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    imori_JB

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    imori_JB

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    急転直下する話。
    雨降って地は固まるか。

    #JB腐
    #さめしし
    #女体化
    feminization

    雌獅子は愛を抱く⑧「礼二君さぁ……今度は何したの? 敬君ATフィールド全開じゃん」
     非難がましい声を挙げた叶に、村雨は温度の無い視線を向ける。
     とはいえ村雨にも、そのように非難めいた言葉を向けられる理由は分かっている。――原因の方には、とんと思い当たる節が無いのだが。
    「ちょーっと気が緩んで来てる感じはあったんだけどねー」
     自身の顔と同じ位の大きさの煎餅に果敢に齧りついている真経津も唸る。
     視線の先には此方に背を向けている獅子神の後ろ姿。
     少しばかり、獅子神も久しぶりのギャンブラー仲間達の存在に慣れ始めていたと思っていた矢先だ。
     獅子神は突然再び強い警戒感と拒否感を示し始め――尚対象は村雨のみのようだ――娘に近寄らせまいとベビーシッターに預けて別室に退避させた。尚、先程その娘はベビーシッターと獅子神が雇う従業員の一人に連れられて公園に出掛けて行っている。
     再びの強い拒否の原因に思い当たる事が無い村雨はただ獅子神の背を目で追うだけだ。理由を問い詰める事が許されるような仲では無い。文字通りの方法で叩き出されるだろう。
     ピリピリしている獅子神のすぐ傍には天堂が居る。あの神は獅子神の拒絶など全く意に介していない。
    「……」
     堂々とした天堂の態度を、村雨は内心で羨んでいた。
     昔の、嘗ての村雨ならば獅子神のどんな反応も意に介さず気随気まま、傲岸不遜に振舞っただろう。
     しかし今の村雨にはもう出来ない。人の心に触れ、自分の中にもある愛されたいという望みを自覚してしまった以上、その対象である獅子神の拒絶を無視して距離を縮める事は出来なかった。
     自分がどれほど情けない表情を浮かべているか無自覚なまま、村雨は獅子神の背を見つめ続けた。

     *

    「何を恐れているか当ててやろうか」
     其処にいるなら手伝え、と獅子神が押し付けた布巾で皿を拭き上げながら天堂はまるで歌うように語る。
    「いらねぇ。それよりも手ぇ動かせ」
     洗い物の手を止めずに間髪入れずに断った獅子神の冷たい反応に、気を悪くした様子も無い天堂に獅子神は内心舌打ちだ。
    「愛を失う事を恐れるのは当然のことだ。それが再び、と思えば避けたいと思うのも道理」
    「……」
    「だがしかし、もう気づいているのだろう? お前達の愛は失われた訳ではない、ただ互いの思いやりという名の愚かしさで見えにくくなっていただけだと」
     ――天堂は知らないから言えるのだ。
     眉間に皺を寄せ、表情を強張らせた獅子神はそれでも返事をしようとは思わなかった。
     あの日フロントガラス越しに見た村雨の背中を思い出す。獅子神は、村雨が新しい幸せを求める事を悪いとは思わない。邪魔しようなどとはもっと思わない。応援するつもりもないが。
     だがその先に在り得る未来として、娘がその幸せに邪魔な存在として認識されることを恐れている。
    『お前なんか、産まなきゃ良かった』
     存在を否定する呪いの声は、獅子神の耳の奥にこびり付いて離れない。
     あの時獅子神が感じた、喉が焼けて息が詰まるような苦しみを娘に味合わせたくないのだ。
     獅子神が愛を失う事など、大した事では無い。獅子神は自分の愛に碌な価値が無い事をちゃんと理解している。――どれだけ愛しても親は獅子神を愛さなかったし、村雨は獅子神に背を向けた。それが誤りだったとして、だから何だ? あの時の苦しみと痛みが癒され消える訳でもないのに。
     煮詰まりかけた思考に蓋をして最後の皿を水切り籠へ置く。
     そろそろ帰れ、そう促そうとして獅子神はふと気付いた。
     娘達がまだ帰って来ていない。公園で遊ばせてくるとベビーシッター達が連れ出してもうじき二時間だ。
     大人の足なら十分も掛からない、近所にある公園はブランコと砂場があるだけの公園と呼ぶのも躊躇うほどシンプルで小さなものだ。そう長々と遊べる場所では無く、今まで何度も娘を連れて行ったが、他に遊びに来ている親子は見かけた事がない。
    「……」
     過った不安に、胸がきゅうと締め付けられる。
    「――園田!」
     突然大声を出した獅子神に、隣とリビングのギャンブラー達の視線が集中する。
    「はい、お呼びで?」
     来客があったからと隣室に引っ込んで細々とした仕事をしていた園田が、獅子神の声を聞きつけて数秒で顔を出す。
    「礼那達が遊びに出て戻ってこねえ。もうじき二時間だ、様子見てきてくれ」
    「あの角の小さな公園ですか?」
    「その筈だ」
    「了解です、行って来ます」
     園田が慌ただしく出ていく。玄関のドアが閉まる音を聞いて、獅子神は漸くポケットに入れてあるスマートフォンの存在を思い出した。娘と一緒にいる筈のベビーシッター、従業員に順番に電話を掛ける。
     無機質なコール音を七回聞いて、電源ボタンに指を置き通話を切って小さく溜息を吐いた。園田を向かわせたのは正しかった。此処で何度も電話をかけ続けるより、急げば数分で着くのだから直接見行く方が余程早い。
     ――遠くから、まるで警戒するようなサイレンが聞こえてくる。

     悪い予想は案外当たるものだ。
     そして、獅子神の大切なものは全て、手の中から失われていく。
     壊れても良いと言わんばかりの乱暴さで開かれたドア、慌ただしい足音、飛び込んできた園田の声がまるで悲鳴だ。

    「しっ、獅子神さんっ、公園で二人が倒れててっ、今警察と救急車が……お嬢が何処にもいません!!」
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