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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック⑤
    17日目
    晴れ男/雨男

    #むざこく
    unscrupulousCountry
    #むざこく30本ノック
    random30Knocks

    晴れ男/雨男 その日、黒死牟は有給休暇を取得していたので、無惨の送迎は轆轤が担当していた。
     バケツをひっくり返したような土砂降りの悪天候で、湿気で髪型が上手く決まらない上に、スーツが濡れたと無惨の機嫌はめちゃくちゃ悪いのだ。
    「珍しいですね、こんな大雨」
     車内の沈黙が気まずいので轆轤が話し始めると、無惨は小さく舌打ちする。
    「雨男だからな」
    「え? そうなんですか?」
     意外である。いつも街頭演説、応援演説、地方遊説、カンカン照りのイメージしかない。天気が良ければ良いで「紫外線と産屋敷が憎い!」と車に戻る度に日焼け止めを塗りなおしているイメージしかないのに、まさかの雨男だったとは。
    「でも、滅多に雨降らないじゃないですか? 晴れ男の勘違いじゃないですか?」
    「なんだ、私が間違っていると言いたいのか?」
    「いえ! 滅相もない」
     何故に世間話で、こんな胃の痛い想いをしなくてはいけないのか。轆轤は自分の出した話題がそもそも間違いだったと後悔したが、無惨は窓の外を眺めながら大きな溜息を吐く。
    「黒死牟が晴れ男なのだ」
    「黒死牟様が……」
     言われてみれば……と思い当たるふしはある。無惨が単独行動すると大抵雨だが、黒死牟と一緒の時は必ず晴天なのだ。しかし、何とも皮肉な話である。日輪に対する憧憬と嫉妬は皆がうっすらと気付いている。「月の呼吸」を名乗る時点で、そうなのだろうと思っていたが、絶対に口に出してはいけない。それは無惨の地雷を踏むより恐ろしいことだろうと、それも皆、薄々気付いている。
    「しかし無惨様は黒死牟様が晴れ男だと、いつ気付かれたのですか?」
     日光は美容の大敵かもしれないが、政治家として雨より晴れの方が良いに決まっている。秘書がそんな縁起の良い男なんて、ついていると一般的には思われるだろう。
    「出会った時から晴れ男だと解っていた。あの夜は月の綺麗な夜だったからな」
     共に過ごすようになってから雨の日が減ったので外出の時間が減った気がした。しかし、外で無意味な時間を過ごすより、暗闇の中で黒死牟と二人過ごす方がずっと満たされた気持ちになった。そんな遠い昔の記憶を思い返して、無惨はふっと笑う。
     その表情を見て、取り敢えず機嫌が直ったかと轆轤は安心するが、自宅に着くまでの道中、何故私が晴れ男だとお前の感想を押し付けられなくてはいけないのかと延々言われ続けたので二度と運転手役を買って出ることはなかった。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック⑤
    20日目
    公務で宿泊するホテルを決める際に朝食が洋食のホテルと和食のホテルかでお互い譲らない議員と秘書
    公務で宿泊するホテルを決める際に朝食が洋食のホテルと和食のホテルかでお互い譲らない議員と秘書 無惨は朝が弱い。早く寝れば良いのに、酒を飲んだり、映画を見たり、本を読んだり、夜更かし癖がついているのだ。そのせいだろうか。出張先でホテルを探す時に、いかにホテルで快適に過ごすかを追求する癖がある。
     まず部屋の広さ。バスルームが広く、景色が良いか。アメニティがどうか。そして、クラブラウンジがついていることが必須であり、ラウンジで酒を飲みながら軽食を取るので、ダラダラと夜更かしをし、翌朝なかなか起きられず、朝食はビュッフェでコーヒーとフルーツを取って終わりである。
     片や黒死牟はと言えば、朝がめちゃくちゃ強い。というよりも、ホテルを探す際、フィットネスジムがついていて、大浴場とサウナが欲しいのだ。どうしても旅先では高カロリーで栄養価の偏ったものを食べがちなので、軽く汗を流したいとジムを利用するのだ。勿論、無惨も連れていく。そして朝、ビュッフェでも良いのだが、出来れば和食か洋食か、しっかりと定食スタイルになったものを食べたいのだ。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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