挿入なし、触手とオモチャと前戯だけで黒死牟さんをイかせようとする無惨様。ねちこいめのtkb攻め必須 黒死牟は変則的な間隔で正体を失くす時がある。
敵味方見境なく技を繰り出して、辺り一面を血の海に変えていく。こうなると誰も止められない。厄介だと察した十二鬼月は早々に姿を消し、逃げ遅れた雑魚の鬼たちが次々と肉塊へと変えられる。
逃げ遅れるのも仕方無いだろう。獣が吠えるような低い唸り声を上げながら技を繰り出す姿に総毛立ち、足が竦んで動けないのだ。
「いいかげんにしろ」
すらりとした洋装の美形が血みどろの上に立つ。黒死牟の刃の切っ先は細く尖った鼻先でぴたりと止まった。
それは黒死牟の意思で止めた。どれだけ正体を失くしても、鬼舞辻無惨、そう、主にだけは歯向かってはいけないということは解るのだ。
無惨の登場で雑魚たちは「救われた」と思ったが大きな間違いである。黒死牟は器用にも無惨だけを避け攻撃を繰り出す。そして、無惨も「黒死牟にも勝てない鬼が役に立つはずもない」と止めもせず冷ややかに見ている。
こうして、しんと静まり返った無限城の一室で、黒死牟と無惨は無言で対峙した。
いくら無惨が心を読んでも、どうしてここまで狂ったのか解らない。どれだけ深く、その心を読み進めても、黒死牟の心を巣食う黒い感情が何か無惨にも解らない。つまり、黒死牟自身も解っていないのだろう。
理解出来ない己の感情を払拭するように剣を振るうが何も答えが出ず、ただ屍の上で飢えた獣のように吠えているだけだった。
無惨は背中から触手を生やし、黒死牟の体を縛り上げた。
「満足したか? 私の鬼をこれだけ殺して……流石は元鬼狩りの柱だな」
首を締めながら、着物の隙間から触手を全身に這わせる。黒死牟は吠えながら抵抗するが、体を動かすと触手が肌にめり込み、じわりと血が滲んでくる。
「行儀の悪い駄犬には躾が必要だ。少しは反省しろ」
触手でぴしゃりと横っ面を叩いた。主には歯向かわないものの六つの目に反抗の色を滲ませる。それが無惨の逆鱗に触れたことは言うまでもない。
縛り上げるつもりだけだったが、無惨は触手の先の形を舌のようなものに変え、黒死牟の全身に這わせた。ねっとりと舐めるように這わせると黒死牟は頬を染め、熱のこもった声をあげる。すると無惨は首に絡めた触手に力を込め、首が千切れそうなほどに締め上げた。
「そんなはしたない声を出すな。仕置きにならんだろうが」
息苦しさが逆に興奮を煽っているようで、黒死牟の股間が袴を持ち上げるほど膨らんでいることに気付く。しかし、一切、性的興奮を催すところには触れず、ただ肌を舐めるだけで、触手の先を口に変え、乳首を吸うと、びくんっと一際大きく体が跳ねた。
もどかしいのだろう。反発心で抵抗している時よりも激しく体を動かしている。腰を淫らにくねらせる姿など浅ましいとさえ感じた。
「無惨様……どうか情けを……」
「おお、言葉が話せるようになったのか」
色事の為に正気を取り戻すとは、どこまで好き者かと無惨は呆れたが、触手による執拗な愛撫を続けるだけで一切黒死牟に触れようとしない。
着崩れた着物と振り乱した髪、無惨すら惑乱しそうな姿だが、無惨はじっと黒死牟を見つめ考えていた。
黒死牟は何にここまで心を狂わせ、何に囚われているのだろうか。
今、ここで黒死牟を抱けば、口では無惨の名を呼びながら気を遣るだろうが、心の中では、その心を巣食う誰かに抱かれている錯覚を起こして満足するのだろう。
自分が誰かの身代わりであることを許せるほど、無惨の心は広くない。そして、自分のものでありながら、ここまで心乱す存在を胸の奥底にしまい込んでいる黒死牟を未だ許せずにいる。
泣き叫ぶように無惨を呼ぶ黒死牟の体に触手を這わせ、無惨はじっと苦しむ様を無表情で眺めていた。
いっそ、このまま本当に気が狂ってしまって、すべてを忘れ、剣の道を極める心も忘れ、ただ無惨に抱かれることを望むだけの人形にしてしまっても良いかと思った。そうすれば、この男が苦しむことはないのだ。
無惨は触手から黒死牟を解放し、血の海の中に落とした。
「楽にしてやろうか?」
地を這う黒死牟を見下し、無惨が問うと黒死牟は「いいえ……」と掠れた声で答える。
その真意が何か無惨ですら読み取れない。黒死牟が無惨の質問の意図が読み取れなかった可能性もあるが、最早どうでも良いと思っていた。
自分はこの狂った元鬼狩りをどうしようもなく愛しているのだ。
心のどこかで狂い乱れる様を美しいと思い、その想いこそが、この男の強さの源だと思うと、それを奪い去るのは偏に勿体無いなと思う心もあった。そして、狂っても尚、己に忠誠を誓う姿を滑稽だと思い、その愚かしさを愛らしいと思えた。
てのひらから生み出した肉塊は巨大な蛭へと姿を変える。何体もの蛭は黒死牟の体を這い、全身を吸い上げた。黒死牟は抵抗して蛭を握り潰そうとするが、無惨の能力が宿った肉塊の為、反対に黒死牟の手が粉々と飛び散った。
「これで遊んでおけ」
そう言い残して無惨は姿を消す。誰もいなくなった無限城では一晩中、黒死牟の悲鳴のような嬌声が響いていた。