こちらK察庁K備局奇危怪異対策室:03「これから君は警察の保護対象となる」
「ホゴタイショウ?」
「”警察が君の生活を守る”ということだ」
「どうして?」
「君のように”あやかし”によって被害を被った……ケガをさせられたり不幸な目にあった人を保護するのも、我々警察の仕事だからだ」
そんなハナシは聞いたことも無い。
聞いたことも無いが、まぁそういうものなのだろう。
少年は男を見上げ、こくりと頷く。
岩のように大きくがっしりとした体に、立ち枯れたような白い髪。
火傷でもしたのだろうか? 顔の一部が引き攣れたようになっていて痛々しいのも気になるが、さらには色眼鏡の奥に光る瞳は何故か片方しか無い。
正直怪しいし、すこぶる怖い。
(もし”地獄の閻魔さま”が本当にいたなら、きっとこんなカンジなんじゃないか?)
そう思わざるをえない佇まいをした男は、少年に自らを
【K察庁K備局奇危怪異対策室室長 黒田兵衛】
と、警察手帳片手にそう名乗った。
『-----ゆうちゃんは”見えてしまう”からね……。だからこそ【ソレ】に関わるときは、ちゃーんと考えないといけないよ』
見えるから、言葉が通じるから。
自分と同じだと、分かり合えると思ってはいけない。
見えるからこそ、言葉が通じるからこそ。
見えないふりをすることが、聞こえないふりをすることが、いっそ幸せにつながることもあるのだ。
いつだったか少年が【見える】と知った時、曾祖母は彼の手を握り何度も何度もそう言って聞かせた。
小さくて皺だらけで、とても温かかった曾祖母の手。
今になって漸く、ソレが『とても大事なこと』だったのだと少年は気付く。
「”あのこたち”はどうなりましたか?」
「何故そんなことを知りたい?」
「気になったので」
目が覚めたときは病院のベッドで、帰宅した自室に”あのこたち”の姿は無かった。
だから単純に気になっただけだ。
そう答えれば、男は少しだけ意外そうに少年へとこう答えた。
「捕まえたよ」
「え?」
「逮捕した。理由の如何に関わらず”人を害したあやかし”は法に従い処罰されなければならないからね」
「?」
言葉が難しすぎてよくわからない。
顔中に疑問符を浮かべる少年に、男はなるべく簡単で分かりやすい言葉を選び直す。
「あやかしが人間を……彼らが君に怪我を負わせたことはとても悪いことだ。だから彼らは自分たちがやったこととおなじ重さのバツを受けることになる」
少年を見下ろした男は淡々と、何でもないことのようにそう告げた。
(逮捕されて、バツを受ける)
以前学校の図書館で読んだ『闇の男爵』の中でも、警察官は犯人に対しそんなことを言っていた。
じゃあ”あのこたち”もあの犯人のように、取り調べを受けて牢屋に入れられるのだろうか。
(それじゃあ僕のしたことは何だったのか?)
学校からの帰り道。
寂れた神社へと続く小道に”あのこたち”の姿を見つけたのは全くの偶然だった。
助けたかったのだ。
ただ助けたくて手を伸ばしたのに、警察に捕まってしまうなんてあんまりじゃないか。
なんだか納得いかなくて、少年は唇を咬み俯く。
あのまま何もせず、見なかったことにするのが正解だったのか?
あの冷たい雨のなか、泥と血に塗れ震える彼らを放っておけばよかったのか?
