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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック
    27日目

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    夏場に、前世では絶対に見られなかった「ちょっと日に焼けたむざんさま」を目の当たりにして… 夏特有の集中豪雨で、南方の一部地域が被災し、当時、環境省の副大臣をしていた鬼舞辻は視察に行くことになった。
    「はぁ? こんな時に政治家が背広組を引き連れて行っても、邪魔なだけだろう」
    「恒例ですので……」
     毎度毎度あんなの迷惑なのに、と言っていたが、副大臣という立場上、仕方が無いと黒死牟に説得され出向くこととなった。

     が。

    「先生、流石にその格好は……」
    「お前も動きやすい格好で行け。あと、現地の役人に出迎えは無用だと言っておけ」
     確かに彼の言い分は正しい。同行させる人間も黒死牟ひとりで良いと、背広組は霞ヶ関に待機するよう命じている。そして、自分自身はジーンズにスニーカー、Tシャツ姿で、長い前髪を高い位置でマンバンにしている。
     黒死牟もワークパンツとTシャツを着せられ、エンジニアブーツを履いた。被災地を物見遊山するくらいなら、瓦礫のひとつでも運んだ方が有難がられるだろうと、スーツは着ずにラフな格好で被災地を訪れるので、好感度上昇に繋がっている。スタンドプレーだとまわりからは良い顔をされなかったが、本人は全く気にしていなかった。
     その上、童磨を呼びつけ、万世極楽教の信者を連れて、現地にボランティアに行くよう指示を出していた。
    「掛かった費用は全て私が出すから、取り敢えず救護班と炊き出し、あとは風呂やトイレの設置は出来るか?」
    「別にそれくらいの費用なら、うちの教団から出しますよ。先生に出して頂いても先生のお名前は出すことが出来ないし、寄付としても受け取れませんし」
    「不明金として適当に処理しろ」
     童磨と黒死牟はそう言われ、額が額だけに、その処理、逆に大変なんだけどなぁ……と二人で顔を見合わせた。
    「悪い政治家を演じてる割に、根はいい人なんだよね、先生って」
     童磨は苦笑いすると、黒死牟は少し嬉しそうな笑みを浮かべて目を細める。
    「生まれ乍らに人の上に立つお方だからな。ああ見えて、国民のことを第一にお考えなのだろう」
     避難所が握手会の会場になるイケメン議員なので、ある意味、お見舞い向きなのかもしれないと二人は笑った。
     市長や役所の人間への挨拶を済ませたら、避難所を回り握手会や撮影会をして、炊き出しに参加したり、瓦礫の撤去を手伝ったり、言われないと議員とその秘書だと気付かれないくらい、二人はその場に馴染んで働いており、夕暮れ頃にやっと一息ついたくらいだった。
    「はぁ……」
     喫煙場で座り込み、鬼舞辻は煙草を咥えた。やっと本日一本目の煙草である。黒死牟も煙草を咥え、火を付けようとした時、ふと鬼舞辻の腕を見て気付く。
    「先生……ちょっと日に焼けました?」
    「は?」
     咥え煙草のまま腕を見て、Tシャツの袖を捲し上げると、くっきりと境目が出来ている。
    「あー! 顔はこまめに塗り直していたのだが……しまった……」
     首筋も焼けないようにタオルを巻いていたが、腕が焼けることも忘れるくらい被災地で働いていたようだ。本人は「シミになったらどうしよう……」と頭を抱えているが、そんな彼の人柄が愛しくて堪らなかった。
     自宅に戻り、シャワーを浴びた鬼舞辻は、顔中ひたひたに化粧水を浸したコットンでパックし、クールダウンのジェルを全身に塗りまくっている。
     本人はシミになる、肌が老いると落ち込みながらベッドで横になっているが、日に焼けた鬼舞辻の腕も男らしくて良いと思いながら、黒死牟はそっとその腕にくちづけた。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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