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「お、今日も会えたな」
最近家の近所でよくみる銀色の、大きめの猫。態度がふてぶてしいところがまたかわいい。
「おいで」
しゃがんで手招きすると今日は素直にこっちへよってきた。頭を下げて、撫でさせてくれるようだ。
「いい子だな、アルハイゼン」
毛色とか瞳の色とか、そしてなにより全然懐かないところが誰かを想起させる。こっそり名前をつけて、撫でたり構ってたりしていた。(ん?懐いてる?)
「アルハイゼン、かわいいなぁ……」
そんな名前をつけてしまったこと。それは僕がヒトの方のアルハイゼンにずっと片思いをしているからかもしれない。だからこれは内緒にしたかったのに。
「俺の名前を勝手に使うな」
「うわっ?!」
そういえばここは彼の家の前で。すぐにバレてしまったのだ。
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