それでも今回のは勘弁してほしいかな『ー…、シャチ君も中々のモノ持ってるよなァ。ま、俺にはかなわねぇけど!』
『もーコラさんどこ見てんですか♡えっち♡』
『コラさんのは規格外ですよね。俺初めて見た時ビックリしちゃいましたもん。絶対イッカクの腕くらいあった』
『お前〜それセクハラだぞ〜』
『えぇ〜?コラさんから話し始めたくせに〜』
物凄い形相でトーンダイヤルを手にしたローを前に、俺はダラダラと流れる汗を止められずにいた。突然船長室に引き摺り込まれて二十分弱。流れてくる内容は昨晩俺とペンギンとシャチと三人で飲んでいた時のものらしいが、どうにも飲み過ぎて記憶がない。
呂律の回っていない会話は先日寄った島の女の子の話から始まり、昔の体験談や下半身のサイズへと次々に切り替わっていく。その度にローの眉間の皺が深くなっていくのが怖くて仕方なかった。キャッキャと盛り上がる会話と裏腹に部屋の空気が重い。
最後まで聞け、口を挟む事も許さねぇという無言の圧力に、一刻も早く終わってくれ!と祈る事しか出来ない。
『〜…、ぶっちゃけどうなんですか?』
『えぇ?なにがぁ?』
『キャプテンとのアレですよ』
『えー?お前、それ聞いちゃう?』
『だって気になりますもん。ペンギンもそうだろ?』
『そりゃあ、ねぇ?ローさんって俺らの憧れだし』
『え〜〜、まぁ、そりゃもう、めちゃくちゃ可愛いよ。一生懸命でさぁ、もーなんでもしたくなっちまう!って感じ』
『え〜意外!キャプテンってそういう時は可愛いんだ。やだ、キュンキュンしちゃった』
『俺も〜』
『…まァ、ローは俺のだか』
あ、これか。
確信した瞬間、バキッと何かが割れるような音が響いた。見るとローの手の中にあったダイヤルが無惨にも真っ二つになっていた。陽気に笑う俺の声を最後に、部屋の中から音が無くなる。
「なぁ、コラさん。"なんでも"、やってくれるんだよな?」
「…あ、いや、あれは酔っ払ってたから」
「なぁ?」
「…………一体なにしてほしいんだ」
「あぁ」
途端浮かべられた邪気のない笑み。
告げられた言葉に、俺は数時間の自分を恨んだ。
「…なぁ、ロー。本当にそれ入れるのか?」
「あぁ。俺のより全然細いし、コラさんなら問題ない」
「つーか、これ入れていいやつなの?尻って本当は入れるところじゃなくて出すところだし、変なモノ入れるべきじゃないと思うんだよな」
「これは元々はED治療に使われていた物で、列記とした医療道具だ。内臓を傷つけない設計になっているから心配ない」
それにこれはあんたへのお仕置きだから、あんたに拒否権はねぇ。
(お仕置って。話したのペンギンとシャチだし、別に問題ねぇと思うけど)
そう思ったのが顔に出たのか、そもそもそういう話は他人に話すもんじゃねぇだろ、と凄まれる。確かに狭い船内でのそういう話題は後々の関係に影響する可能性もあるからするべきでは無かったかもしれない。ローは船長でもあるから尚更か。
肩を落としてローが手にしているものをまじまじと見つめる。
鮮やかなピンク色をしたそれは俺の中指より短いくらいでそれほど大きくない。しかし先端に行くほど太くなる曲線と根元から伸びた持ち手の部分は明らかに医療道具ではないフォルムだ。
やっぱり入れたくねぇ…。縋るように見つめた俺をローは見つめ返すのみで何も言わない。やるしか選択肢がないのか。溜息を堪えて、俺はツナギに手をかけた。
俺が入れるのと自分で入れるのどっちがいい。告げられた最終通告に、俺はにべもなく自分で入れる!と言ってローからそれを奪い取った。
「…みる、なって」
「見るだろ」
ベッドの上でツナギを腰まで下ろした状態でアナルを解していく。まだ朝の早い時間だ。こんな時間に肌を晒すなんてしたくない。ギラついたローの視線を無視して、下着も着たままナカに中指をそっと差し込んだ。
丁度三日前にローとセックスしたばかりだ。指二本分ならすぐに入りそうくらいには柔らかいし、これならもう大丈夫だろ。
素早く指を抜いて、渡されたそれをアナルに押し当てた。普段ローの剛直を含まされている為か、物欲しそうにくぱくぱと開閉した入口はびっくりするくらいあっさりと飲み込んでしまう。なんだ。違和感はあるけど、まぁ、こんなもんか。
ベットへッドに常備していたティッシュでおざなりに手を拭う。ローを見るとあからさまにがっかりした顔をしていた。
「…ほら。入れたぞ」
「何ともないのか?」
「違和感はあるけど、まぁそこまで」
「そうか」
約束も守ったしもう取ってもいいだろ?そう言おうとした瞬間、船長室の扉を誰かがコンコンとノックした。
「キャプテン朝ご飯の時間…ってコラさんもここにいたんだ。もう皆いるよ!早く食堂来て」
「あぁ、今行く」
「は!?いや、ちょっ」
朝食に呼びに来たベポにローと二人腕を引かれる。まって、俺まだナカにあれを入れたままなんだけど!
