ホワイトデー進捗自分の知る試着室と思うと、中で悠々と歩き回れてしまえる程広い空間で、これまた自分の知ってるものより上質な生地が使われているとわかる服に袖を通す。着替え終えてはみたものの、自分から外に出るのは見てくれと言わんばかりで気が引ける。
「どうだ?」
意味もなくきょろきょろしていると、物音が聞こえなくなったからかスラーインが外から声を掛けてきた。待たせるわけにはいかないと、深呼吸してカーテンを開ける。
「これで、いいだろうか」
値段は比べようもないが、普段自ら選ぶものと近しいコーディネート一式。ふむ、と僕のボディバッグを肩からかけたスラーインが頷いた。くるりと鏡へ向けさせられると、背面も眺めてから両肩を叩かれる。
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