おうさまだれだ! 食いっぷりが一番いいのはモン天だが、飲みっぷりが一番いいのはモン楽である。特に炭酸系の飲み物については、ぷはー! と明快な笑顔と共に息を吐いているのをよく見掛ける。「そういうとこ楽に似てるよね」と通りすがりの天に言われたのは前の話だ。
「お待たせ。ほら、アイスラテ」
カランと涼しげな音を立ててモンたちの前にグラスが並べられる。待ってましたとばかりにはしゃぐモンたちを見ながら「溢すなよ」と楽も笑う。
まだまだ引く気配のない夏の日差しは広い窓のリビングを容赦なく熱してくる。楽は自分の生まれなのもあって夏を好んでいるが、それでもここ数年の暑さは異常だと思う。
「お、もう飲んだのか。早いな……って口にひげついてんぞ」
おかわりを強請るモンたちの口の周りにミルクの白がべっちょりしている。それを拭ってやろうとティッシュに手を伸ばしたらモンがくとモンつながタックルをかましてきたしモンてんはティッシュケースを遠ざけてしまった。
「何すんだよ、拭ってやろうと……ん?」
眉を寄せた楽を他所にモンたちは全員集合すると互いの口髭を指し、えへんと胸を張った。
「……もしかして威厳があるから嫌だって言ってんのか?」
楽の回答に「そのとおり!」と言わんばかりにモンたちが一斉に拍手を送った。
数分後、口周りがカピカピになって気持ち悪いと跳ね回ったのは余談である。