雪音「暑い…暑すぎる…」
紫音「やぁ雪…って雪ーっ!!!今にも溶けそうじゃないか!」
雪音「紫音…この暑さをどうにかしてくれ…」
紫音「う…うーん…そうしてあげたいのは山々だけど部屋の温度は十分低いし、僕は水属性の魔法使えないし…でも雪をこのまま暑さで失うのはダメだ…ちょっと待ってて!すぐどうにかするから!」
…
…
紫音「樹!!!!!」
樹「は、はいっ!?」
紫音「ちょっと来て!今すぐに!!!」
樹「え、ど、どうしたんです?そんなに慌てて…」
紫音「いいから!早く来て!!!」
樹「あ、あの…今は成星くんと魔法の練習を…」
紫音「ふーん…?成星もいるんだ?」
樹「い、いますけど…?」
成星「俺がいたらまずいのか?」
紫音「いいや、むしろちょうどいい。君たち2人とも来て。魔法の練習してるんでしょ?ちょっと場所を変えてもらうよ」
成星「訳も話さず場所を変えろとはどういうことだ?」
紫音「…なあに?僕は今一刻を争っている状況なんだけど?」
樹「な、成星くん…今の紫音くんの殺気は大人しく着いていきましょう。…首跳ねられる前に」
成星「…理由も知らされず着いていくのは癪だが…樹さんがそう言うなら行きます」
紫音「移動したらまた思う存分魔法を使うといいよ。だけど条件がある」
樹「な、何でしょう…?」
紫音「水属性の魔法以外は使っちゃダメ」
成星「なぜだ?」
紫音「今日は暑いでしょ。だから君たちには涼しくしてもらおうと思ってね。君たちは魔法の練習ができる、僕は涼しい部屋が作れる。お互い損はしないよ」
成星「…?エアコンがついているだろ?」
紫音「それじゃ足りないから君たちにこうして来てもらっている」
樹「えーと…その部屋というのは…」
紫音「行けばわかるよ」
…
…
紫音「雪。おまたせ」
雪音「…」
樹「ゆ、雪音くんがぐったりしてる…!?」
成星「…というか溶けているな」
紫音「この溶けてしまった雪を救ってもらうために君たちにはここで魔法の練習をしてもらう」
樹「な、なるほど…にしてもここ…夏とは思えないくらいすごく寒いですね…冷凍庫にいる気分」
成星「部屋に入る前から冷気を感じていたが中に入ると相当だな」
紫音「はぁ…雪はこれでも溶けてしまいそうなんだよ」
成星「あんた、自分で魔法を使えばいいじゃないか」
雪音「…試したが部屋を冷やすには魔力が足りなかった」
成星「で、魔力を枯渇させたか?」
雪音「…かもしれない。少し疲れた」
成星「まったく何をしているんだあんたは…」
樹「う、うーん…僕たちが魔法を使ったからといって涼しくなる保証はないですよ?」
紫音「何もしないよりはマシでしょ」
成星「梓白でもいればより涼しくなっただろうがあいつの魔法の威力は日常生活には強すぎるな」
紫音「そ。彼が魔法使ったらこの部屋が氷漬けになるどころか吹き飛んでしまうかもしれないでしょ。ま、吹き飛んでも朱優が直せばいいんだけど」
樹「うーん…それは朱優くんが大変なだけな気が…。じゃあ…成星くん。今日は水属性の魔法特化で練習しようか」
成星「はい。樹さんに教えてもらえるなら俺はそれで構いません」
紫音「雪。これから涼しくなるだろうからそのうちによく休むんだよ」
雪音「…ああ。2人とも悪いが頼んだ」
…
…
樹「うん。さっきよりだいぶ上達したんじゃないかな」
成星「…やはりどの属性もバランスよく使わないとダメですね。水属性がここまで使えなくなっていたとは…せっかく習得したのに意味がない」
紫音「成星っていつも何使ってるの?」
成星「回復することが多いから光属性が必然的に多くなるな。あとは…火属性か?」
紫音「へぇ?成星の火属性も見てみたいなぁ。ねぇ樹?僕と成星の魔法って違うの?同じ火属性を使えるけど」
樹「火属性と言ってもその魔法の見た目だったり、特性は個人によって変わるものなんですよ。例えば陽くんや世和くんの火は赤やオレンジ色だけど紫音くんの火は少し紫がかっていたりするでしょう?」
紫音「へぇ、そうなんだ。ふふ、面白いね。じゃあ成星のは?」
成星「俺のも色は陽や世和と同じだ。だが俺のはやろうと思えば爆発もできる」
紫音「すごーい!なんでなんで?」
樹「おそらく成星くんが元々光属性を持っているからかと…」
紫音「ふんふん。光属性と火属性が合わさると爆発効果も付与できるようになるんだね?これはおもしろい」
樹「その人が扱える属性同士で何らかの影響は与えていると思います」
紫音「ふふ、おもしろーい。魔法って奥が深いんだねぇ。…ま、実はちょっと知っていたけど」
成星「ところであんた…ここにいて寒くないのか?」
紫音「逆に寒くない人がいるの?雪以外に」
成星「いないだろうな」
樹「それなら無理にここにいることないですよ。紫音くんが風邪をひいてしまったら大変です」
紫音「僕は雪のそばにいたいの。お構いなく」
成星「雪音なら今は寝ているだろ。何かが起きることもない」
紫音「ふふ、その寝顔が最高なんでしょ?こうして近くでずっと見ていられるのも僕の特権だよ」
成星「…それを本気で言っているあたりがあんたは本当に気色悪…」
樹「成星くん、しーっ!」
成星「むぐっ…樹さん、どうして口を塞ぐんです?」
樹「…僕だけじゃ成星くんを守ってあげることはできないから…。紫音くんに思ったことを言うのは花依斗くんと一緒のときにしようか」
成星「どういうことだ…?」