ts囚人ロジャグレ
でかい男とちいせぇ女。すげえ眠てぇ。そんな感じの話
夢と微かな意識の間を行き来する。
曖昧な休息にやっと安寧が見えた時、それまで座椅子をしていた男が髪をいじるのをやめて肩に手を添えた。
「寝るならベッドに行こっか」
軽々と抱き上げられ、くたりと頭を彼の胸に預ける。
返事も瞼を持ち上げるのも億劫。その中で、ほのかに香るのは彼好みのすっきりとした香水と、彼自身の匂い。
紫煙と血といろんなものにまみれすぎる身には勿体ないくらい馴染む匂いだ。
「ん……」
「おやすみ、グレッグ」
髪の生え際当たりに落とされたリップ音が少しくすぐったい。
寝台に降ろされる頃にはほぼ夢に捕まってしまっていて……だからだろう、シーツが冷たいから、とか下手な言い訳で彼を引き寄せた。こんなこと素面じゃ到底できない。
寝ぼけてるんだ。そういうことにしておいてくれ。
「……いいよ、お姫様」
笑いを含み茶化すように呼ばれながら、良く知る高めの体温に包まれる。
一層意識の輪郭がぼやけ、夢へ立つ間際。
また、ふわりと。
香る好みの匂いに、胸が満たされた。