(そんなこと……絶対無理だよ……)
たぶん選択肢にすら上がらない。
その選択の結果“動かない右腕”を抱えた今ですら、少年はそう思う。
「……ふたりとも怪我をしてた」
「それは理由にならない」
「まだ小さかったのに」
「それも理由にならない」
少年がつたない言葉を重ねても、男の返事は変わらない。
絶対にバツを受けるのだと、男はそう繰り返す。
「刑務所に入ったりしますか?」
「それは君には教えられない」
「……死刑になったりしますか?」
「それは君には教えられない」
いくら自分がバカでも分かる。
目の前の男は、これ以上”あのこたち”の情報を自分に与えたくないのだ。
ならばと少年は質問の内容を変えてみる。
「そういえば、僕はなんで咬まれたんですか?」
肝心なところを聞いていなかった……と首をかしげる少年に、男は少しだけ押し黙ると言葉を選びながらこう答えた。
「弱った身体を癒す……元に戻すため。彼らが生きるために、君の血肉……カラダを食べる必要があったからだ」
「ええと……つまりお腹が減ってたんですか?」
「まぁ……簡単に言ってしまえばそうなるかな」
「なるほど」
確かに少年の目から見ても”あのこたち”はかなり弱って見えた。
それにいつだか風邪をひいたとき「食欲がない」とムズがる少年の口に、
『体調が悪い時でもちゃんと食べなさい! しっかり食べればすぐ直るんだから!』
と。
すりおろしたリンゴをたらふく乗せた匙を突っ込みながら、そう母親は言っていた気がする。
弱った体を癒すためには何かを口にする必要があったのだろう。
それに空腹は単純に苦痛だ。
おいしいものを食べることを殊の外好む少年にとって、それはとても身近な、同情に値する感覚でもあった。
「人間って消化にいいんですか? あとおいしいんですか??」
正直自分なんて美味しそうとは思えない。
唯一動く左手で自分の身体をペタペタと触りながら少年がそう尋ねるのに、男は目を見開く。
「……君は……意外と豪胆だな」
「ゴウタン?」
まさか”あやかしに己の身を喰われた被害者”からそんな言葉が飛び出すとは思わなかったのだろう。
あまりにものんきで他人事な少年の発言に、男は呆れたように唇の端を緩めた。
「君は彼らを憎いと思わないのか? 怒っていないのかい?」
少年の右腕。
痛々しく包帯の巻かれたそこに視線を落とし、男は尋ねる。
「うーん……。痛かったし、怖かったです……けど、それで”あのこたち”が罰を受けるのは、やっぱりなんかイヤです」
「そうか」
「あと、腕も今は動かないけど、動くようになるんですよね?」
「その点については約束しよう」
「ならべつにいいです」
腕が元通りになるなら他はあんまり気にならない。
そもそも誰にも言わなかっただけで、今までだって”ヘンなもの”を見たり触れたりすることはあったし、ちょっかいかけられたことも数えきれないくらいある。
少年にとって”あやかしとの遭遇”は通学路で野良猫を見るくらい、わりと些細な出来事なのだ。
「それに先にルールを破ったのは僕です。『考えなしに触っちゃいけないって』ひいばあちゃんに言われてたのに……。だから”あこのたち”ばっかりバツを受けるのはなんか悪いかなって……そう思います」
「そうか」
見てはいけないものを見て、触れてはいけないものに触れた。
そして自分が触れたからこそ”あこのたち”は罪を犯すことになったし、罰を受けなければならなくなった。
ならば”最初にルールを破った自分”に罪が無いとは言い切れないのではないか。
自分だけが怒られず、彼らばかりが怒られてバツまで受けるというのも、なんだか申し訳ない気がする。
「なるほど……ならば君はどうしたい?」
「?」
質問の意図を測りかね首をかしげる少年へと、男が低く問いかける。
