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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック③
    21日目
    カラダから始まるむざこく

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    カラダから始まるむざこく どうして俺は上司と一緒にラブホテルにいるのだろうか。
     黒死牟は大きなベッドに腰掛け、ずっと悩んでいた。
     しかも上司は男、衆議院議員の鬼舞辻無惨である。
     酔った無惨を自宅に送り届ける、なんてことは日常茶飯事なのだが、今日はそれほど酔った感じでもない。寧ろ、素面に近いくらい冷静だ。
    「晩飯でも食って帰ろう」
     そう誘われ、車の鍵を取ろうとしたら止められた。何故か車を出さず、事務所の近くの店に行くことになる。
    「今日はお前も飲め」
     その為だったようで、その言葉に甘えて二人で飲んだが、二人とも泥酔と呼ぶほど飲んだ記憶はない。
     支払いを済ませた無惨が「少し歩こう」と言うので、日付の変わった夜の街を二人で並んで歩いた。週末なので夜遅い時間だが人通りは多い。ただ、陽気な酔っ払いが多いようで、自分たちが並んで歩いていても誰も気付かないようだ。
     終電は既に出てしまっている。どこに行くつもりだろうか、と黒死牟は思った。タクシーを拾うつもりなら大通りに出た方が良いのに逆方向へと進んでいる。しかも少々ややこしい路地に入ってしまい、「休憩・宿泊」と書かれたギラギラと光る看板の街並みを歩く。そして、無惨は足を止め「寄る?」と、めちゃくちゃ自然な流れで誘われ、二人でラブホテルに入った。
     週末なので満室に近いが、運良く一部屋だけ空いていたので、パネルのボタンを押すと、ガチャンと鍵が落ちてきた。
     エレベーターに乗った瞬間、黒死牟は気付いた。
     あぁ、これは無惨の悪ふざけだ、と。
     こっちが動揺したところで大笑いするというオチだろうな、と思い、黒死牟は冷静になり、無惨の後を続く。
     こうして大笑いした後に、たまには、いつもと違う雰囲気で飲んで、腹を割って話そうという無惨の上司としての配慮だと思った。確かにラブホテルなら誰かに話を聞かれる心配もないだろう。
     そういうことか、と一人で納得していると、無惨は部屋に入るとジャケットを脱いで、ネクタイを解いた。
    「先にシャワー浴びて良いか?」
    「え? あ、はい……」
     先に……?
     え?
     頭がはてなマークでいっぱいになる。遠くでシャワーの音がして、バシャバシャと水音がする。本当にシャワー浴びてんじゃん!!
     黒死牟はフラフラしながらベッドに腰掛けた。
     先に、ということは、次は自分がシャワーを浴びるのか。それって……いや、自分たちは、そういう関係だったか? いや、汗を流してスッキリしてから飲み直すつもりなだけで、無惨のドッキリは未だ続いている。黒死牟はそう解釈した。
     20分ほどすると、バスローブを羽織ってタオルで髪を拭きながら無惨が出てきた。ベッドに座る黒死牟の姿を見て、少し驚いた様子だったが、安心したように小さく笑った。
    「お先」
    「はい……」
     いくら自分のことを信用しているからと言って、あまりに無防備な格好ではないか? と、無惨の姿を見て真っ赤になる。腰紐を緩く結んでいるだけなので胸元がはだけて、歩く度にちらりと覗く太股が気になって仕方無い。
    「浴びないのか?」
    「え?」
     無惨は黒死牟の横に座り、そっと耳元で囁く。
    「私は別に浴びていない状態でも良いぞ」
    「いや、それは困ります!」
     跳び上がるようにベッドから立ち上がり、黒死牟は無惨から離れた。
     真っ赤になり、心臓が破裂しそうなほど激しく脈打っている。やはり、無惨は「そのつもり」のようだ。
    「シャワー行ってきます」
    「どうぞ、ごゆっくり」
     にっこり笑って、無惨は冷蔵庫のビールを取りに行った。
     洗面所に行くと、無惨が使った化粧水や歯ブラシが置いてある。脱いだスラックスやワイシャツがそのまま置いてあるので、黒死牟は癖で拾い上げて皺にならないように畳んだが、甘い香水の匂いがして眩暈がしそうだった。
     深く考えないようにしながら、熱めのシャワーを頭から浴びた。どこで「ドッキリでした」と種明かしをするのだろうか……そろそろ種明かししてくれないと心臓がもたない。
     シャワーを止めてから、ぼんやりと考えているとドアが開いた。
    「えっ!?」
    「ゆっくりとは言ったが遅すぎる」
     そんなめちゃくちゃな……しかも、何も隠すものがなく、黒死牟がおたおたと動揺していると無惨はバスローブを脱いで、裸になってバスルームに入ってきた。何度も着替えるシーンを見ているはずなのに、湯気の中で見るだけで、いつもと色気が桁違いで、黒死牟は倒れそうになるのを必死に耐えた。
    「私がシャワーを浴びている間に帰っていたら、どうしようかと思った」
    「え?」
    「逃げ出すチャンスは何度もあったはずだ。どうして逃げなかった?」
     逃げる、その発想は黒死牟になかった。
    「じょ……冗談だと思っていたので……」
    「本当にそれだけか?」
     裸の無惨が少しずつ距離を詰めてくる。
    「拒否しないということは同意していると受け取って良いな?」
     差し出された手にそっと手を重ねると、強く握られ体を引き寄せられた。
     見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねる。濡れた髪を撫でながら無惨は角度を変えて何度も黒死牟にキスをする。
     拒否するなんて選択肢は黒死牟の中にはなかった。
     たとえ無惨の気まぐれでも、悪戯心でも、暇潰しでも、何でも良かった。
     出会った瞬間から無惨に恋していた自分にとって、こんなチャンスが巡ってくるとは夢にも思わなかったのだ。
     政界きっての色男と呼ばれている無惨が自分を抱くなんて、本当にただの気まぐれだと思う。そう思いながら無惨と長いキスを交わしているが、ひとつだけ不思議なことがあった。
     無惨の鼓動が自分と同じくらい早いのだ。
     酒のせいだ、と思いながら、無惨に手を引かれ、二人は照明を落とした薄暗いベッドへと向かった。
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    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
    2129

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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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