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    suno_kabeuchi

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    suno_kabeuchi

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    i7/SS100本ノック6本目
    天とさくらんぼと朝食

    ##i7_SS

    モーニング・ワンシーンに薫陶 真っ赤っかでまんまるで、とってもつやつやしていてまるで宝石のよう。きゅっと身が詰まっていることが素人目にもわかる程で、甘みをたっぷり溜め込んでいるそれを口にすればさぞ美味に違いない。
     さくらんぼを洗いながら天は知らず知らず生唾を飲み込む。食い意地が張っているようで少し恥ずかしくなってしまったが、茶々を入れてくる可能性が高い楽は洗面所にいる筈なのでよしとした。念のため覗き込んだリビングに人はいない。龍之介は昨晩が遅かったのと今日の仕事が午後からなのでまだ眠っているのだろう。今はまだ早朝と呼べる時間だ。天と楽はそれぞれ別所で仕事があるから起きている。ついでに今日は天が朝食当番である。
     流水を弾いて一層きらきらするさくらんぼに目を奪されそうになりながらそれぞれの小皿に取り分ける。お盆にそれを乗せてダイニングへと運ぶ。楽が敷いてくれていたランチョンマットに手際よく並べていく。わかめご飯に茄子と油揚げのお味噌汁、ヨーグルトにさくらんぼ。龍之介の分は同じように用意して冷蔵庫に仕舞い、冷蔵庫のメモボードにメッセージは添えた。起きたらきっと見てくれるだろうし、返信をボードに書き入れてくれるだろう。龍之介はそういう律儀な男だ。
    「なんだよ、にやにやして。朝から機嫌いいな」
    「してない」
    「いや、してただろ」
    「してない。それより早く朝ごはん食べちゃって」
     いつの間にか洗面所から戻ってきていた楽に気づかなかった己の不覚に眉を顰めつつ、それだけ楽と、それから龍之介とも一緒にいることが当たり前になっているのだと理解していた。その事実がこそばゆいけれど、決して不快ではない。
    「天。朝飯用意してくれてありがとな」
    「どういたしまして」
     こうして感謝の言葉が交わされるのは、天にとってとても心地のいいことなのだ。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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