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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック⑤
    18日目
    優しい態度で絡め取ってくるタイプの体温低め月彦さん
    言葉も態度も表情も甘々なのに、温度がない感じ

    #むざこく
    unscrupulousCountry
    #むざこく30本ノック
    random30Knocks

    優しい態度で絡め取ってくるタイプの体温低め月彦さん 言葉も態度も表情も甘々なのに、温度がない感じ 結局、関係を清算できないまま、ずるずると関係は続いていた。
     皆が帰った後の事務所、出張先のビジネスホテルなど甘い雰囲気など少しもない場所で秘密の逢瀬は続いた。
     彼が好む豪華な家具も、美しい夜景も高い酒もない。ただ、人目に付かない場所という理由だけで選ばれた場所だが、彼といるだけで自分にとって何よりも美しい場所だと思った。
    「継国、今夜は空いているか?」
     いつものお誘い。断る理由などない。しかし、今回ばかりは断れば良かったと後悔した。
    「妻が娘を連れて実家に帰っているから、うちに来ないか?」
    「はい」
     前に自宅を訪問した時に「次は寝室を見せて欲しい」と挑発したことがあった。まさか、そんな挑発に乗ってくるとは思わなかったし、妻が実家に帰ったことも含め、もしかすると自分への気持ちに何か変化があったのではないかと愚かにも期待してしまったのだ。
    「奥様、どうかなさったのですか?」
    「悪阻が酷いので、実家でのんびり過ごすように言ったのだ」
    「悪阻……?」
     一気に地獄まで叩き落された気分だった。呆然と立ち尽くしていると彼はにっこりと微笑む。
    「未だ公表していないが二人目が出来たのだ」
    「そうですか……」
     頭では祝いの言葉を述べなくてはいけない、そう思っているが、心が絶対にそれを言わせまいと必死だった。
    「どうかしたか?」
    「いえ……」
     自分の心が乱れていることに、この男が気付かない筈がない。しかし、差し出された手を振り解けない自分の弱さが、彼の自宅への道のりを作ってしまったのだ。
     前回訪問した時は灯りがついていた屋敷が今日は真っ暗で、二人が入っても出迎える者はいなかった。
     脱いだジャケットをソファに置き、彼はワイシャツの袖を捲った。
    「晩御飯、簡単なもので良いか?」
    「そんな! 私が用意します」
    「いや、お前は風呂でも入って寛いでいてくれ」
     彼は子供のように無邪気な笑顔を見せる。それは友達を家に呼んで精一杯のもてなしをする少年のような顔だった。
    「せめて、お手伝いでもさせてくれませんか?」
    「気を遣うな、お前は私の客だ。ゆっくりしていてくれ」
     新しい一面を見たようで胸が弾む。幸い豪華な屋敷の中は洗面所も広い浴室も生活感がなく、妻の気配など一切感じないのだ。当然のように無惨のシャンプーを使い、基礎化粧品も使う。来客用のパジャマを着ると、まるで彼氏の家に泊まりに来たような、そんな甘酸っぱさすら感じていた。
     広いダイニングに行くと、妻が作ったものとは全然違う、だが彼らしいお洒落な料理が並んでいた。
    「先生、お料理お上手なんですね」
    「作る機会があまりないが、料理は好きだ」
     そう言って、鮮やかなカナッペを摘まみ上げ、こちらの口許に運んだ。ぱくっと食べると彼は嬉しそうに笑う。
    「こうしてお前に手料理を食べてもらえて嬉しいよ」
    「私もです」
     夢の中にいるようだった。こうして自分たちは公私ともにパートナーだったのではないかと夢を見ている気持ちだった。
    「秘書だと自宅に呼んで手料理を振る舞っても誰も疑わないからな」
     冷えたワインを持ってダイニングテーブルに向かう後ろ姿を見ながら、今夜は彼の言葉を文字通りに受け取って、裏を読むことはやめようと思った。一番大事なことを忘れていたのだ。きっと彼の言葉に悪気や裏などない。そもそも彼の言葉には心がないのだ。
     自分のことを愛していないから妻に子供が出来たと平気で言える。
     妻との退屈なセックスに飽きて浮気を繰り返すが、一番従順で一番表沙汰になりにくい自分が最も便利だからと選ばれただけで、それ以外の理由など何もないのだ。
     しかし、そんな現実に気付いたところで何も良いことはない。だったら、いっそ鈍い人間になって、文字通りに受け取れば傷つかなくて済むのだ。
     食事が終わった頃、酔ったふりをして「寝室が見たい」とねだってみた。彼は特に嫌な顔をせず、こちらの腰に手を回しエスコートして夫婦の寝室へと案内する。
     大きなキングサイズのベッド。親子三人で寝ることもあるという。寝室には流石に妻の気配があったので部屋を出ようとしたが、無理矢理押し倒された。体が条件反射で反応してしまうが、ふと天井の柄を見た時に、彼の妻も抱かれている時にあの天井の柄を見ているのだろうかと思うと激しい吐き気に襲われて、思わず彼を押し退けた。
    「しないのか?」
     肩に手を回されると、感じたことのない恐怖で体が震えた。
    「抱いて欲しそうな目をしていたから連れてきたのに、しないのか?」
     顔を上げると、彼は優しい笑顔でこちらを見ている。この笑顔は決して自分を慰めるものではなく、失望し、切り捨てる他人の表情だ。
    「あ……あぁ……」
     ここで泣けば、もっと幻滅させる。求められているのだから応えないと、気持ちを萎えさせてはいけない、そう思うが、どうして良いかわからないのだ。
     疑いと愛しさが捩じれた心の中で、答えを出せないまま彼の手を振り解けずにいた。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック⑤
    20日目
    公務で宿泊するホテルを決める際に朝食が洋食のホテルと和食のホテルかでお互い譲らない議員と秘書
    公務で宿泊するホテルを決める際に朝食が洋食のホテルと和食のホテルかでお互い譲らない議員と秘書 無惨は朝が弱い。早く寝れば良いのに、酒を飲んだり、映画を見たり、本を読んだり、夜更かし癖がついているのだ。そのせいだろうか。出張先でホテルを探す時に、いかにホテルで快適に過ごすかを追求する癖がある。
     まず部屋の広さ。バスルームが広く、景色が良いか。アメニティがどうか。そして、クラブラウンジがついていることが必須であり、ラウンジで酒を飲みながら軽食を取るので、ダラダラと夜更かしをし、翌朝なかなか起きられず、朝食はビュッフェでコーヒーとフルーツを取って終わりである。
     片や黒死牟はと言えば、朝がめちゃくちゃ強い。というよりも、ホテルを探す際、フィットネスジムがついていて、大浴場とサウナが欲しいのだ。どうしても旅先では高カロリーで栄養価の偏ったものを食べがちなので、軽く汗を流したいとジムを利用するのだ。勿論、無惨も連れていく。そして朝、ビュッフェでも良いのだが、出来れば和食か洋食か、しっかりと定食スタイルになったものを食べたいのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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