「先ほど……さっきも言ったとおり、理由の如何に関わらず”人を害したあやかし”は法に従い処罰されなければならない。『ダメなことをしたら警察に捕まって、バツを受ける』これがこの国の絶対のルールだ」
「はい」
「だが君は被害者だ。被害者である君が加害者に対し寛大な処分を求めるのであれば、情状酌量の余地がないわけではない」
「???」
言葉が難しすぎて分からず、眉根を寄せてますます首をかしげる少年。
その様を見下ろし、男は少し考えると諭すようにこう告げた。
「君がもし”彼ら”を可哀そうに想い、少しでも罰を軽くしたいと願うなら……なんとかならないことも無いと言うことだ」
「本当に?!」
男の言葉に目を輝かせる少年。
だがそんな少年に対し、男はつとめて冷静に、あえて淡々と言葉を紡ぐ。
「君はこの先その”右腕”と”瞳”を抱えて生きていかなければならない。それは君が思うより、とても大変で難しいことだ。今まで君が生きてきた生活が覆るような、様々な困難があるだろう。苦しいことや辛いことも起こるかもしれない。そんな時、君はこの事件と共に”彼ら”を恨むかもしれない。今日この場で”彼ら”を助けたことを後悔するかもしれない」
男の言うことは理解できる。
”あのこたち”に【食べられた】ことで変わってしまったことは色々ある。
思うように動かなくなってしまった右腕。
瞳は視力を弱め、より一層【見てはいけないモノ】を映すようになった。
(多分きっとこの先、なんだか大変になるんだろう)
それは少年にもなんとなく理解できる。
しばらくは警察の人が助けてくれるだろうが、それもいつまで続くかは分からないのだ。
いくら根が楽天的とはいえ、不安が無いとは言い切れない。
……でも。
「だからって”あのこたち”がかわいそうなめにあうのはやっぱりイヤです」
自分を見下ろす男の瞳をまっすぐに見上げ、少年は迷いなく答える。
たとえそれがこの国のルールで、本当は許されないことなのだとしても。
「せっかく助けたんだから幸せに生きて欲しい」
少年は心の底からそう願う。
「そうか-----ならば君が大人になったら……そうだな」
そこまで言うと男は顎に手を当て少し考えた素振りで天を仰ぐ。
そしてしばらくの逡巡の後に、少年へとこう続けた。
「君が二十歳になったら。そしてその時、君がいまと同じく『彼らを助けたい』と願うのなら……」
その時は【君の願い】を叶えよう。
言葉と共に少年の頭に落とされた手。
髪を撫でる掌は強く大きく温かい。
そんな男の約束の言葉に、少年は晴れ渡るような笑みを浮かべ、ひとつ大きく頷くのだった。
[Episode03:病室ではお静かに]
病室に現れた黒田の行動は迅速だった。
「邪魔だ」
そう言うやいなや、黒田は伸ばした右手で諸伏の後ろ衿を掴むと、そのまま背後へと無造作に放り投げた。
殺風景な白い病室の宙を放物線を描き飛んでいく一匹の三毛猫。
「あっ」
思わず驚きの声を上げる風見。
しかしそんな男の心配をよそに、三毛猫はアクションスターも顔負けの身のこなしでくるりくるりと回転すると、病室の入口近くで佇む降谷の横へと、音もなく着地を決めた。
「よっと!」
珍しくスーツ着用の降谷に合わせたのだろう。
ご丁寧にも着地の瞬間、今度は猫でも着流し姿でもなく、降谷と揃いのスーツ姿へと転じているのだから余裕すら伺える。
(心配して損した)
無意識に安堵の息を吐き、風見は薄い眉を顰める。
そもそも”あやかし”は人知を超えた存在だ。
その事実は風見も十分理解しているつもりではあったが、一瞬とはいえ成人男性を片手で易々と持ち上げる黒田の腕力や、木の葉のように重力を感じさせない諸伏の身のこなしを目の当たりにすると、やはりあやかしとは本当に規格外なイキモノなのだと改めて実感せざるを得ない。
「一体何をやってるんだ君は」
「なにって風見さんの”お見舞い”だよ? お見舞い」
(アレのどこが見舞いだ!!)
