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    suno_kabeuchi

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    suno_kabeuchi

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    i7SS 100本ノック 24本目
    天とモンてんとシナモン

    ##i7_SS

    スパイシー・アタック! ふんわりと綿菓子のようなミルクを艶のある黒い水面に乗せる。蕩けるような甘い匂いがやわく広がって天は顔を綻ばせた。
    「大丈夫、キミの分もあるよ」
     その匂いに釣られたようにてちてちやってきたモンてんに微笑みひとつ向けてコーヒーサーバーとモン天専用のマグカップを手に取ると慣れた手付きで注ぎ入れる。たっぷりの蜂蜜も一緒に混ぜ合わせ、きめ細かく泡立てたミルクを乗せてやればモンてんの瞳がこの上なく輝いた。
    「どうぞ、召し上がれ」
     マグカップを差し出してやれば、ぺこりと体ごと頭を下げたモンてんがおもむろに受け取った。ふうふうと息を吹きかけている。
     その様子を横目に天はスパイスボックスからシナモンを取る。蓋を指で挟んでクっと捻り、くるくると回す。そのまま蓋を外して自分のマグカップの上に容器を傾け、トントンと指先でタップすれば薄茶色のパウダーが真っ白なミルクの上に咲く。
    「モンてんもシナモンが気になるの? ボクの一口飲んでみる?」
     無言でじっと見つめていたモンてんが「いいの!?」と雰囲気を華やがせた。未知なるものに対する好奇心はとても強いのもあるだろうが、何より天が好んでいるようだから気になったのだろう。
     いそいそと天のマグカップに近寄り、すうっと思い切り匂いを堪能しようとして。
     距離の近さに粉ごと吸い込んでしまった。
    「モ、モンてん! 大丈夫!?」
     鼻から直撃したシナモンにばたばたと悶えるモンてんを慌てて掬い上げてティッシュを押し当ててやれば力の限り鼻を噛み始めた。
    「ごめんね。思いっきり吸ったら危ないって言ってあげればよかった」
     全身で息をするモンてんを優しく撫でてやりながら謝れば、何故か天に尊敬の眼差しを向けてきた。「こんなきけんなものをのめるてんはすごい」。言葉にはないが何故か聞こえた気がした。
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    suno_kabeuchi

    TRAININGtwst夢/イデア・シュラウド
    集中している間に髪と戯れられてるはなし
    待てができるいいこなので ゆらゆらとゆらめくサファイアブルーを見つめること数十分。幸いにしてプログラム生成に集中しているイデア先輩に気取られることもなく、私はじっくりとっくり拝ませてもらっている。
     ほう、と何度目かもわからない感嘆の息が漏れる。昼だろうが夜だろうが、常に薄暗いイデア先輩の部屋ではそのサファイアブルーが陽の下のそれよりも鮮やかに映る。彩度の高いそれは驚くほど瞼に焼き付いては目を伏せてもその名残で閉じた視界に青が散る。
     足首まである長いそれはいざ座ると殆どが背凭れと痩躯の間に隠れてしまうけれど、一筋二筋と零れ落ちるそれもある。カーペットに座っていたけれど、そろりそろりと近づいて音もなくそれに手を伸ばす。燃えているだけあって毛先こそ掴めはしないが、もう少し上の方であれば実体がある。指に絡ませてみれば鮮やかな青に照らされて私の肌が青褪めたように光を受ける。視線だけイデア先輩に向ける。足元にいる私に気づいた様子もなくブツブツと早口で何か捲し立てながらキーボードを叩いている。それに小さく笑みを零して指に絡ませたそれに唇を添える。殆ど何も感じないけれど、ほんのりと温かい気がした。
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