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    94・🍑🌱
    書きかけだよ

    【前回までのあらすじ】
     半田先輩が、ゴビーにばっかり血を舐めさせてズルいとかふざけた事抜かしたので、僕の手を舐めさせる事になりました。───何でだ。



     ※   ※   ※



     「何一つ納得出来る事が無いんだけど…」
     
     うん。本当に。何で僕は先輩を寮の自室に招いて、手術前の医療従事者のように爪の間から肘まできっちりハンドソープで洗って先輩を待っているんだろう。しかもちゃんとゴビーに、『今日は帰るの遅くしてもらっても良い?』って言って送り出しちゃったんだ!! それって何か!! それって何かあぁぁぁぁ!!!!
     
     「どうした、サギョウ。頭でも痛いのか」
     
     情緒が不安定になって頭を抱えて悶えてたら、洗面所に居た先輩が戻ってきた。
     
     「あの、やっぱ」
     「嫌だ」
     
     クッソ! 食いぎみに否定された!!
     まじまじと先輩を見たら、絶対に意思は曲げないって顔してる。うえぇぇ…。顔が良いぃ~…。
     
     仕事の出来るダンピールかと思いきや、退治人ロナルドさんに対しては『新横浜の奇行士』と称される変人なのに!!
     半田先輩の! 顔が! 物凄く好みなのだ!! ズルいよ、チクショー。美形ってだけで何やっても許されちゃう。黙って書類を読んでる所とか見たら心臓止まるんですけど?!
     
     
     「」「」「」
     「えっと…。何か飲みます?」
     そうだ、しまった! こんな関係になる前だったら、先に飲み物でも用意してたのに。恥ずかしいとは思いつつ、浮き足立ってるのかなぁ…。僕。恥ずかしいケド。
     飲み物と言ったけれど、あるのはインスタントのコーヒーか紅茶くらい。後はスポドリか。
     「あー…。水、で良い」
     「水?! 何で?! スポドリとか、ありますよ?」
     「否。水で良い」
     何なんだ。その水に対する執着は!! 先輩が水って言うものだから、後輩である僕が他のものにするなんて選択肢は無く、テーブルの上には氷の入ったグラスが二つ置かれた。
     「」「」「」「」
     先輩がグラスを手にして
     僕も二、三口、水を飲む。ペットボトルが主流の今、水道水に氷を入れて飲んだことなんて久しく無いや。
     「」「」
     「はぁ…」
     グラスがテーブルに置かれた。うわぁ。いよいよだ…!!
     「」「」
     「サギョウ」
     「は、は、はいっ!」
     「良いか?」
     良いか悪いかで言ったら全然良く何か無いんだケド、先輩の口調と眼差しは有無を言わせない力が籠っている。それに、恋人…になった先輩にどんな事をされてしまうのか。ちょっと…イヤ、大分。かなり興味がある。
     
     狙撃主である僕は、的を狙うために早まる呼吸を落ち着かせるのに慣れているハズなのに、さっきから先輩にも聞こえるんじゃないかってくらい心臓がドキドキ言ってる。
     
     「どっ、どうぞ…」
     「」「」「」
     怪我した手と同じ。右手を取られた。僕の手と違って、少し低い体温を感じる。ダンピールは人間と吸血鬼のハーフだけど、血の混じりの割合によって特徴が出るらしい。先輩は、母であり吸血鬼であるあけみさんの血が強く出ているので、尖った牙が
     どっちかって言うと吸血鬼寄りの特徴が強く出ている。
     これはまぁ、ダンピールに限った事じゃ無いケド。
     「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」
     「なら、これならどうだ?」
     「ふぇっ?!」
     僕の脇に先輩の手が来たのと、先輩がベッドに仰向けになったのは同時だった。
     「追い詰められるのが嫌なのだろう? ならば、サギョウがマウントを取る位置ならどうだ?」
     先輩の体に乗り上げてしまった。
     「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」
     やっ、やっぱり駄目だ!! 先輩に手を舐められて、力が抜けて、恥ずかしくって顔が見れなくって、逞しい胸襟の間に顔を埋めてしまった。そしたら今度はそれが逆効果で、視界から得る情報を無くした体は先輩が舐める手のひらに意識を全集中させてしまう。
     「」「」「」「」「」
     「んーっ!!」
     にじにじと先輩から降りて、
     「んーっ!!」
     先輩を壁の方へと追いやった。
     「さ、サギョウ?」
     声をかけられると、恥ずかしさのあまり幼稚な態度を取ってしまう事を謝りたかったケド、どうしても恥ずかしさの方が勝っちゃってこの後、どうしよう。
     「やっ、やっぱりダメです…」
     「」「」「」「」「」「」「」「」「」
     
     「そうか…」
     諦めてくれるのかな。ごめんなさい、先輩。こう言う事は、もう少し時間をかけて…。
     「俺ばかりではフェアではなかったな。どうだろう、サギョウ。良ければ、俺の手も舐めてみないか?」
     「は?!」
     否! 全然何も良くありませんが?!!
     「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」「」

     
     
     
     
     
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