イタズラだって出るとこ出れば立派なセクハラだぞ!! ……と、言ってやりたい気持ちは多々あるが、風見にとって『先ほどのアレ』は、もはや口に出すのもおぞましく思い出すのも腹立たしい過去だ。
できることなら早急に忘れ去りたい。
それに今までの経験上、降谷と諸伏が揃うこの場で文句を口にしたところで、確実に碌なことなど起こりはしないだろう。
触らぬあやかしに祟りなし。
対策室に配属されて学んだ、風見の処世術のひとつである。
「ゼロこそどうしたのさ?」
「別に。君が病院に居ると聞いたから迎えに来ただけさ」
「室長と一緒に?」
「……」
「あ〜、足に使われたんだ。ご苦労さま」
病室の入口付近で肩を並べ語り合う諸伏と降谷は、相変わらず仲睦まじい。
だがそうやって他愛のない会話をしつつも、彼らは何故か風見から視線を外さない。
(本当に何故?!)
混乱を極める風見の心中などつゆ知らず、諸伏は愛想よく笑みを浮かべつつ腰のあたりで小さく手を振ってくるし、降谷はその隣から殺気立った気配を隠そうともせず、碧い瞳を暗く光らせ刺すような視線を向けてくる。
本当に今日は、なにもかもが分からない。
想定外なことが多すぎて頭がついていかない。
結局風見は、
(見なかったことにしよう)
……と、彼らに関する全ての思考を放り投げると、なるべくアチラを視界に収めぬよう、ベッドサイドに立つ黒田へと向き直った。
「病室までご足労頂き申し訳ありません、黒田室長」
「構わんさ。今回も随分とやられたな」
「申し訳ありません……」
黒田の言に謝罪以外の言葉が浮かばず、風見はしょんぼりと肩を落とす。
「お前のデスクに置いてあったスペアだ」
そう言って黒田が差し出したのは、見覚えのある黒い眼鏡ケース。
手に取り蓋を開ければ、そこには先ほどから探していた風見愛用の黒縁眼鏡があった。
「わざわざ室長自らお持ちいただかなくても……」
「馬場と相田は忙しそうだったからな」
「……ホントウニモウシワケゴザイマセン」
暗に『部下たちはお前の尻拭いで多忙だ』と言われ、風見の背にじわりと冷や汗が浮かぶ。
おそらく以前のものは、先の現場で壊れてしまったのだろう。
いつもと同じ特注品のソレをかければ、風見の目はやっと”あやかし以外のもの”も鮮明に映しだす。
クリアになる視界に漸くと日常を取り戻した気持ちになり、風見はほっと息をついた。
「……あの後、現場は?」
「それについては後日、部下たちから報告を受けろ。お前は明日まで休養扱いだ。体調を整えたうえで明後日から登庁するように」
「了解しました」
それは風見にとっては至って普通の、至極当然な指示だった。
……のだが。
「-----待ってください黒田室長。風見さんのその怪我で、明後日からの登庁は無茶です」
そう黒田へと異を唱えたのは、意外にも諸伏だった。
「なんだ、まだ居たのか」
「そりゃ居ますよ。それともオレたちが居てはマズいことでもあるんでしょうか?」
「ヒロ?」
隣で降谷が怪訝そうにしていることからもわかる。
黒田に対する諸伏のその問いかけは、明らかに険のあるとげとげしい物言いだった。
彼と接した時間の短い風見ですら、ぎょっとした程である。
「施術後とはいえ胸部と右足の骨折は裂傷及び皮下出血あり。左脛にもヒビが入ってるし、軽度の傷も含めれば数えきれないくらいの重症なんですよ? どう考えても明後日になんて到底登庁出来るような状態ではありません」
(まぁ普通、そう思うよな)
他人である風見の怪我の症状についてやけに詳しいのが若干気にはなるが、諸伏が自分を心配してくれるのが伝わり、風見は少しだけ嬉しくなる。
だがしかし、これについては黒田が正しいのだ。
「あの……」
