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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック③
    22日目
    焼きそば

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    焼きそば それは休日の昼前の出来事だった。
    「今日の昼飯は焼きそばでいいか?」
    「え?」
     無惨の世界からは縁遠い食べ物の名称が出てきたので、黒死牟はスマホを持ったまま固まってしまった。
    「嫌いか?」
    「いえ、そうではなく……」
     昔、カップ焼きそばの湯切りをする際、誤って麺をすべてシンクに落として以来、カップ焼きそばは絶対に食べないと言っていた無惨なので、カップ焼きそばを提供するつもりはないだろう。そもそも無惨が自宅でインスタント食品を食べているところ見たことがない。あれは仕事中の時間がない時に食べるものだ、と言っていたので、食に対する意識はめちゃくちゃ高いのだ。
     そんな無惨が焼きそば……あまりのギャップに黒死牟はぼんやりとしていると「お前は何もしなくて良いから、まぁ、そこに座って見ていろ」とソファに座らされた。
     ダークブラウンのギャルソンエプロンを腰に巻くと、口に咥えたゴムで長めの前髪を一つに束ねる。綺麗に揃えられた襟足といい、4ミリで刈り上げたサイドの髪といい、オシャレなカフェの店員に見え、ぼーっと見惚れてしまう。しかも、無惨は料理が上手い。形から入るだけでなく、本当にプロ顔負けの料理を提供してくれるのだ。
     そんな無惨が作る焼きそば……彼の世界から縁遠い食べ物だが、何と無く作りそうなものの想像はつく。だが、その想像を裏切って欲しい気もした。寧ろ裏切って欲しい。何せ口の中が裏切った方の味なのだ。あの香ばしいソースと鰹節と青のりの風味。からしマヨネーズなんかもふりかけてみたいし、意外にガーリックの風味がする塩焼きそばとか……など色々ジャンキーな味を思い浮かべるが、やはり無惨は期待を裏切らない男だった。

     プリプリの海老と烏賊、TOKYO Xのバラ肉を使い、名店から取り寄せた中華麺をせいろで蒸す一手間を加え、キャベツ、小松菜、もやしの他に水煮ではない筍も入り、味付けは醤油とオイスターソース。あぁ、高級な中華料理屋で食べたことあるやつだ……その店に負けないくらい美味しいし……と思ったが、黒死牟は思わず叫んだ。
    「これじゃない!!」
     ふざけんな、たかだか休日の昼飯の焼きそばに、お前、いくら使う気だ!? だから、男の手料理は嫌いなんだ!! と黒死牟は心の中で叫んだ。自分も男だけど。
    「無惨様、焼きそば食べたことあります?」
    「は? これだろう?」
    「そうじゃなくて、屋台とかの焼きそば!」
     首を傾げる。子供の頃の祭りといえば神輿の上に乗せられた思い出しかないと話していたし、花火大会といえばロケーションの良いホテルから見ていたし、祇園祭だって馴染みの店の二階の窓から見ていたと言っているので、生粋のおぼっちゃまは屋台の焼きそばを御存知ないのだ。
    「今晩、俺が焼きそば作りますから!」
    「え? 二食続けて焼きそば?」
     露骨に嫌そうな顔をされたが、黒死牟はこう言い出すと譲らないことは無惨が一番よく知っている。
     二人は食後に一緒に近所のスーパーに買い物に行くことにした。
     二人の住むマンションの近くは高級スーパーしかない。無惨は平然とアグー豚や鹿児島黒豚のバラ肉をカゴに入れようとするので、入れる度に黒死牟は陳列棚に戻していた。
    「無惨様は触らないで下さい!!」
     黒死牟に怒られ、無惨はぷうっと頬を膨らませる。それでも懲りずに有機野菜や高級な中華麺を入れてくるので、全部戻して、リーズナブルな価格帯の物に変更した。
    「私が作るので、無惨様は座っていて下さい!!」
     激おこの黒死牟は無惨をソファに座らせる。そして、今度は黒死牟がキッチンに立った。
     バラ肉をフライパンで炒め、火が通ったところで一旦皿に上げ、その油を使ってキャベツ、もやし、玉ねぎを炒め、その間に耐熱ボウルに入れた麺にサラダ油をまぶして解し、軽くレンジで温める。
     野菜に火が通ったところで肉を戻し、麺を入れ、オタフクソースをたっぷりと入れる。フライパンの上でソースが熱せられ、ジューッという音と共に香ばしい匂いが広がる。
    「良い匂いだな」
     対面キッチンの向こう側から無惨は面白そうに覗き込んでくる。
     皿に盛りつけ、削りがつおと青のりをふりかけ、刻んだ紅ショウガを添える。
    「はい、どうぞ」
    「おおー!」
     居酒屋やお好み焼き屋で見たことがある! と感動しながら、無惨は嬉しそうに焼きそばを見つめる。そして、香ばしいソースの香りにこう呟く。
    「ビールが欲しくなる」
    「ですよね」
     そう言って、黒死牟はビアグラスと冷蔵庫でキンキンに冷やしたビールをテーブルに運ぶ。
     二人で「いただきます」を手を合わせ、黒死牟の作ったソース焼きそばを食べ、ビールを流し込んだ。
    「うっま!」
     無惨は嬉しそうに焼きそばを食べている。いや、昼間に無惨が作った焼きそばの方が確実に美味しいのだが、焼きそばといえば、この味である。
    「無惨様も焼きそばも勿論美味しかったですが、たまには庶民の味もよろしいかと」
     ビールの進み具合を見るに、かなりお気に召したご様子。
     黒死牟もそんな嬉しそうな無惨の表情を見ていると箸が進むと、口許に笑みを浮かべながら麺を啜った。
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    TRAININGむざこく30本ノック④
    26日目
    もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟
    もう何度もキスしている仲なのに、「そっちからキスしてよ」と言われて固まる黒死牟 明日は早いから今夜は駄目です。黒死牟がそう言っているにも関わらず、無惨は黒死牟のパジャマを脱がせようと、しつこく絡んでくる。
    「駄目ですって」
    「一回だけだから」
     そんな可愛い表情で迫られたら「仕方ないですね、一回だけですよ」と言いたくなる黒死牟だが、一回で済まないことは解っているし、一回で終わらせたくないし、でも明日は本当に朝から忙しくて……と頭の中でぐるぐると考えを巡らせていると、手の力が抜け、ついつい無惨のリードを許してしまう。
     手首を掴まれ抵抗出来ない状態にされ唇を奪われた。足の間に割り入るように膝を捩じ込まれ、窒息しそうなくらい長いキスに頭がぼんやりしてきた。
     唇が離れた瞬間、息継ぎをするように乱れた呼吸を整える。膝でぐりぐりと股間を刺激されているせいで、切ない声が黒死牟から漏れると、無惨は嬉しそうに笑って再び唇を奪う。今度は僅かに開いた口に舌を押し入れ、尖らせた舌先でくすぐるように黒死牟の舌を刺激してくる。混ざり合う唾液が黒死牟の口の端から垂れ、正になし崩しになりそうだったが、珍しく黒死牟が拒絶の意思を示した。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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