罰幼い頃の事だ。
「私と約束をしてくれるか?」
「やくそく?」
「そう。私との約束は破ってはいけないよ?破ったら私はお前に罰を与えなくてはいけなくなる」
兄上はそう言って俺の手をとり指先へキスをした。
「私はお前を傷付けたくは無いからね」
「はいっ」
幼い頃の無知で世界の殆どが兄上で埋まっていたあの頃の俺はただ笑って頷いた。
成長した俺はそんな頃の話し等記憶の片隅へと追いやっていて、兄上が未だにそれを心に秘めていたことを気付きもしなかった。
「ぐっ、ぁ」
「約束しただろう?カルエゴ」
不意に首を絞められ、簡単に持ち上げられた体。息が出来ず、兄上の手を掴めてもうまく抵抗が出来ない。と言うより力業で兄上に勝てた事は今までだって無かったのだから当然とも言える。
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