心配などしてもらう必要は無い。
そう訂正しようと風見が声を上げかけたその時、今度は傍らに立つ黒田がそれを遮った。
「風見」
「は、はい」
ひと目で上等だとわかる黒田のスーツ。
そのスーツの胸ポケットから男が取り出したのは、一本の”多機能ペン”だ。
男の風格に併せるとそれはいささか安っぽさの漂うプラスチック製だが、実は特殊な改造が施された特注品であり、またボタンのひとつを押すと、普通のペン先ではなく”鋭く尖った針先”が現れることも風見は知っている。
「アイツらに問題がないことを見せてやれ」
そう告げると、黒田はその鋭い針先を自らの人差し指の腹へと、躊躇無く突き刺した。
(あー……まぁ、そうだよな)
風見としては人前で『コレ』をやるのは少々気恥ずかしいのだが、『大丈夫な証拠』を見せなければ諸伏が引かないと、黒田はそう判断したのだろう。
そもそも先の戦闘で風見は加護のほとんどを消耗している。
当然補充は必要だ。
それに風見の立場上、上司の命令を“気恥ずかしいから”などという理由で拒否することなど許されるわけがない。
「……了解しました」
差し出された黒田の指先にぷつりと浮かんだ血の雫。
風見はため息と共に小さく唇を開くと、ちろりと舌先でもってそれ舐めとる。
口の中に広がる鉄さびた味。
刹那。もう幾度となく味わった“馴染みの激痛“が風見の全身を貫いた。
「うっ……ぐっ!!」
ギシギシと軋む骨と燃えるように熱いカラダ。
飛びそうになる意識の片隅で、損壊した筋肉や皮膚がじくじくと音を立てながら急速再生していくのが自分でもわかる。
「か、風見さんっ!!!!」
「なるほど。アレは貴方の”狗”か、黒田室長」
「ゼロ!!」
「事実だろ? 一体どうしたんだよヒロ? アイツに何故そんなに必死になるんだ?」
「真実を知ったらゼロだってこうなる!!!」
「……真実?」
(ああ……やかましい!!)
意識の片隅で言い争うような声を聞いた気がしたが、正直風見は自らを苛む嵐のような痛みでそれどころではない。
両耳の裏側でドクドクとうるさく音を立てる血流。
寝台に倒れ込むと、歯を食いしばりシーツに爪を立て、全身を襲う苦痛に耐え忍ぶ。
人間は”あやかしの血”を受け”加護を得る”ことで、身体の回復や強化は勿論、特殊な技の行使など、様々なメリットを享受することが出来る。
だがそれは所詮【ヒトの身には”過ぎた力”】だ。
当然ながらそこにはデメリットも付いてくる。
(昔はこうやって”血を受ける”たびに痛みで気絶していたのだから、けっこう成長したものだ)
不規則に襲い来る激痛の最中、まるで他人事のように自らの過去を思い、風見は気を紛らわす。
……それからどれくらいの時間が経ったのか。
「-----大丈夫そうだな」
「っ……はい」
黒田が呼ぶ声に、風見はどこかに飛ばしていた意識を取り戻す。
時計が無いので正確なところは判らないが、今までの経験上、寝台の上でのたうち回っていたのはおよそ十数分といったところだろう。
痛みから解放された風見には、過去に幾度となく経験したそれと同じく、自分の身体が『元通り』になっている実感があった。
「問題ありません」
こうして黒田の血を受ければ、それこそ『死にさえしない限り』風見はいくらでも勤仕可能な状態にまで復帰できる。
これが『風見は明後日から出社できる』と、そう黒田が発言した根拠だった。
「-----では明後日に」
「はい。わざわざご足労いただき、ありがとうございました」
頭を下げて礼を言い、風見は病室から出ていく黒田の背を見送る。
(あれ?)
いつの間に帰ったのだろう。
病室の入口。
そこには先ほどまで居たはずのあやかしたちの姿は無かった。