「止めた方がいいぞ。それでさっき派手に噛まれたメイムが医務室行きだ」 「これはラブバードかい……?飼い主に懐く種では無さそうだが」 アルベールの周囲を跳ねる小鳥はどうもその髪がお気に入りらしく潜るように登り降りを繰り返している。ユリウスの言葉にアルベールは困った様に眉根を下げ、呟いた。 676