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    ポイ雨谷

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    ポイ雨谷

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    孫親子(空+飯) SH後
    59の日おめでとうございましたの気持ちで書きました(内容は特に関係ないです)

    ##孫親子

    蒔いた種「あの、父さん。良かったらボクと組み手しませんか?」
     広げた両手の指の腹を擦り合わせながら、悟飯が言った。
     朝の歯磨き真っ只中だった悟空は悟飯を見つめて、それから一旦、泡まみれだった口元をゆすぐ。「えっ?」振り向きなおし、あらためて、悟空はきょとんと悟飯を見た。すると悟飯はもう一度、今度はこちらを覗き込むようにして、一言一句違わず同じことを言う。
    「〜〜、うーーん……いまか?」
     半分くらいまで頷きかけた顎をピタッと止めて、一にも二にもなく了承したいのをグッと堪えた。悟飯の瞳が、小石の落ちた水面のように、とぷんと揺らぐ。
    「収穫期が終わって、少し落ち着いたって母さんが言ってたので、今日どうかなって思ったんすけど……いや、やっぱりいいです。ごめんなさい」
    「なんであやまるんだよ」
     朝の日差しがたっぷり入る小窓からは、ひんやりした風が流れて、薄手のカーテンを揺らしていた。伏目がちになった悟飯の前髪も、ひかえめにそよいでいる。
    「だって父さん、見るからに困ってるから。ボク、困らせたかったわけじゃないんです」
    「ちがうちがう! オラ別に困ってねえって」
    「でも現に、父さんから誘われることなんて、滅多にないし」
    「それはおめえがいつも忙しそうにしてるからで……」
     大の男二人、立ったまま、せまい洗面所で向かい合う。状況のおかしさに気がついたのか、悟飯は口元に手を添えて、小さく笑った。悟空もつられて頬をゆるめる。
    「父さんの思っている通り、たしかにボクは、戦いがあまり好きじゃありません。得意でもないし……」
     いや得意つーか才能の塊じゃねーか。思ったけれど口にはせず、悟空は沈黙を保つ。
    「でも、父さんとの組み手を嫌だと思ったことは、一度もありませんよ」
    「悟飯……。オラだって、おめえと戦いてえ」
    「それじゃあ!」
    「でも今からはちょっと! ちょっと、な……!?」
     ぱあっと花が咲いたように顔を明るくした悟飯に、悟空は顔をぎゅっと歪めて、手のひらを合わせた懇願のポーズをした。悟飯はむっとしたけれど、つきだした唇をすぐに解いて、「あは、そもそも、普段修行してないくせに、何言ってるんだって感じですよね」自分のうなじをさすりながら言う。 
    「そんなこと思わねえよ。この間セルマックスにトドメを刺したのだって、おめえなんだろ」
     悟飯はふるりと頭を振った。
    「あれは怒りで頭が真っ白になっただけで……」黒い瞳が、伏せられたまつ毛に半分隠れる。「それこそ、セルと戦ったときと一緒です。修行して積み重ねたお父さんのものとは違う。……あれはボクにも、なんと言えばいいのか……」
     悟飯は喋りながらどんどん項垂れて、今は悟空ではなく床と見つめ合っていた。もし犬だったなら耳をぺたんと垂らして、背中を丸めていたことだろう。背の後ろに大きくしょんぼりと書かれていそうなくらい、悟飯は身を縮こまらせている。
    「――よし、そんじゃあ二人で修行すっか!」
     暗雲を吹き飛ばすような、お日様よりもからっとした晴れやかな声で、悟空は言った。
    「えっ! でもお父さん、用事があったんじゃ」
     すっかり遠慮気味になってしまった悟飯の肩をポンと叩く。
    「気にすんなって! ビルス様たちも一日くらいなら許してくれっだろ」
    「ビルス様……?」
    「あっやべ」
     悟空はとっさに口元を押さえたが、遅かった。
    「……お父さん、いつ頃お戻りになる予定なんですか?」
     先ほどまでしょげていたのが嘘のように、悟飯は真剣な顔で悟空にずずいと詰め寄った。悟空の右側だけ持ち上がった口角が、ピクピク揺れる。
    「い、いち、いや二週間……一ヶ月……?」
    「そう言って、ふた月くらい戻ってこなかった時、ありましたよね」
     悟飯の唇が、再びにゅっと尖ってしまう。
    「あーあ。ボク、論文で忙しくなって無理かもしれないです。残念だなあ」
    「ご、悟飯〜!」
     悟空はそっぽを向いてしまった悟飯に、恥も外聞もなく縋りついた。またとないチャンスを逃したくなくてつい、口を滑らせてしまったのだ。
     悟空だって久しぶりに悟飯と組み手がしたいし、あわよくばビーストとやらだって拝んでみたい。最後の願望はタイミングを逃して、言うに言えなくなってしまったけれど、そこは後からどうとでもなる。と、悟空は思う。
    「冗談ですよ。ボクだって、お父さんと組み手がしたいんですから」
     悟飯はしょうがないなあと言いたげに、瞳を柔らかく細めた。
    「でも!」
     ガッツポーズのモーションに入った悟空に、ぴっと人差し指を突きつける。
    「ビルス様たちと約束していたのなら、そっちが優先です! 組み手は父さんが帰ってきてからにしましょう」
    「お、おう。けどおめえはそれでいいんか?」
    「一ヶ月くらいなら、わりと余裕がありそうなんで。……だから、早く帰って来てくださいね。ボクも、ピッコロさんに鍛えてもらいつつ、待ってますから!」
    「おう! まかせとけ」
     親子は互いにニッコリ笑って約束をする。
     それから、あれよあれよという間の三ヶ月。
     前回の記録を大胆にも更新した悟空を待っていたのは、怒り心頭のチチ、呆れた悟天、それから盛大に拗ねてしまった悟飯だった。「こればかりはおまえが悪い」とは、巻き込まれたピッコロの弁である。

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    DONEpixivに載せているKissで吸魂するジキミハを加筆修正して再録しています!サクッと読めるので未読の方がおりましたらどうぞ!ジキミハKiss吸魂はいいぞ!
    君は悪戯な吸血鬼昼休み、オレは人気のない校舎裏の階段に腰掛けて人を待っていた。
    先程、同級生のミハル——霧生見晴から『今すぐ会いたい』『ほしいの』などと相変わらず第三者から見たらいかがわしいやり取りだと勘違いされても仕方がないような文面のチャットを受け取り、いつも待ち合わせをしている体育館裏に向かったのだ。オレとしてもそろそろ破壊衝動のエネルギーが溜まってきていると感じていた為、ちょうど良いタイミングであった。
    しかしオレの方が到着が早かったようで待ち合わせ場所にミハルの姿はなく、まあ向こうから提案してきたのだからそのうち来るだろうと思い気長に待つことにしたのだ。

    ミハルとは先日偶然面識を持ち、そして思いがけないことからお互いの体質について知ることになった。オレは度々訪れる破壊衝動のエネルギーを“吸魂”という形でミハルに抜いてもらうことによって、ミハルはオレのエネルギーを吸って体力を回復することによって、互いに平穏な学園生活を送れるようになるのである。
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