不意に感じた熱視線。
いい加減無視もできなくて絡めてしまったのは数分後。
「……何?」
居心地の悪さを隠さず用件を聞く。
聞かれた側は何故か上機嫌に笑ったままだ。
「んーん、グレッグが可愛いなって」
「はぁ?」
「かーわい」
視線だけで飽き足らず、ぎゅむぎゅむと抱きしめて来た。
いつも思うが、この立派な胸板で私を圧死させたいのかこの男は。
「ちょ、苦しい!」
死因が胸板、なんてことは絶対避けたいのでどうにか顔を上げて空気を確保する。
すると、うっとりとこちらを見降ろすロージャと再び視線が合った。
「可愛い」
「あのなぁ。毎回毎回、こんなおばさんに可愛いなんて冗談はやめな?」
「うーん……どうやったら信じてくれるんだろ。グレッグはこーんなに可愛いのに」
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