足を踏み出した瞬間、小さな違和感しかなかったそれがぎゅうと思い切り前立腺を押し潰した。
「ァア、…ぐ、ぅ」
「え!なに!?コラさんどうしたの!?」
「…は、いや、なんでも、ねえ」
ギョッとした顔でベポが振り返った。
何とか表情を繕うが訝しげに顔を覗き込まれる。これ、ヤバい。先端が常に前立腺に当たっていてずっと押し潰されている。呼吸をした際の微弱な体の動きでさえグッグッと何度もそこをこねられて、ビリビリとした快感が広がる。腸壁が勝手に収縮して快楽が収まらない。地獄のようだ。
このままじゃベポがいる前で果てちまう。助けを求めてローに視線を向ければ、愉快そうにニヤニヤとこっちを見て笑っていた。この野郎……
「コラさん大丈夫!?凄く体調悪そう……ねぇキャプテン!!」
「コラさんは昨日シャチたちと飲み過ぎて二日酔いなだけだ。心配いらねえ。そうだろ、コラさん?」
「ぅ…あぁ」
「もー脅かさないでよ」
ローに肩を支えられて仕方なく足を動かす。
はぁはぁと荒い息を吐いて気を紛らわせないと狂ってしまいそうだ。
(朝飯食べ終わったら外してやるから)
(まって嘘だろ!シャンブルズで今すぐ外してくれよ!)
耳打ちされた言葉に思わず縋り付く。しかし結局ローは取り合ってくれずに、そのまま食堂まで引き摺られた。
「キャプテンおはようございます!コラさんも…ってもしかしてコラさん二日酔い?」
「…」
「正直俺もシャチも二日酔いなんですよ。ご飯食べれますか?薬とかいります?」
「…」
食堂の直前で自分に凪をかけたのが幸いした。口元を手で抑え、表情が見えないよう俯いて歩く。普段体調など崩さない俺の様子にペンギンに心配そうに聞かれるが、首振るだけで答えた。頼む、何も気づかないで。早く離れて。
俺とローを交互に見たペンギンは、苦笑すると手に持っていたプレートをローに押し付けた。
「…コラさん体調悪そうなんで、部屋に戻った方がいいんじゃないですか?それ、部屋で食べてください」
「……」
「ローさん。嫉妬したからってあんまり苛めすぎちゃ駄目ですよ」
直後。ブゥンという音とともにルームが張られ、気づいた時には先程いた船長室に立っていた。
力の入らないままベッドに押し倒されて、勢いよくツナギを剥ぎ取られる。
「はは、パンツぐちゃぐちゃ。コラさん、外すから足広げて。凪も、解いて」
「…はっ、ぁ、ろぉ、お前」
精液で濡れた下着を足から引き抜かれる。既に何度か達したせいで、下着とペニスの間で精液の糸が繋がった。
続けてナカに入っていたそれにローが手をかける。
「…な、お前…嫉妬してこんなことしたの…アァッ!」
勢いよく引き抜かれてペニスからピュッピュッと力なく精液が盛れる。
チカチカする視線の中映ったのは、顔を真っ赤にし苦悶の表情を浮かべたロー。
あぁ、ほらな。やっぱりこんなにも可愛い。
「…なんでもしてあげてぇな」